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目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作!(解説・鈴木敏夫)
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Posted by ブクログ
幼少期から本に親しみ、編集者として本を作り読み続けていた著者が、老い先短いと自覚する年齢に達した今現在の読書について考察するエッセイ集。自らの経験だけではなく、知己や読書を通じて知った人たちなどが、どのように読書に親しんでいたかを本の中に書かれたことから読み解き、また、それを自分の過去の経験と重ね、...続きを読む新しい発見をしてゆくという読書。まさに読書の醍醐味ですね。多くの本が紹介され、ブックガイドとしても楽しめます。
今年最初の読書のタイトルが『最後の読書』というのは、もちろん狙ったところもある。ただ、それ以上に感じるところもあってさ。編集者、演劇人とのことだけど、齢80になろうとする時期に、読書周辺での年齢からくる苦労など、あれこれというのがね。なんとなく最近年取ってきたなぁという自分の親を観る視点と重なった...続きを読むところがあるんだろうね。 冒頭、鶴見俊輔が脳梗塞となって以降、話すことも書くこともできなくなり、亡くなるまでの3年ちょっとの期間、ただひたすら本を読んでいたという話。幸田露伴の晩年、目が悪くなっていき、読むのに忙しいから、もう書く時間がない、と言っていた話など。読書人の晩年というのは、なんのためというのではなく読むこと自体に喜びを見出していくのかなぁ、なんて思った。 読書好きな人に限らないかもしれない。ただテレビを観たり、庭を眺めるだけでもいいのかもしれない。自分の外にあるものを、ただ受け取り、そこに溶け込んでいってしまうような。歳をとり、最終的にあの世に旅立つというのは、自分自身がこの世に溶け込んでいくということなんじゃないか、なんてことを考えてしまったね。 著者は古典をダイレクトに読めない自分の世代を、ダイレクトに読めていた先行世代と比較して苦笑している感があるけど、その視点に立つなら、俺なんてものはもう知的能力に欠けるなんてものじゃないよなぁ、と苦笑するところもあった。別に悲観や卑下して思うのではなく、まだまだ伸びしろ、あるよね、って。
歳をとると、自然に体の各機能が衰えてくる。読書を呼吸することと同様に、当たり前のこととして生きてきた人間にとって視力の衰えはしんどい。記憶力も低下してくるというのも困りごとの一つになる。こんなこともありつつ、読書家の老年期をどう過ごすのかを思い綴った本。蔵書の行く末も悩みどころ。いずれは訪れるであろ...続きを読むう我が身を案ずる。
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最後の読書(新潮文庫)
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津野海太郎
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