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記念すべき50冊目を〈本〉を愛する皆様に贈ります。貴方の本棚に、どうか、もう一冊、闇色の本をお迎えください。本は、常に私たちの身近にあって、あらゆる「世界」を閉じ込めた存在でした。本を開きさえすれば、脳裏に飛び込んでくる「未知」の世界。そこには人生を変えてしまうような出会いもある筈です。記念すべき50巻目の《異形コレクション》を〈本〉に関わるすべての人々に捧げます。(編集序文より)
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Posted by ブクログ
異形コレクションついに50巻目。そしてテーマが「本」って。あまりに魅力的すぎる一冊です。まさしく本好きのための一冊。いろいろと恐ろしい本も登場したりしますが、それはそれでやはり魅力的。読んでみたく……なる? お気に入りは澤村伊智「恐 またはこわい話の巻末解説」。これ自体の物語としての魅力ももちろんな...続きを読むのですが、ここで解説されている架空の物語たちのなんて魅力的なことか。読みたい。これ全部読みたい。 倉阪鬼一郎「蝋燭と砂丘」も、じっくり浸りたい一編。たぶん、怖いといえばこの作品が一番怖かったと思います。俳句もじわじわときました。 斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」も惨いながらも素敵な物語で印象的です。「版重ね」のシーンの息詰まるような緊迫感、そして物語の矛盾点を指摘していくプロセスはミステリ的な読み心地も楽しめました。 そしてラスト、北原尚彦「魁星」がもうなんとも言えません。これはもう本好きによる本好きのための物語といえるのではないでしょうか。さて、私だったらどんな本を求めるでしょうか。
本。リアルの本の魅惑。本が溢れる部屋の、うっとりするような魅力。 ほぼ完全に電子書籍に移行してしまった私には、無縁になってしまった。部屋に、この蠱惑の本が並ぶことは、もう無い。 なんだか、とても寂しい。そんな読後でした。
異形コレクションシリーズ50冊目。 今回のテーマは「本」。 どれがヒットするかは好みによって変わるでしょうが、本好きにはたまらない世界観。 各短編の構成もすごく良かった。(特に「魁星」を最後に持ってきたのが) 下記2作が好き。 大崎梢「蔵書の中の」 少し不気味要素のあるストーリーの中に本への愛情も...続きを読む感じられてすごく面白かった。 北原尚彦「魁星」 本読みには垂涎もの。自分だったらどの本を頼むかな、っていろいろ空想してしまう。作者が亡くなって未完になってしまった本とか、読みたい本は尽きませんね。
ホラー。短編集。アンソロジー。 テーマは"本"。 個人的な印象としては、テーマのせいか、地味。 ミステリ作家がそこそこ多かった気もする。 決してつまらない訳ではなく、無難に楽しめた。 特に面白かったのは以下の4作品。 宇佐美まこと「砂漠の龍」 前半と後半で全く異なる物語。そう繋...続きを読むげるのか、と驚く結末が良い。 井上雅彦「オモイツヅラ」 軽めのダークファンタジー。いつもは独特の雰囲気が合わなかったが、この雰囲気は好み。 斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」 初めて読んだ作家だが、世界観が凄い。 真藤順丈「ブックマン ありえざる奇書の年代記」 ちょっぴりダークな現代ファンタジー。これも世界観が独特。インパクト強め。
今回は本をテーマにホラーやSF。古本屋を散策してそんな不思議な本に出会ってみたいです。トータルで切りよく50巻めということですが、これで終わりにならずに続くのを期待してます。
【収録作品】「蔵書の中の」 大崎梢/「砂漠の龍」 宇佐美まこと/「オモイツヅラ」 井上雅彦/「静寂の書籍」 木犀あこ/「蝋燭と砂丘」 倉阪鬼一郎/「雷のごとく恐ろしきツァーリの製本工房」 間瀬純子/「書骸」 柴田勝家/「本の背骨が最後に残る」 斜線堂有紀/「河原にて」 坂木司/「ブックマン-ありえざ...続きを読むる奇書の年代記-」 真藤順丈/「2020」 三上延/「ふじみのちょんぼ」 平山夢明/「外法経」 朝松健/「恐またはこわい話の巻末解説」 澤村伊智/「魁星」 北原尚彦 「本」をテーマにしたオリジナル・アンソロジー。 正確に理解できない(したくない)作品もあるし、ほぼ怖い。ここにでてきた人たちのように本に執着しているわけではないが、だからといって「本」から離れようとは思わないくらいには囚われている。 それぞれの前書きによると、「オモイツヅラ」は、『異人館の妖魔(ファンタズマ)〈ヴァン・ヘルシング〉』で著者が創造した幻の書籍『日本妖物語(ファンタズマ・ヤポニカ)』を中心とした新しい物語とのこと。「外法経」は、〈室町ゴシック〉の一作で、『血の炎の京 私本・応仁の乱』と一休シリーズをつなげる、いわば前日譚とか。
