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シリア内戦、「イスラーム国」、「アラブの春」、石油依存経済、パレスチナ問題……中東では今も多くの問題が起こっている。しかし報道や時事解説を通してこうした事実を「知る」ことはできても、「なぜ」起こったのか、その原因を「理解する」ことはなかなか難しい。本書は、中東政治学のエッセンスを紹介しながら、国家、独裁、紛争、石油、宗教という五つのテーマをめぐり、その「なぜ」を読み解いていく。中東という大きな課題に向きあっていくために必読の一冊。
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Posted by ブクログ
高橋新書ガイドから。不勉強だけに、かなりの労力を要した読書だったけど、充足感も大きかった。何よりも、中東・北アフリカを見るにあたり、ポイントとなる視点の端緒を得られたのは大きい。すなわち、本書の章立てでもある、国家、独裁、紛争、石油、宗教。ごく当たり前にも見えるけど、その当たり前に止まらない、一歩進...続きを読むんだ論点にこそ、本書の独自性がある。論旨の展開についても、前章で触れられたことが、次章で深堀りされるって感じで、理解が容易になるよう、丁寧に重層的に語られていく。独裁の章に感じる既視感のように、ジェンダー指数や国民満足度において、同国家群とどっこいどっこいの自国の体たらくに、暗澹たる気持ちになる。
入門と言いつつ多角的な内容で読み応えがあります。筆者が本質主義的説明と呼ぶように、中東の問題を簡略化することへの批判は傾聴に値すると思います。
とても分かりやすい。中東諸国の誕生からイスラーム国まで、迂遠さや無駄のない説明が整然と配置されていて、一冊でかなりの量の知識を得ることができる。私たちは中東に関し十分な情報を持っておらず、限られた知識に基づいたステレオタイプ的な理解をしてしまいがちであるが、中東との歴史的関係が遠い日本からであるから...続きを読むこそ、客観的に見ることも可能になると感じた。中東にかかわるニュースについて子どもたちと語るために、前提としなければならない多くの知識が得られる。多くの人におすすめしたい。
中東における政治について広く学べる一冊。中東について知りたい人なら、「政治」というテーマに尻込みせずに、手に取ってもらいたい。中東の政治的問題の誤解されやすい点を中心に、理論と地域固有の性質を組み合わせながら説明がされているため、中東政治学の入門書としてとてもおススメ。
中東の国家について地域研究と社会科学、両側面から、なぜ紛争が起こるのか、なぜ権威主義国家が多いのか、その背景から概要が理解できる。 一概に中東と言っても、産油国、非産油国、イスラーム国家、世俗国家…と多様であり、中東=イスラームとならずに、イスラエルなども含めたまさに中東地域の政治について記載されて...続きを読むいてわかりやすい。
もともとは中東のある1カ国について学べる本を探していたのだがなかなか見つからず、半ば仕方なく手に取った。だったが、「中東」「イスラム」というベールに覆われて見えにくくなっているその世界の中に政治一般理論があるのかどうかを探るような、興味深い切り口の本で、初心者にはやや難しいところもあったものの満足な...続きを読む読後感である。 読み通して感じたことは、そもそもの「中東」の多様性 …政体から宗教との関わり方まで、本当に様々であること。その一方で、オスマン帝国という歴史を共有し、イスラームとの関係が国家のあり方に影響を与えているという共通点がやはりあるということ。これらの切り口を通すことで各国のあり方もわかりやすくなるのかも。
イラン核合意、シリア内戦、「イスラーム国」、「アラブの春」、石油依存経済、パレスチナ問題??? 漸く読み終えた‼
たいへん意欲的な仕上がりになっていて目からウロコの一冊だ。 「中東」については、普段新聞で何らかの事件などをきっかけに、断片的に「宗教」や「政治・政体」について知る機会があるがどうもすっーと頭に入らない。本著のように中東を包括的に宗教や政治・政体、経済をつなげて解説していただくと理解が深まる、と...続きを読むいうか中東というものをとりあえず頭のなかで整理できる。 本著で紹介されている「石油の呪い」が大変興味深い。なぜ産油国は莫大な収益がありながら独自の先端産業が発展しないのだろうと思っていた。その理油が3つの呪いだ。 1 経済成長が不安定になる 石油価格の乱高下の影響やオランダ病が原因で国内の 工業化が思うように進まない。 2 紛争が発生するリスクが高まる 大きな富を生み出す石油産業だが、限定された地域や 雇用者に富が偏ることにより、持たざるものが武力で 利得を追求する。 3 家父長制が持続しやすくなる 国内産業が伸びないこと(オランダ病)や石油輸出収 入の国民への分配が増えることにより、女性の就労の 機会や意欲が低下してしまう。
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