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好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身籠ることを――。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遥かに凌ぐ〈格差〉の闇を打ち破った究極の魂の物語。
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Posted by ブクログ
この本との出会いは、ほんの偶然、時間をつぶすためだったという訳者の堀越ゆき氏同様、私も、実家のある田舎の小さな小さな書店で、時間つぶしのために手に取ったことだった。 翻訳本、それも北欧ミステリー好きなのに、その書店にはそれの類が無く、仕方なく、、、期待もなく、、、海外コーナーわずか十数冊の中から選ん...続きを読むだ一冊だった。 しかし、読み出したら止まらず一気読み。 作家でもない一人の奴隷少女によって書かれた彼女の過酷な実体験を綴った本作は、アメリカの古典名作ベストセラー・ランキングで上位というから納得である。 自由を得るために、彼女が選び自らに課した運命は、あまりにも悲痛なものであり、その痛みは想像を絶する。 最後に訳者によって語られる彼女の身内のその後には、言葉も失ってしまった。 彼女自身が持つ崇高な魂と、恵まれた有難い人々との出会いによって培われていく才気によって、過酷な運命を自ら切り開いていく彼女の強さから、生き方を学べたことは、この本を世に送り出してくださった歴史学者のイエリン教授や訳者の堀越氏に感謝しかない。 彼女が手にしようとした差別からの解放のための運動に対して、現在のアメリカの大学、航空業界、医療業界においては何%かの割合で黒人を受け入れることが義務付けられている。それは果たして、彼女が望んだ解放なのか?平等なのか? 彼女の自由を買い取るつもりでいる心優しい夫人の行為に対して、彼女は「自分の心が啓発されていくに従い、自分自身を財産の一部だとみなすことは、ますます困難になっていた。自分を痛ましく虐げた人々に金を払うことは、これまでの苦しみから、勝利の栄光を奪いとることのように思えた。」と考える。現代においては、有色人種であれ、女性であれ、各自の努力の上に手にしたものを最上で尊いと受け止めていくことが、彼女の生き方に近い気がした。優遇は、彼女の求めた平等や解放ではないはずだ。 彼女の如き、気高い精神を持ち、常に努力を怠らず、自己を磨いていきたい、と思えた。 私にとって、時間つぶしが珠玉の一冊となった。
アメリカのかつての奴隷制度の、人を人として扱わない惨さ。ノンフィクションであることが怖いくらい。 体を伸ばすこともできない屋根裏部屋で7年間、死と隣り合わせで隠れて生活をしたり、北部に無事逃げてからも”持ち主”であるドクターフリントの追手から逃げながら生活をしたり、、 その中でも生きることを諦めず...続きを読むに、また多くの人と助け合いながら自由を獲得する姿はかっこいいと思った。
その時代時代にある「常識」や「正義」なんかは 全然違うもので、今の基準で当時を裁くわけにはいかない。 悪いものは悪いけどね。 ホロコーストとか。 名目上の奴隷制度はないけれど、 人間みんな金の奴隷になってる現代社会。 たとえ奴隷だとしても、リンダのように 気高く、愛をたくさん抱えて生きていたいも...続きを読むのだ。 「夜と霧」くらい、 読んだ方がいいかもしれない本。
・奴隷に人権はない。主人の命令に反することは犯罪 ・人間的な主人は、めずらしく稀 ・善意からはじまり誠意がこめられた約束も、守られるかどうかは状況次第 聡明で強い意志を持った著者のおかげで、このように酷い現実を知ることができた。 目を背けていたこと、無知だったことが恥ずかしい。 この本に出会えた...続きを読むことに感謝したい。
これが、わずか200年前に起きていた事なんて。 そして、今でも(ここまで暴力的なことは減ったとしても)かたちを変えてこの残酷な差別が横行しているなんて。 まずは知ることから。 フタをし、目を逸らさずに考え続けるを手放さないように。
事実は小説よりも奇なり まさにその通りの小説でした。 人はそこまで残虐になれるのか。 人はどんな残酷な目に遭おうと、志し次第で生きられる。 主人公の信念、賢さ、洞察力に脱帽。 ネットで主人公のお写真を拝見させて頂いたが、意思の強そうな目をしていた。 内容が衝撃すぎて、感想を述べる言葉すら浮かばなかっ...続きを読むた。
130年以上前の奴隷だった女性の半生記。奴隷、という歴史の教科書の中の言葉が、なまなましい人の人生として息遣いを持った。 自由になるための彼女の強靭な意志と行動力に心打たれる。
タイトルからしてキツイ内容を想像できるのですが、本当にきついです。 最初から最後まで息つく暇もないほど、緊迫感と痛みを感じました。想像を絶する辛さです。 人間に所有という概念がある世界。 自分が自分のものでない存在。自分が何者かに支配され続ける人生、それが奴隷制度。 当事者だけにしか、本当の辛さ...続きを読むは分からない。 私たちは想像することしかできないけれども、彼女の痛みは理解できるはず。 この本を読んで、思ったこと。 「自由」とは何か、よりも「自由でない」事とは何かを考えさせられました。 自由でない状況とは、、、 やりたいことができないということではなく イヤなものを「嫌だ」といえない状況なのではないでしょうか。 先の見えない中で自由を求め、あきらめずに命がけで戦い続ける著者の姿は私たちに勇気をもたらしてくれる。
あまりに辛く、、衝撃的な内容でした。 奴隷として生まれた少女リンダ・ブレント(ハリエット・アン・ジェイコブズ)が、自身の半生を綴ったノンフィクションストーリー。 辛い境遇にいながらも、リンダは希望や信念、誇りを持ち続けた。 そして守るべきものがリンダを更に強くした。 リンダの生き方はとても心に...続きを読む響いた。 感動とはまた違う、これはどういう感情なのか今は言語化が難しいけど、リンダの生き方に大きな衝撃を受けたことは確か。 リンダ・ブレントに畏敬の念を込めて。
とにかく衝撃的。実際に奴隷少女だった著者が、本名だと捕まるのでペンネームで書いた実話。 「小説は確かに面白い、でもフィクションよりも圧倒的に考えさせられる実話です」という本屋さんのポップに惹かれて買ったけど、本当に読んで良かった。 当たり前に人間が売買され、モノとして扱われ、もし殺してしまっても罪に...続きを読む問われない恐ろしい制度。目を逸らしたくなる残酷さだけど、こういう暗黒の歴史を知るのは大切だと思う。読んで良かった。
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ある奴隷少女に起こった出来事(新潮文庫)
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