ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再分配を行うべきだ」と考える。リベラルは17世紀ヨーロッパの自由主義から思想的刷新を重ね、第二次世界大戦後は先進諸国に共通する政治的立場となった。しかし20世紀後半の新自由主義や近年のポピュリズムなどの挑戦を受け、あり方の模索が続く。本書は理念の変遷と現実政治の展開を丁寧にたどり、日本でリベラルが確立しない要因にも迫る。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
1年前に発刊された本であるが、基本的なところを指摘しているのでこれからますます読まれていくことであろう。 最後に日本についてのリベラルが書かれており、自由主義的伝統の弱さと1990年代以降の政治により、正規雇用と非正規雇用が分断され、政治への支持ではなく、極右と極左による排外主義が台頭するとしてい...続きを読むる。 そうした兆候はますます大きくなっている。 リベラルとリベラリズムの違い、リベラルの変遷なども丁寧に書かれているので、リベラルという言葉を卒論で使うには欠かせない1冊であろう。
このところ「戦後民主主義」「朝日嫌い」と続けて戦後の保革という政治的対立構造の変化についての新書読みが続いています。今度は「リベラルとは何か」。副題の「17世紀の自由主義から現代日本まで」が示すように、戦後という時間軸をズズッと延ばし、空間も世界視点でババッと拡げ、大きな構造としてリベラルという概念...続きを読むの変遷を捉えることが出来ます。何回も繰り返し使われる、国家中心↔市場中心の横軸とリベラル↔保守の縦軸の4象限の図がわかりやすく、様々な事象の意味がわかりやすくなりました。その中で、リベラルという言葉の変化は世界的な流れの中にあって日本もグローバルとシンクロしていること、しかし、日本の特殊性も存在し、それは古典的自由主義が根付いていないことに起因するということ、なんとなく感じていたことが納得に変わりました。本書を読んでからの週末の都議選、本当に選択肢の無さが身に沁みました。例えばオリンピックの開催の可否を4象限に落とし込むとしたら、とか考えますが、古い図式しか浮かび上がらず気持ちが落ち込みます。一方、中国共産党の100周年でのリベラリズムを鼻で笑うようなメッセージにも、ため息が出てしまいます。本書の終章「リベラルのゆくえ」を経て、次は「アフター・リベラル」を開いてみます。
リベラルがどのように形成され、どのような挑戦を受けてきたかを知ることが出来た。 日本はやっぱりリベラルの歴史が浅いね。 アメリカのリベラルとヨーロッパのリベラル 大きな政府 小さな政府 完成へと向かう存在としての人間 ミル 17世紀 古典的自由主義 ロック 「統治二法」自然権 アダム・スミス ...続きを読む「国富論」 19世紀~20世紀 自由主義からリベラルへ 幅広い分配 振興中産階級 リベラルコンセンサス 戦後 ケインズ主義的福祉国家 マクロ経済政策 ニューディール 1970 文化的的リベラル 脱物質主義的価値観 権利運動 学生運動 自由の両義性 担い手の不足 1980 第三次産業 ネオリベ 新自由主義 フリードマン 「隷属への道」 個人に平等な機会を マネタリズム サッチャー レーガン 歳出削減 金融転換 ウィンブルドン現象 トリクルダウン リベラル リバタリアニズム リベラル 保守 工場 事務労働者 専門職 再分配 市場 1990 グローバル化 ギグエコノミー インサイダー アウトサイダー 新しい社会的リスク ワークフェア競争国家 人への投資 底辺への競走 現代リベラル ロールズ 「正義論」 無知のベール 機会均等 格差原理 事前の分配 基本財 運の平等 EU戦略 マタイ効果 2000 排外主義ポピュリスト グローバル化福祉排外主義 リベラルのジレンマ 福祉制度の選別性 福祉の寛大さと排外主義 普遍主義的アプローチ インサイダーとアウトサイダーの分断の縮小 日本のリベラル 天賦人権 自由主義伝統弱い 1980 仕切られた生活保障 公的支出最低 日本型福祉社会 企業と伝統集団 90年代 バブル崩壊 格差社会 90年代後半 リベラルの使われ方 民主党 コンクリートからヒトへ 離散集合 安倍晋三 ワークフェア 財政赤字 高齢化 新しい社会的リスク 格差の固定
