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NYのラジオDJマクレイに、ある女性が電話をかけてくる。トレーラーハウスを貸し、祖母代わりとして気にかけていた19歳のセイディが姿を消したというのだ。そのドキュメンタリー番組を制作するマクレイは、セイディが最愛の妹マティを殺害した義父への復習を狙っていることを知る。セイディの壮絶な追跡行とマクレイの調査が交わるとき、明らかになる真実とは、エドガー賞YA部門受賞の、いま最も切実なハードボイルド
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Posted by ブクログ
エドガー賞YA部門受賞作品。アメリカではYA部門にこんなに残酷な作品があるのかと知ってまずは驚愕。 原題は"Sadie"。この物語の主人公である19歳の少女の名前が<セイディ>。なので、このエキセントリックとも言える邦題は、多分に営業的な目論見、かつ内容にも即したものである...続きを読むとの自信の表れか? 少し内容や雰囲気を説明したような邦題と思って頂けるとよいのかも。 妹マティが殺されたので姉が復讐のため殺人者と目される義父を追跡する旅に出る。ティーンエイジャーの娘セイディの一人称で語る調査と追跡物語。まさに町から町へと果てしない旅を繰り広げるロードノヴェルとしてのメインストーリー。 しかしそのストーリーを客観世界に展開するようにして、ラジオDJマクレイがマティ殺害事件とセイディの行動を取材し、追いかける。こちらは小説文章ではなく、DJのトーク、電話取材によるヒアリング、放送局内上司とのやりとりなど、すべてが会話体のみによって綴られる。 じっくりと語られるセイディのこれまでの家族と亡き妹への愛情や悲しみ。吃音でしか話せないというハンディゆえに、文章でしか饒舌になり得ない孤独な探偵は、一途で心身ともに傷だらけで、ともかく痛々しいのだが、それ以上にタフである。この辺りが邦題のイメージとなったのだと思うが、寡黙なゆえに心の深海に潜航してゆく決意とその昏い情動が複雑極まりない。 語り口はハイ・テンポだが、この物語の世界は少女虐待という荒廃したテーマに象られた滅びの世界のように見える。 取材する放送局の側が、多角的な視点から、少女の孤独の陰も陽も映し出してゆく。 やがて二つの物語が合わせ鏡のように一つの世界に起こった事件とその結末までを描き切ってゆくのだが、その表現のオリジナリティや、語り口、人物たちの際立った個性に対する驚愕は忘れ難い。 YAとなっているがOA(オールドアダルト)の読者他、どのような読者でも十分付いてゆけそうな異世界への招待状である。アメリカの街や砂漠や森や夜などの自然描写も卒なく素晴らしく、独特なカルト的雰囲気を醸し出している。並の物語に飽きかけている向きの方には、是非ご賞味頂きたい一冊である。
今も自分を気にかけてくれる人の存在を知らずに、たった独り熱にうかされたように疾走する主人公。残酷すぎる彼女を取り巻く現実に、胸を痛めた。
この手の展開、海外ミステリにはよくあります。インタビュー形式のところはテンポよくて良かったです。他はうーん、、かも。吃音にする必要があったのかな。
内容はかつて自分の母親の恋人として住居を共にした男性をひたすら少女が追うという流れ。全然進まない。そりゃーそなんだ。実際小説やドラマみたいに展開なんてあるわきゃないのさ。それが自分としてはとても真実味があった。登場人物も素敵な人物はいない。全員スネに傷を持つ。そんな自分を仕方なく肯定し、仕方なくやり...続きを読む過ごす。この「仕方なく」感がとても感じられた作品と思った。あらすじとしては幼女性的虐待ものなんだけども、必要以上に「そこ」を猟奇的、社会の病巣、と騒ぐのではなくて、そういうセンスも良かった
妹が殺された少女が殺人犯を追うストーリー。ラジオ制作という客観的な会話パートと原題のタイトルのsadieの少女の主観的ストーリーが並行する描写がかなり新鮮。 少女の心理描写が非常に素晴らしいと感じた。児童虐待という重いテーマ、決してスッキリしないオチ。非常に印象に残る作品だった。。
原題「Sadie/セイディ」は主人公の名前である。調べてみると、ヘブライ語の【お姫様】が由来の名前らしいが、だとすると何だか皮肉的だ。今作は妹の死をきっかけに失踪した少女の独白とラジオDJによるポッドキャスト番組という異なる視点と時系列のエピソードが交互に挿入され、両者は徐々に一本の線へと繋がってい...続きを読むく。謎解き要素は殆どなく、些か単調に感じる部分もあれど、たった一人で仇敵に挑むセイディの決死行、そして最後に浮かび上がる結末には胸を打つものがある。私的にはDJマクレイの婚姻事情も地味に気になったのだけれど…。
CL 2021.4.10-2021.4.19 勇敢なセイディ。でも過酷すぎる道のり。 なんか胸が詰まる。
読んでいて、胸が詰まってくる。 なによりも愛している妹を殺した母の元恋人に、自らの手で裁きを与えるためのセイディの追跡行。行方知れずとなった彼女を探すラジオDJの制作したドキュメンタリー番組が交互に挟まれ、事件の背景が徐々に明らかになっていく。弱いものが守られることのない場所。弱...続きを読むいものの口が塞がれる場所。そこで、塞ごうとする手を押しのけようとする物語だ。訳者あとがきにもあったけれど、こういう物語が増えていると思う。立ち上がり方はいろいろな形があるんだな。
彼女が結局どうなったのかはわからない。葉書を送って決定的に亀裂を作ってしまった妹への贖罪だったのかもしれない。微かな手掛かりを手にボロボロになっても喰らいついていく様は正統派ハードボイルド。
〈闘わなければならなかった女の子〉の物語。 あとがきで紹介されていた作品ほぼ既読だったので(『拳銃使いの娘』『沼の王の娘』『蝶の庭』『メソッド15/33』。『パーキングエリア』『プリズン・ガール』は積読。個人的には『雪の少女』もやや繋がるような)、読書領域が重なる方なら切実さを感じられると思う。 ...続きを読む世界から押しつけられる理不尽をぶち壊していきたい。
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