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声が出なくなってしまった私は、見知らぬ相手からの招待状に誘われ、レストランを訪れる。給仕人にうながされ料理を口にすると、さまざまな情景が浮かんできて――。(「スヴニール」)荒廃した世界。空爆から身を潜め、不思議な「声」に導かれて目を開けると、自動機械人形(オート・ドール)が現れた。豪奢で美しい、暗殺用の人形に連れられて向かった先には――。(「リューズ」)『魚神』『男ともだち』の著者が贈る、リアルと幻想が溶けあうような12のショートストーリー。
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Posted by ブクログ
美しさを究極にまで言語化すると、この小説みたいな感じになるんだろうなと思う。美しさと絶望は、少し似ている。 また作中には、美しいものを愛する者たちが多く登場する。「美しさを愛する」と言えば聞こえは良いけれど、それは、そうではない世界が受け入れられない潔癖さをも意味する。決して生き物として強いとは...続きを読むいえない。生きづらいだろうな、と思う。 けれど、確固とした世界観や美意識を持つ者は、図太さはなくとも、したたかだ。したたかで、どうしようもなく魅力的だ。
美しいものはなぜ哀しいのか 全ての話が美しく刹那的でほんのりと哀しい顔を持っていた。 静かで優しい夜のようなお話。寝る前に優しい灯りの中で読むのがぴったり
もう10年ほどの仲になる、わたしの根幹を開けっぴろげにしてみせているほど、文芸的な意味で信用している友人から、どっさりと荷物が届いた。その殆どは文具であったが、ひときわ異様な妖しさを放っていたのはこの本だった。 わたしは他人から本を贈られたことがない。本が好きだと公言してはいるが、「もう持っているか...続きを読むもしれない」と思えてしまって、プレゼントの候補から外されるのだと違う友人から聞かされた。……そんなことあるわけがない。わたしの蔵書などほんの僅かで、わたしはまだまだ無知で浅学なのだ。 彼女は、わたしの書くオートドールの短編集が好きだと言ってくれていた。本の題名を見て、そのことを思い出した。彼女なりの続きの催促だろうと思う。 十二の短編を通して感じたのは、無機質で上品な、ひやりとした手触りの、海外製人形の肌の感触だった。大理石の床を歩く足音を聴くような、とも表現できる。丁寧に薄紙で包まれた、美しさの結晶を掌に載せるような感じもする。それは、硬質な美しさの背景に、暗澹たる闇が描かれているために、不安になるほど輝いている。 やられた、と思った。彼女は、わたしのことをわたしが思っているより理解しているようだ。ぐうの音も出ないほど叩きのめされた。こんなに美に凌駕されたのは久々だ。 この美しい人形たちは、わたしという陰鬱ながらんどうの中で、永久に生き続けるだろう。
全ての編が全く異なるお話で楽しめた どの短編もとても壮大な物語の中のたった一部分のような気がしてこの短編の超長編作品を読みたい 千早さんはなぜこんな想像もつかない世界を言葉に表せるのだろう 中でもお気に入りは『ビースト』というもののけ姫を凝縮したようなお話 何度でも読み返したい
どうしてこの本を手に取ったのかはもう思い出せないのですが(この本が先だったのか、透明な夜の香りが先だったのか)私が「物視点萌え」を拗らせた原因になった本です。 1話数ページの短編集。こことは違う世界かもしれない、不思議で美しく独特な輪郭の短編集。 好きなのは「スヴニール」「ビースト」「ワンフォー...続きを読むミー・ワンフォーユー」、中でも一番刺さったのは「ワンフォーミー・ワンフォーユー」。 冒頭に書いたように、この話は物視点、ティーポットが持ち主の少女と出会ってからのお話です。愛する日常、過ぎていく時間の先にある別れ。恋でもしているような(実際に持ち主を愛しているのでしょうが)ティーポットの焦がれるような祈りが胸に刺さります。きっとこういう感情を萌えというのでしょう。
「青」「人形」がキーワード。あとは「金色」ときどき「赤」。 帯に書いてある通り、「ここではないどこか」の物語。 ありえない。けどありえそうな 現実のようなファンタジーでした。 全ての物語が繋がっているようで繋がっていない。繋がっていないようで繋がっている。
12の短い物語には人形と青いリボンが必ず登場するけれど、時も、場所も、人も違っていて、様々な人としての残酷さとか尊厳とか、人生の悲しみや面白味などを浮かび上がらせてきます。青のリボンと対象的に血の色である赤も印象に残ります。どの物語も余韻が残ります。焼け野原になってしまった残骸の中からキラリと光る透...続きを読む明な石を見つけたような、そんな余韻です。私が1番好きなのは『モンデンキント Moon child』です。単なる初恋の思い出ではない、自分のことを信じてくれて、大切にしている世界を共有できるそんな誰かがいたという事実そのものが宝になるということ。小説や物語という事実ではない嘘のようなものに何の意味がある?と思ったり言ったりする人もいるけれど、この話を読むと絶対意味があるとしか言いようがありません。この世に物語が存在する理由みたいなものを感じました。 他の物語もとても良かったです。
美しく、力強く、儚い物語。 美しい文章に溺れる体験ができる。 ショートストーリーだが、それぞれの物語で人形、青い眼といった共通のモチーフがあらわれる。 人形はまさに人の形をしている。 そこに人間はさまざま感情を投影したり、同一視したり、時には攻撃性を向ける。 この物語の人間たちはどこか失感情...続きを読む気味である。 そこに、人形(的)な対象へ感情を投影する。 感情が投影された対象は、自己でもなく、他者でもない。 自己と外との中間的な領域だ。 中間領域の儚さが暴力的なまでに美しい文章で綴られる。 本来、言語は象徴ではなく記号だ。 記号はそのものズバリを表示するために、暴力的でもある。 言葉の暴力、とはよく言われるけれども言葉そのものが暴力を含んでいるように思う。 そこにきて、この文章は美しく、暴力的だ。 この暴力性に溺れ、美しさに溺れる体験ができる。 こういう本や文章を大切にしたい。
静かな雰囲気の短編集。 欲深い砂漠の民がヌカラとマムウが住む雪山を壊す「ビースト」が特に印象的だった。
千早茜さんがインタビューで言っていた。 エッセイでは本当の自分を全て書けない 小説の方が(もちろん、全て本当の自分ばかりではないけど)本音の部分を描き入れる事ができる、と言うようなお話しでした。 千早茜さんの作り出す、透明感のある世界は 幻想的であり 清々しい。 深い心の奥底の方に溜まっているも...続きを読むのの中からひとつずつ取り出して、一編にしてみたような短編集でした。 一冊200ページ超くらい本に、12編の短編 たとえば「スヴニール」と言う20ページ位の一編 出だしの2行で、季節感、時間帯、天気、温度感、 すべてを美しく表現してしまう。 すごいなぁ!
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