自信を持って断言できる、これは良い妖怪漫画である、と
実に嬉しい、こんなにも良い妖怪漫画を読む事が叶って
イースト・プレスさん、ありがとうございます、noho先生の作品を一冊にし、世に出してくださって
さすがに、ジャンルが違うので、『うしおととら』や『足洗邸の住人たち。』の域に到達するのは難しいかも
...続きを読むしれない
ただ、『奇異太郎少年の妖怪絵日記』や、漫画版の『大江戸妖怪かわら版』の背中が見えるだけのクオリティが、この巻で既にある
もし、(2)が出たら、手が肩に触れる事が出来る作品と漫画家に成長している可能性は有りうる
ほっこりとした空気で満ちながらも、決して、だらだらとストーリーが進んでいる訳じゃなく、キャラクターらの心に起こる変化や、それがきっかけとなる成長も、しっかりと「漫画」という形で表現されている
noho先生が、人と人の繋がり、与え合う好影響を大事にしている人なんだ、とストーリーやキャラ達の会話や行動から伝わってきて、温かい気持ちになれる
人と妖怪が共に暮らせている場所が、話の舞台になっているだけあり、基本的に異なる種族であっても仲が良い、皆
しかし、異なる種族だからこそ起こるトラブルもある
バトルって呼べる表現ではないが、その中にも、大切なものを守るためには、時に「闘う」と言う選択をしなければならないってメッセージを、キャラ達が困難に立ち向かう、勇気ある姿に感じられる
成り立ての猫又が先輩らに様々な事を教わる中で成長していく一方で、カッパの女の子は人間の男の子に淡い恋心を抱く。また、半人前の天狗が、人間の少女に本当の強さを示され、自分の「やり方」が大切な人に心配をかける、正しくないものだったと気付く事で、一皮剥ける様も描かれているので、読み手は飽きない
読みやすくしている事に、コマの配置や、一話のページ数が丁度よいってのも一役を買っているんじゃないだろうか、そう、素人の私なりに感じた
人と妖怪の距離感に心地よさを感じるのは、豊かな自然が良い緩さを醸しているからか
Noho先生が静岡在住の漫画家である事は、しぞーか県人として嬉しく、誇りも感じる。ただ、静岡在住の漫画家であるのを知らなかったとしても、私はこの『となりの妖怪さん』(1)を買っていた
妖怪漫画好きな漫画読みに手に取らせるだけの「何か」が、表紙から滲み出ている
あくまで、素人感覚ではあるのだけど、色遣いが実に好い。リアルって感じではないけど、嘘臭くもない。キャラたちの良さを邪魔せず、それでいて、印象に残る色の塗り方だ
ここに辿り着くまで、noho先生は楽しい苦労をしたんだろう、と感じた
多くの出逢いと様々な経験により、自らの「本質」を見出せた新人(妖怪?)猫又のジローがどう成長していくのか、ジローとむーちゃんの関係がどう変わるのか、どうしたって気になるので、(2)が来年中に出てくれると嬉しい
良い漫画なら、いくらでも気長に待てるのだけど、さすがに待たされ過ぎるのは辛い
ちょい脱線するが、個人的に最新刊はまだかな、とウズウズしてるのは、ヒガアロハ先生の『しろくまカフェ Today’s Special』である
実際のとこ、まだ連載してるのか、どこで連載してるのか、そこから分からないからなぁ・・・・・・
では、話を戻そう
どの回も、心に付いた小さな傷が治っていくのを感じる
その中で、私がグッと来る回は、「猫又vs鵺」だ
ぶちお君は決して、勇敢ではない。けれど、大切な家族を守るために勇気を振り絞り、見事な変化を見せた。その姿には、確かな強さがあった
また、努力に刺激されていた才能ってのは、不意打ち気味の本番で、一気に開花するんだな、と感じたのも大きい
この台詞を引用に選んだのは、化けるのは妖怪だけじゃないなぁ、と思ったので
この頃の子供ってのは、いきなり強くなるんだよな
けれど、その強さは方向性がしっかりとは定まらず、危うい所もある
だからこそ、大人がしっかりとフォローしてあげる必要があるのだ
子供が強くなっていくのを見守る事で、大人もまた成長していく
人ってのは、そういうもんだ、多分