「コマとコマの間には秘密がある」by一青窈 で、真っ先に思い出したのが、この漫画。
コマの間に流れる時間が、切なくて、儚くて、迷い込んで、膝を抱えて、途方にくれて、泣いてしまいそう。
私が思う、少女漫画の文法の美しき究極の形。
多分、ウミノチカ、よしながふみの世界が好きな人は、ほぼ間違いなく、この
...続きを読む作品の切なさにやられるのではないか。
・・・と思ったら、すでによしながふみに語られていた・・うう。さすが。
鎌倉を舞台にした、女子高校生たちの恋愛物語。
この切なさをわからん女は、かつて少女であったことのないものだ!!
宙に浮いていて、ふわふわしていて、きゃっきゃしてて、くよくよしてて、それでいて残酷で、生々しくて。
女子高で、女の先輩に憧れたり、かっこいい女の子を好きになったりするのは「一過性」と思われているけれど、違うんじゃないかと、これを読んでふと思わせられた。
自分の中の少女性やその時に味わった記憶を、
殺さないまま生活していく人と、そうじゃない人。
それは、嗜好の問題もあるけれど、「生活」も強いのでは。
心のちぎれそうな少女性をこんなに切実に提示されて、つくづくと考えこんだ。
女子が女子に憧れることが女子高共通の現象としてあって、それが大学に入って"社会"にでた途端、普っ通に結婚して子供を生んでいること自体が、逆に不思議といえば不思議だ。
普通に行ったら、そのまま女で行きそうなものなのに。
この漫画は彼女達の、10年後の姿だろうと思わせるような素敵な女の人がしっかり書かれている。
その中で、大人になっても女の恋人を持っている人達がも沢山出てくるけど、彼女達は全員すんごいお嬢様か、手に職を持っている。
そういう人は、自分の生活&妄想スペースを保ちやすい。
端的に言えば、親からそんなに結婚しろとか子供生めとか言われないで、自分だけのニッチで生きていける人達。
外から、妄想を矯正すべく加えられる力が実に少ない。
そうすると、すりこみのまま生きていけるのかもしれない。
(本当は、どこにいても、何をしていても、自分の妄想力はあるものなのだけれどね。)
鎌倉と言う舞台が、いい具合に、現実であって夢のような空間をつくっている。
悶絶。