収録作品に当たり外れがある。 「魁星」が1番好き。思わずGoogleマップで神保町界隈を調べてしまった。
先月出たダーク・ロマンスのほうが全体的に好みの話は多かったけど、こちらも面白かった。 特に好きだったのは以下の四作。 『砂漠の龍』 異国のファンタジーものかと思いきや、舞台は現代に代わり…と思いがけない展開で面白かった。 『本の背骨が最後に残る』 本となった人間が、己が語るストーリーが間違えて...続きを読む記憶されていると判断された場合焚書させられる世界の話。 版重ねが面白かった。詭弁も極めれば…。 『河原にて』 冒頭の子育てすることの辛さは現実味が強くて読んでてげんなりしたけど、切ないながらも良い話だった。 『魁星』 これを最後にもってきたのはさすがだなぁと。 締めにふさわしい話だったとおもう。 今は亡き横田順彌さんらが登場する、現実を織り混ぜたファンタスティックな話。 これも読んでて切なくもあったが、なんだか心が温かくなる話だった。
―― さてこうして本棚にひとつ闇色の背表紙が加わったわけですが、その一点はじわじわと拡がりやがて本棚全体を覆い隠す――って、そもそも「本棚」とか「書庫」ってのもホラーちっくな響きがありますな。なんか生まれないかなうちの本棚からも。 引っ越して納戸が出来たので本棚作ったんだけど、思ったより持って...続きを読むる本少なかった。もっと沢山読みたいですなぁ。今年はがんばろ。 SF、ホラー、ミステリというなんとかトライアングルから抜け出せずに死んでいくんだと思う。はふう。 1997年から刊行されているダーク・ホラー・アンソロジー。そのシリーズ50巻のという記念すべき一冊を、本をテーマにして編むあたり、本の怖さというものをひしひしと感じるのでした。 本は本の創り手を増殖させてゆく、と序文にもあるけれど、作者の意図からも外れて自己増殖していくとも云える本はある種もう、生きてると云えるんじゃなかろうか。 全体的に百物語ちっくというか、語られる物語の端を捉えて次の物語が語られる…って雰囲気があるのも、そういうホラーの自己増殖感が出てて良かったです。にしても新旧問わずの名だたる作家が語り継ぐ百物語、なんて贅沢なんでしょう。 特に印象に残ったものをいくつか。 柴田勝家『書骸』 戦国武将みたいな名前の作家ランキング1位。御本人もネタにしてるというか由来がそうなんだからいいよね…? Wikipediaに大真面目に「この項目では、織田信長の部下について説明しています。現代のSF作家については「柴田勝家 (作家)」をご覧ください。」って書いてあるのまじで笑える。 圧巻の不気味さと着想。中盤からなんとなくラストの展開は読めてくるものの、解っていても怖い道をじわじわと進んでいって最後の角を曲がる感じはホラーの真骨頂でもある。その道程を語り口と豊かな筆でこうも読ませてくれるとなるともうお手上げである。ああ怖い! ってー開放感はなんなんでしょうね。 真藤順丈『ブックマン――ありえざる奇書の年代記』 岸辺露伴によるバトロワ系ホラー(笑 そもそも岸辺露伴が設定的にズルすぎるんだよね…みんななんとなく心の隅で思い描いているものをあんなに魅力的に形にされては。 緻密な文章と設定力と、広い世界観が読ませる。日常的な描写から物語内の物語にひと息にスライドする技量も見事。その上でミステリ的な展開もあって、とても楽しめました。 朝松健『外法経』 朝松健の〈室町ゴシック〉と銘打たれていますが、こういうの読みたかった! これは良い。 やはり怪異と云えば中世日本の不穏さが光る。大人の一休さん譚。たまらん。 ほんとに読み応えばっちりですが、ちょっと疲れます。良いホラー見たあとって疲れるのと一緒ね。 以下、澤村伊智『恐』からの引用になるけれど、ホラーというものを端的に表わしていて凄くしっくりきたので、まぁこういう気持ちで読んでください。 “こうしたアンソロジーの解説にありがちな「人間にとって最も恐ろしいものは不可避で未知なる『死』であり、怖い話はその恐怖を予習することで緩和させるための手段」といった趣旨の文章も、したがって三つの点で誤りだと私は考える。死を絶対的恐怖だと定義している点。絶対的恐怖というものがどこかに必ずあると見做している点。そして怖い話に、ビジネス書やノウハウ本のような社会的意義、有用性を見出そうとしている点。” と、これが巻末の解説からの引用ではない、というのも面白いところ。左様にそれぞれ趣向を凝らされた短編のあつまりなので、きっと気に入る1編があるはず。 こりゃ新しい沼だな… ☆4つけときます。怖いんで。
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