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「結局自分に入用なものは、品物でも知識でも、自分で骨折って掘出すよりほかに途はない」(「錯覚数題」)。科学と文学をあざやかに融合させた寺田寅彦。随筆の名手が、晩年の昭和8年から10年までに発表した科学の新知識を提供する作品を収録する。表題作をはじめ、「錯覚数題」「夢判断」「三斜晶系」「震災日記より」「猫の穴掘り」「鷹を貰い損なった話」「鳶と油揚」等23篇。
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Posted by ブクログ
随筆、エッセイには身辺雑記的なものからかなり思想性に富むものなどいろいろだが、寅彦の科学的発想からの文章は、今読んでも古さをほとんど感じることがない。科学的思考の本質を捉えていたからこそだったのだなあと、改めて思った次第。 特に、「震災日記より」は関東大震災の体験記なのだが、地震そのものか...続きを読むら火災の様子、朝鮮人が放火をする、井戸に毒を入れるといった風説が流布している状況など、その詳細で冷静な観察には舌を巻いてしまう。
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