パトリックと本を読む:絶望から立ち上がるための読書会

パトリックと本を読む:絶望から立ち上がるための読書会

2,574円 (税込)

12pt

ハーバード大学を卒業した著者は、ロースクールへ進む前に、アメリカ南部の最貧地域の町で2年間、ボランティアの教師となることを決める。だが、劣悪な環境で育った黒人の生徒たちに読書を通じて学ぶ楽しさを教え、誇りを持たせたいという著者の理想は、最初からつまずく。読書以前に、生徒たちの読み書き能力は年齢よりはるかに劣っていたのだ。自治体に予算がなく人々に職のない小さな町で、生徒は将来を思い描けず、学校は生徒を罰することしか考えていない。それでも著者の奮闘の甲斐あって生徒たちは本に親しみはじめるが、当局の方針によって学校が廃校になってしまう。
ロースクールへ進んだ著者はある日、もっとも才能のあった教え子、パトリックが人を殺したという知らせを受ける。数年ぶりの彼は読み書きもおぼつかず、自分が犯した過ちに比べて重すぎる罪に問われていることが理解できていなかった。かつての聡明さを失った姿に衝撃を受けた著者は、拘置所を訪ねてともに本を読むことで、貧困からくる悪循環にあえぐ青年の心に寄り添おうとする。同時にそれは、ひとりの教師・法学生の自己発見と他者理解をめぐる、感動的な記録ともなった。

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パトリックと本を読む:絶望から立ち上がるための読書会 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    図らずも殺人を犯した黒人少年と、
    中国系アメリカ人女性教師の、
    2人だけの読書会。

    今年No.1だった。
    読み終わり高揚感のせいでやや壮大な気持ちになってるが、まさに人間讃歌。そして教師という職業の神聖さにも感動した。

    0
    2023年10月06日

    Posted by ブクログ

    いろいろなことが詰まりすぎていて、何を書いていいのかわからない。
    ヘレナの学校での出来事、パトリックとの出会い、作者がセレナを去った翌年のパトリックの殺人、拘置所のパトリックとの読書会。どこをとっても一つ一つが重く暗く美しく尊い。
    作者自身の個人的な事情、家庭状況も書かれている。作者の心の声も事細か

    0
    2023年03月11日

    Posted by ブクログ

    台湾系アメリカ人、家族の期待に応えて勉強して大学進学し、後に司法試験を受け、「成功」している立場の著者が、黒人の権利獲得運動に共感することで、出口のない貧困地域で教員の経験をし、そこで出会った人との深い交流を通して綴ったルポルタージュ

    家族の期待に応えなければいけない、というアジア系特有(?)の息

    0
    2022年07月19日

    Posted by ブクログ

    丸の内の丸善でノンフィクションの特集の本棚に置いてあった。

    初めは気づかなかったが、「パトリックと本を読む」というタイトルが目に入った。読書会に関する本かなと思い、手に取って帯に書いてある「自己発見と他者理解」という言葉に惹かれた。

    それは自分にとっての本を読むという行為、読書会をしていて思う、

    0
    2021年09月12日

    Posted by ブクログ

    ーむしろ私は信じなくてはならないのだ。
    あるとき、ある場所でふたりの人間が互いに
    大きな影響を与えあえるということを。

    そう、信じなければいけない。
    それこそが、世界を変える。
    いや、それしか世界を変える方法はない。

    そう思える希望の本。

    アメリカの最下層に生きるパトリック。
    救お

    0
    2021年01月30日

    Posted by ブクログ

    とても静かで美しい文章。ひとつひとつの文が、撒いた水が土に染み込むように、身体に入ってくるようだった。

    黒人の歴史が横糸となり、自身の将来への希望と不安、家族等との関係を交えた選択が縦糸となって織られていく。そこへパトリックの物語が絡んで立体的な織物となり、時には調和し、時には解れ、ひとつの作品に

    0
    2020年08月28日

    Posted by ブクログ

    「参考文献」ページに書かれている「アーカンソー州の子どもと家族を守る会」の情報によると、2013年の時点でも、黒人生徒が校内謹慎処分を受ける頻度は白人生徒の約3倍、校外謹慎処分に至っては5倍以上、黒人生徒が体罰を受ける頻度も2倍。
    警官によって男性が殺害された件をきっかけに、アメリカで大きな抗議行動

    0
    2020年07月11日

    Posted by ブクログ

    罪を犯してしまった黒人の少年と、元教師の歩んだ道のり。
    拘置所での面会時に重ねられる授業。
    少しずつ着実に学びを深める少年。
    黒人人種差別問題についての記述も多く、その置かれる状況も奥行きを持って知る事ができる。

    0
    2020年06月21日

    Posted by ブクログ

    時代小説は、私にとってよく知った友人みたいなものだ。

    スルスルと流れるように入ってくる文章は

    「読む」行為そのものが楽しい。



    けれど、時折好きか嫌いかわからない「読み物」も

    必要なのだ。

    偶然の出会いの中から、時に後々まで印象に残る

    大切な本当の出会いがある。



    この本は、まさし

    0
    2020年06月10日

    Posted by ブクログ

    よかった。貧困と犯罪の世界からどうやったら抜け出せるのか、抜け出すことは可能なのか…などと思いながら読んでいたが、中ほどからは、それよりもパトリックの豊かな読みに驚かされ嬉しくなり、読書の純粋な歓びを再確認することとなった。難を言えば、パトリックの状況は解決されたわけではないし、ここまで献身的な著者

    0
    2020年05月19日

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