ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
「ああ辛い! 辛い! もう――もう婦人(おんな)なんぞに,生まれはしませんよ.」日清戦争の時代,愛し合いながらも家族制度のしがらみに引き裂かれてゆく浪子と武男.明治31-32年発表,空前の反響をよんだ徳冨蘆花(1868-1927)の出世作は,数多くの演劇・映画の原作ともなり,今日なお読みつがれる.改版(解説=高橋修)
ブラウザ試し読み
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
浪子さんと同じ歳の時に読んでほろりと涙が出た。蘆花自身が言うように王道かつドラマチックだが、だからこそ後世に残る作品となったと思う。
儚い生命が病に手折られる哀しさ、二人の仲が引き裂かれる運命の残酷さ。悲運に悲運が重なる浪子が哀れ。 いわゆるお涙頂戴もので、全体的にひたすら浪子が可哀想なのですが、論理的な矛盾を指摘したりするのでなく(だって武雄にも情熱の足りなさを感じるし家制度も腹が立つし、何もここまで浪子に辛苦をなめさせなくて...続きを読むもと思う)、絶望に出会った人物達の心の動きや表現を鑑賞するべきです。 万一この後もし武雄が再婚してもいいんだよ!だって今のこの愛はまぎれもない本物で最高潮だったのだから。 手紙に「玉章とる手おそしとくりかえしくりかえしくりかえし拝し上げ」る浪子。さびしく微笑し妹の為に派手な着物を選ぶ浪子。 愛の情熱の激しさ、文章の格調高さ。浪子の無念はいかばかり!
悲恋の代名詞というか、昼ドラ的ドロドロ感。 世間体・お家柄重視で結婚に厳しいうえ、戦争まで起こってしまうという時代の波に、不幸にも飲みこまれてしまった悲劇な夫婦のお話。 文語体で書かれてるのに見事に感情移入してしまう。 脇役の方は皆様キャラが濃いです。 そこもまた昼ドラ的。
1900(明治33)年刊。 明治期の日本文学の名作としてよく知られた作品ながら、地の文が文語調であるために私は敬遠してこれまで読まなかったようだ。 本作について、たぶん日本的な微妙な情緒のたゆたう芸術性の高いもの、と勝手に予想していたのだが、どうもそのニュアンスとは異なり、むしろ尾崎紅葉に近い...続きを読む、骨太なストーリー性の強い、ドラマチックな物語であった。 文章はもちろん今風のものと比べれば、文語体なだけに格調は高いようだが、さほど「芸術的」とも思えなかった。当時の読者にとっては平易な文章だったのではないか。完了の助動詞「つ」がやたら出てくるのが気になった。ただの過去形で良さそうなのだが・・・・・・。 本作のおおまかな筋は徳冨蘆花が人から聞いた話に由来するらしい。 女主人公浪子は、新婚ホヤホヤで配偶者と相思相愛のアツアツな関係にあって幸福だったのが、結核に罹患したことから、結核は家族にうつるから家を滅ぼす、という考えにより、悪者の讒言にそそのかされた夫の母親に、夫の不在時に勝手に離縁させられ、どん底に落ちて病が嵩じ、やがて死んでゆく、という悲劇である。 本作が明治期最大のベストセラーとなったのは、このようなメロドラマ的な大枠と、非常に分かりやすい(たぶんあまり深みの無い)心理描写とが相まって、多くの人びとの感涙を誘ったのだろう。 何と、数カ国語に訳されたらしい。が、海外での評価は結局どうであったのだろうか。本人たちの、独立した個人としての意志の自由を否定して、当時の家族制度の頑迷さに甘んじ、どんなに辛くても「仕方がない」となってしまう、あまりにも日本人的な不自由さは、欧米人に理解されたのだろうか。 あまりにも類型的な悪者が登場するなど非近代的な面もあったが、まあ、江戸の読本や坪内逍遙の『当世書生気質』(1885)に比べればはるかに写実的で近代小説らしくはあるし、とりあえず印象深い物語ではあった。 ただ、やはり芸術性ということで言うなら徳田秋声『あらくれ』(1915)のような情緒には劣っている(このコンポジションを欠いたような小説を日本的な美の良さと捉えるならば)と感じる。 本作の良さはほどよい通俗性・感傷性が多くの一般読者を魅了したことにみられるような「わかりやすさ」の点だろう。 ちなみに、この文庫本の巻末には作者の略年譜が載っている。カトリック信者だったようだが、1919(大正8)年に妻の愛子とともに「第二のアダムとイブであるとの自覚を得、新紀元第1年を宣言して世界一周の旅に出る」との記述がある。何だそれは。もしかしてアブナイ人?との疑問が湧いた。
大学の講義のために購入。 実は最近、初めて恋をして、失恋しちゃったんですよね。そんなセンチメンタルな私が浪子と武男の夫婦生活を見ててると、自由な恋愛を求めることができないことに心苦しさを感じましたね。 「不如帰」の時代は明治。新たな文化が欧米から入ってくる。それは思想も同じ。自由に恋愛して結婚できる...続きを読むことなんて新しい価値観だった。当時は結婚は本人同士だけで決められるものじゃなかった。離婚もそう。こうした新しい価値観と古くからある日本の価値観とのズレが2人の仲を引き裂いてしまった。そして、女性の地位が低かった当時だからこそ最期の浪子の叫びは多くの女性の心を掴んだのではないだろうか。愛に飢えていた浪子はほんのひとときだけでも武男と愛しあえて幸せだったのかな。 こうして考えると今の恋愛結婚は幸せなのかもしれない。 「不如帰」って当時は暗く、悲しいイメージがもたれてました。悲しい愛の物語。そんな一冊。 恋愛って幸せだけじゃないんですね…。