個人の尊厳と自律、価値の多元性、法の支配がリベラルの中核をなすものだけど、長く日本ではリベラル=革新ととらえられてきた。そして政治の場では破れ続けている。 でも政治手法としても、復権の道は残されていないだろうか? 現代社会を見渡すと真っ暗な気持ちになるけど。そしてこんなことを言うのは嫌いだけど、人は...続きを読む動物じゃないのだから。そんなに市場が大切だろうか? とはいえ好んで貧乏暮らしはしたくないしなぁ。豊かさの指標を物理的なものから変えるのは難しいよね。
現代のリベラルは「すべての個人ご自由に生き方を選択できるよう国家が一定の再分配を行うべき」と著者。大きな政府は新自由主義、リバタリアンから攻勢を受けグローバル化、民主主義を体制原理として認めない中国の台頭で厳しい状況。労働環境変化により定形的業務労働者はポピュリズム化し知的労働インテリ層が支持者のリ...続きを読むベラルに明日はあるのか。
リベラルという概念は、19世紀以降から普及し始め、当初は経済的自由主義としての側面が強かった。20世紀に入ると文化的な側面も加わり、21世紀以降の現代リベラリズムは、個人の価値観、ジェンダー、人種など幅広く結びついて大きな変容を遂げている。 個人的には排外主義との関係と、日本におけるリベラリズムが...続きを読む面白かった。 前者に関しては、リベラル・左派政党のジレンマや、不安定な雇用、さらにはグローバル化が進むにつれ、排外主義勢力も同時に強まっている。リベラルは排外主義に対抗できるのか今後も注目したい。 後者は、欧米のリベラリズムと結構かけ離れているなあという印象。欧米では福祉、移民問題、グローバル化という点がフォーカスされる一方で、日本では平和主義、安全保障としての文脈が強い。戦後から欧米と日本では多くの共通点があったにもかかわらず。政治勢力としてのリベラルが違った道のりを辿っていったのは興味深い。
「価値の多元性を前提として、すべての個人が自分の生き方を自由に選択でき、人生の目標を自由に追求できる機会を保障するために、国家が一定の再分配を行うべきだと考える政治的思想と立場」というリベラルの定義から出発したうえで、その出現の歴史的経緯、現在の情勢におけるその位置づけ、目標とするべき政策パッケージ...続きを読むなどを提示する。本書によれば、リベラルの登場は20世紀初頭の欧米に遡る。当初は市場原理主義と再分配との間で路線対立が形成されていたところ、文化的リベラルや新自由主義・「ワークフェア競争国家」の登場とともに、路線対立が複雑化していった。現状ではさほど支持を伸ばせていない(特に文化的)リベラルという立場がどのような政策パッケージを採用するべきかを本書は検討しているが、とりわけ、不安定な雇用のもとで暮らす「アウトサイダー」の人々の支持を取り付けるには、普遍主義的な福祉政策をとることが、雇用・福祉政策における移民を対象とした積極的差別是正措置よりも望ましいとする点など、従来のリベラルに対する一定の方針転換も勧告している点で、リベラルという立場を批判的に吟味している。
20210314〜0404 「リベラル」について、様々な側面からわかりやすく分析していた。タイトルの通り「リベラルとは何か」といわれると、確かにピンとこない。まず著者は現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再配分を行うべきだ」と考える、と定義している。欧米のリベラ...続きを読むルと我が国のリベラルのとらえ方の相違についても丁寧に解説しておりこの手の思想史に詳しくない私にもわかりやすかった。また、著者は現代リベラルの対抗軸としての「ワークフェア競争国家」を定義づけている。これは80年代に英米で選択された新自由主義の発展形であり、分配政策においては市場中心、文化的には保守の立場をとる、としている。
現代リベラルの定義とポピュリズムや排外主義等の対立する思想と、その克服の仕方をデータを用いて示した本。 思想の解説だけでなく、排外主義を抑え込むための政治制度設計をはじめ、示唆に富む内容だった。 リベラルのジレンマやリベラルが確立しない要因等の課題が興味深かった。 リベラルが確立しないのは、...続きを読む現代リベラルの支持者(高学歴層)と産業構造の転換前の左派支持者(工場労働者)の連携がないこと、リベラルな運動と再分配とのつながりが弱いから。 後から読み直したい。
