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自分の顔がしっくりこない男子高校生。五十過ぎに始めた合気道で若い男の子とペアを組むことになった会社員。恋人の元カノの存在に拘泥する女子大生。妻も部下もなぜ自分を不快にさせるのかと苛立つ銀行支店長。彼らは「手の画像を見せて」という不思議なネット掲示板に辿り着く……。「私」という違和感に優しく寄り添う物語。〈解説〉吉川トリコ
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Posted by ブクログ
なんとなく読みやすいかな?と言うだけで手に取った一冊。何も期待していなかっただけに予想以上に面白かったし、気持ちが前向きになれた。 短編でサクサク読める。ひとつのネットの書き込みをめぐってのそれぞれの見方が面白い。どれもわかる点はある。どの主人公、どのストーリーも好きだった。
手の書き込みサイトがどれでも出てきて気になったのも、最後にちゃんとオチが付く、これもまたいい作り。物語も繋がっているし内なるテーマも繋がるし、いいですね。身体を脱ぎ捨てるという発想と実際にあり得る事と、なるほど頷く。綾瀬まるさんは桜の下で待ってるから読み初めて、地元が舞台で訛りがちゃんとしてて、そこ...続きを読むからですね好きになる。震災の時に相馬で電車に乗っていたんだった。やがて海へと帰るが強く残ってて、あの世界観が何回でも読める
容姿、性別 重く永遠の問題のような題材を 読者を見捨てることなく、 ゆっくり紐解いていく感じが心地いい。 私的に悩みなどはない分、素敵な作品として読破。 登場人物は、、全員にどこか切なさが感じられ リアルそのものだった。 現実世界で生活しているひとの考えや思考を、 美しく言語化している感じが、...続きを読む心地よい。 とりあえず、心地よく夜風に浴びながら読みたい一作。
自分自身との折り合いがうまくいかない、自分でいることに窮屈さを感じる。こんなに苦しいことってあるか。だけど、共感すること多く読み進めました。 相手との関係性、距離感にもよるが、おそらく人は大なり小なり自分を演じている部分もあるのではないか。 コンプレックス、性別、年齢、こうあるべきという価値観、一般...続きを読む的な役割をうち破りながら自分を見つめ、認め直してゆく。 無意識に解放されたいという思いが繋がったのか、各章の主人公は、あるネット掲示板に辿り着く。この一風変わったスレッドへの応答に様々な捉え方がきっかけとなり現実と向き合う。 体を脱ぐ、役割の枠に押し込められず、素のままのなりたい自分になる、これが出来たらいいのですが…。 5つの章、どれも個性に富み深かった。特別何が起きたというわけではないけれど、現代を生きる人たちの(居場所を探す)生きにくさの繊細な心理描写が響きました。 印象的だったのは、「あざが薄れるころ」の真知子。 世間からは少し違ったかもしれないが、ひたすら技を磨く姿が凛としてかっこいい。 「欲しいもの、これさえあればいい、他の人が持っているものはあったら嬉しいけど、なくてもまあいい、というものが分かったから、幸せになれたのかもしれない」 どれもラストは、主人公の表情がすっきり生き生きとして見えるところが良かった。 一生つきあっていく自分自身、やはり好きになるのが いいけれど、人はこういう思いを抱えてるんだなと。
最初はタイトルの意味が分からなくて、だけどすごく気になって手に取った本。 "体を脱ぐ"ことができたらどれだけ良いだろう。 私は自分の顔が嫌い。体型も声も嫌い。だから、今の体を脱いで他の誰かの体に入れたらいいなぁと、小さい頃から思っていた。 本作は、そんな私のように自分という入...続きを読むれ物に何らかの違和感を感じている五人のお話。自分が思い描いている"自分"と、他者が見ている"自分"との乖離に思い悩む五人。 私は中でも「鮮やかな熱病」が好きだ。こうあるべき、といった枠に囚われがちな人は、きっとその人自身が枠に無理やりはめ込まれて息苦しい思いをして育っているのだと思う。そんな語り手が、体を脱いで伸び伸びと彼らしく息をし始めるラストに自然と頬が緩んだ。 私も自分自身が好きになれなくても、しっくりこなくても、何か自分に合ったものを見つけて私らしく息ができるようになりたいなあ。
最後の話で掲示板のスレッド主の核心が明かされて、明かされた核心から思いもよらない儚げな幸せが咲いて、ほっこりと温かくなった
「手の画像をください」というスレッドに立ち寄った人々の5つの物語。しっくり来ない現状、夜のネットサーフィン、感情の移ろいが我がことのよう。 「マリアを愛する」が好き。 無理に馴染まなくても、いい。
5編どれもとても良かった。体のコンプレックス・・・というか、自分のありようと客観との間にあるギャップに、戸惑う気持ちがいろいろな方向から繊細に描かれている。どのお話を読んでも少しずつ、あ、なんだか分かるな、と思ったり、戸惑う人がいたら、こんなふうに接すればいいのかな、と思ったり。 ふだん生きる社会と...続きを読む、自分の内面とがなんだか噛み合わないと思う人は多いのかな。程度の差はあれ。その感覚に対して、どう向き合うのかも人それぞれ。「認めていいんだ」と思えるようになる高校生の和海。すでに飲み下して、「変わってる」と言われることに何かを感じることもなく日々の楽しみを見つけている50代の真知子。私が一番気持ちを寄せたのは真知子だった。欲しいもの、なくてもいいものを、きちんと見分けられるようになって、幸せな夜を過ごせたらいいな、と思う。 客観的な要請に合わせれば過ごしやすくなるのかもしれないけど、それが生きやすさに繋がらないならしんどい。そこに目を向け、息をつける瞬間も与えてくれる、そんな物語。 いい言葉もたくさん。 「息抜きしたり、自分を作り変えたり、そういう力をあんただけじゃなくて周りも手に入れて、優しくなるから。」 「新しい価値を不快に感じるのは、それまでのルールに上手く乗ってこられた奴だ。」 「愚かな熱病に、一度ぐらいかかってみても良かったのかもしれない。そうでなければ、他人の病を許せないのかもしれない。」 あと、各話に共通して出てくる「手を見せてほしい」のスレ主に『マリアを愛する』の香葉子だけが違和感を覚えている。「労力と成果の帳尻が合っていない」と。スレ主が目指した女の子と香葉子が近い世代だからかなと思うとおもしろい。
とても良かった。オムニバス形式の本ですが、どの話にも好きなポイントがあって、結果全部好きです。たぶん作者さんの根底にある価値観というか、人間性というか、そういうものがすごく自分に合っているんだと思う。日常の中でいろんな想いを抱えた人たちの、当たり前みたいな関わり合いの中で生まれていくきらきらしたもの...続きを読むが、心を癒してくれました。彩瀬まるさんの話、これからもっと読みます。
あまり期待せずに読んだがおもしろかった それぞれの章で主人公の気持ち、物の捉え方などが変わっていくのをみていると、自分の考え方の幅も広くなったような気がした どの短編も好きだけど4つ目のおじさんの話が一番よかった
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彩瀬まる
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