子供時代に読んだ感激に思いをはせてというか、
子育ての悩み多い娘に何か言えるかもしれないと、心の隅にあったかもしれない。
娘も3人娘を育てているし、この物語のマーチ家も4人姉妹、
父親は南北戦争に出兵で留守、この物語全体に登場も少ない、影が薄い。
娘のところも何故かパパの影が薄い、一般的に
...続きを読む父親ってそう(笑
それでなくてもこの節、シングルマザーが多いような話題になっている。
そしてそういう家庭は貧しい生活が常、シングルでなくても貧しくなる世相だ。
父親が知人のために借金を背負って、裕福だったこのマーチ家も貧乏という設定。
本当は作者オルコットの父親が高邁な学識者、世渡りに失敗したからなのだが。
とにかく物質的窮乏「貧」は不幸ではない、といっても無いものは困る。
母親、16、15歳の姉妹は働く。幼い姉妹は家の仕事。
クリスマスのシーンから始まるこの物語「お金があれば幸せなのに」
と嘆くこと、うらやむこと、どうしてそれを収めて前向きに行くかを、
ユーモアを込めて、姉妹の個性を描き分けながら、生きるすべを会得していく
という、まじめな、まじめなものである。
ジョーという次女が主人公で作者なのだが、性格激しくきっぷがいい、
自分が一家を背負うのだと、空想家で八方破れの暴れん坊、
読書好きの常、作家で身を立てんと奮闘する様は、
本好きをとらえて離さないストーリーでもある。
すなわち、子供の頃はわがまま、唯我独尊であっても
大人とは独立独歩、自己責任において人生を過ごすものだという
教訓を表立って言わなくても、少女小説のような雰囲気のうちに描いていく
その柔らかな絵巻物語にて、表されている。
だから日本でいう幕末のころ、アメリカでは南北戦争が終わったころ、
1868年に書かれたものが150年経ても、今だに読まれているわけである。
しかしながら、わたしはもう読まなくてもいいような(笑
本当は娘たちが読めばいいんだけどね。