『金色夜叉』よりも読みやすかった 「家を守る」ということを重んじる 今の感覚ではあまりピンとこないけれど、当時の読者はどうだったのでしょう 姑のあまりに強引なやりかたに憤りつつも、矢張り仕方がないと思い、引き裂かれた浪子・武男夫婦の不幸に涙したのでしょうか 当時、女性、それも家にお...続きを読むける子を持たない嫁の立場がどれほど低いものだったのかということ いろいろなタイプの女性が出てきて面白かった 個人的には千々石が凄く好きだったんですけれど 子供時代の不幸な境遇という点では、彼も浪子に劣らずな感じなんですが 解りやすい悪人に書かれてたけれど、彼にも同情の余地はある、と思ってしまいます
5/31 家族制度と夫婦の愛の戦い。 として両家が断絶するありきたりの結末かと思いきや、ラストシーンは結構よかった。
●幸にして純粋な愛情を分かち合った武男と浪子。武男の母親や従兄弟らが勝手に膨らました嫉妬や私利私欲が、時の家族制度と世間体、仕事や戦争などに乗っかり、二人の間は意思とは反対に引き裂かれてしまう。武男は結核を理由に浪子との離縁を推し進めた母親に異議を唱えるも、その行動自体は、親と仕事への忠義を、妻への...続きを読む愛より優先させたことになる。外界なる家・親・仕事と、個人の意思とのパワーバランスが、この小説ではテーマの一つなのだろう。時代は令和となり、明治より多少は個人を優先できる世の中になってきているようだが、まだまだ滅私他者優先が盤石な時代であることは否めない。否、意思を主張する自由と術とは別もので、相変わらず後者を持たぬ持たせぬ本質的な奴隷制度から抜け出せないことへのねじれ歪みは、また別の問題を引き起こし、マグマ塊のようにいびつなモノに姿を変えた自己表現がエスケープ先を求めている。抜けたい、抜け出せないジレンマを認知しつつも、旧態依然を続ける優柔不断で無気力な時代へのアンチテーゼである。 ●文語体の文章を久しぶりに読んだが、滋養高き十穀米のように歯応えがあり、読後に残る質感がいい。
嫁姑・結核・戦争・父系社会・その他旧弊など、古い価値観や理不尽な環境で引き離される悲恋譚。かなりの胸糞展開と聞いていたため、感情移入し過ぎるのが怖くて一歩引いた視点で読んでしまったので、少し後悔している。 新聞連載の開始は1898年、これは現行法である民法が定められた時期(1~3編:1896年...続きを読む、4・5編:1898年)と重なる。明治維新に伴うハード・ソフト両面の西洋化に伴い、新旧の価値観が激突する時代だったことが想像できる。この小説の中でも、今では考えにくいような価値観が随所にみられる。そもそも物語の根幹部分である、結核になった嫁さんを家に帰すとか、姑の執拗ないびりであるとか(これは不幸な家庭では今でも散々行われているのかもしれないが)、嫁への愛なんかより家を大事にしろとか。 とりわけ、妻か家かの二者択一なら家を取れと母が息子に迫る箇所は、理屈では分かっていても衝撃的だった。 現代のように福祉制度が確立していない時代では、結婚して子どもをつくることは自分の老後を支えることでもあり、子どもができなければ野垂れ死ぬだけだった。石女(うまずめ)なんて今じゃ炎上待ったなしの言葉も、それが言葉として酷いものであったにせよ、子どもを産まねば共同体が滅びるという危機意識が根底にあった。というか、今だって子どもを産まなければ……。 だから、母親が子と嫁の離縁を迫ったときに、息子がモラル面で反撃するも、家庭という概念に負けてしまったところは、当時の価値観に照らせば母親に理があったのかもしれない。理はあるけれどそれは絶対間違っているよという作者の強い意志が、母親をここまで醜悪な悪者に仕立て上げたのだろうか。読者の溜飲を下げるためか、悪役である千々石はあっけなく死ぬが、母親は自分の価値観を曲げることなく最後まで嫁を非難する。まるで、著者が母親に同情する読者を一人残らず消そうとするかのように。 非常に社会派な小説だと、私には感じられた。
伊香保温泉への旅行のときに読みました。 文語体でも思ったより読みやすかったです。姑の気持ちもわからなくないな、と思います。漱石のこどもが泣いたという映画も見てみたくなりました。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
不如帰
新刊情報をお知らせします。
徳冨蘆花
フォロー機能について
「岩波文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
燕尾服着初めの記
試し読み
花月の夜
草とり
熊の足跡
2 国木田独歩 徳冨蘆花
馬上三日の記 エルサレムよりナザレへ
不如帰 小説
水汲み
「徳冨蘆花」のこれもおすすめ一覧へ
▲不如帰 ページトップヘ