田中拓道(1971年~)氏は、国際基督教大学教養学部卒、北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、新潟大学法学部准教授などを経て、現在一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は比較政治経済学、福祉国家論、政治理論。 本書は、「リベラル」と呼ばれる政治的思想について、その歴史を踏まえて、今後どのよう...続きを読むな可能性を持つのかを検討したものである。 私は、今般米国の大統領選挙で民主党のバイデン氏が勝利したことにより、米国(人)がギリギリのところで良識を示したと思っているが、過去10年程の世界に見る「リベラル」の退潮には大きな危機感を抱いており、その可能性を探るべく本書を手に取った。(最近では、萱野稔人『リベラリズムの終わり』なども読んだ) 本書のポイントは概ね以下である。 ◆現代のリベラルとは、「価値の多元性を前提として、すべての個人が自分の生き方を自由に選択でき、人生の目標を自由に追求できる機会を保障するために、国家が一定の再配分を行うべきだと考える政治的思想を立場」を指す。 ◆リベラルは歴史的に、①19世紀末から20世紀初めにかけて、経済的自由主義(古典的自由主義)を修正し、個人の能力の発展と自由な生き方を保障するために、国家が幅広い分配を行うべきだとする思想(リベラル)が登場した、②1970年代、経済成長と産業構造の変化によって都市部に中産階級が増大すると、価値の多様性を重視する、文化的価値観に基づくリベラルが登場した、③1990年代以降、文化的価値観に加えて、グローバル化の進展に伴い、個々人の抱える多様なリスク(新しい社会的リスク)に合わせたきめ細かな財とサービスの分配を国家に求めるように、リベラルが変容した、という凡そ三段階を経て今日の形になった。 ◆「現代リベラル」は「リベラル(個人重視)+国家中心」という価値観を持ち、「保守(共同体重視)+市場中心」の「ワークフェア競争国家」、「保守(共同体重視)+国家中心」の「排外主義ポピュリズム」と対抗関係にある。(この説明では、ノーランチャートに似たマトリクスが使われている) ◆現代リベラルが政治的な力を持つためには、リベラルな価値観を持つインサイダー(安定した正規労働者)と、「新しい社会的リスク」に晒されたアウトサイダー(不安定な非正規労働者)の間に、政治的な連携を作る必要がある。 ◆今後も、産業構造の変化、働き方の多様化、家族の多様化、(日本に住む人の)民族や宗教の多様化が続いていく中で、価値観が多様化し、個々人の抱えるリスクが益々個別化していくことは間違いない。そして、そのときに大切になるのは、排外的な民族意識や復古的なナショナリズムではなく、国家が、あらゆる個人の価値観やライフスタイルの自由な選択を保障する環境・制度を整備することでしかありえない。リベラルは今も模索の途上にあるが、その可能性が見出せるのではないか。 「自由」と「平等」はある意味相反する概念と言えるが、人間にとって最も大切な「個人が尊厳を持っている」というのは、その二つがバランスをとって実現されている状態にほかならない。ある著名な某大学学長は、「保守」とは、人間はこれ以上賢くなることはできず、よって現状のままでよいとする考え方で、「革新」とは、人間は更に賢くなることができ、よって現状よりも改善をめざす考え方であると言うが、それに基づくなら、人間はもっと賢くなれるし、「自由と平等」がより良く両立した世界が実現できるはずである。 リベラルの可能性について、考えさせてくれる一冊と思う。 (2021年1月了)
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで
新刊情報をお知らせします。
田中拓道
フォロー機能について
「中公新書」の最新刊一覧へ
「社会・政治」無料一覧へ
「社会・政治」ランキングの一覧へ
孤独と怒りに社会は軋む
「田中拓道」のこれもおすすめ一覧へ
▲リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで ページトップヘ