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イラストレーターの珠子、大学職員のかおり、雑貨店を始めた夏美。30代になった3人が、人に会い、おしゃべりし、いろいろ思う一年間。「なんだか目の前の作業してるうちに八年も経っちゃったよ」「どうするかなー、今後の人生」。仕事、恋愛、家族関係。人生は迷うが面白い! 人、風景、出来事など日常の細部が輝きを放ち、生きることを肯定する感動作。
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Posted by ブクログ
三人称多元視点の小説であることの仕組みと効果は本文庫の解説に述べられていて、割合と正当な批評ができるていると思ったから、その事に関しては特に言うべき事がない。相変わらず本作も技巧は冴えているように読めた。 日常を書いた小説、と誰もが雁首揃えて言うのだけど、日常の描き方にも種類がある。ただただ...続きを読む波風が立たなくて退屈しそうなくらいで、だけど平和で幸福な日々を淡々と書く作家に第三の新人にカテゴライズされる庄野潤三という大物がいるが、柴崎友香はそれと正反対だ。波風が立ちまくりである。 事件というほどでないが、比較的平穏な描写から急にシリアスな緊張感の支配するシーンになる、ということが本当によく起こる。そうした日々の暮らしの中で避けて通れない嫌な出来事を書かせたら、たぶん近代以降、柴崎友香より右に出る者はないのではなかろうか。普段の日常を無条件に賛美するではなく、厳しい側面が絶妙なスパイスとなっている。 あと、本作では自身が大人か否か、その自覚がテーマになっている、というのは指摘するまでもないけれど、その悩ましさもうまく書けていると思う。読んでいる最中は「あの頃の未来に 僕らは立っているのかな/すべてが思うほど うまくはいかないみたいだ」という歌詞がある昔のヒットソングがあって、その曲がわたしの頭の中でかかりっぱなしだった。彼女たちは30歳という老いてはいないが、もう若くもない年齢だけども、たぶん、彼女たちが十年前の二十歳の大学生だった時に想像した、あるいは夢想した将来にはきっと立ててはいないのだろう。けれども前を向いて歩く事をやめるわけにはいかない、夜空の向こうにはもう明日が待っているから。それは珠子もかおりも夏美にも等しく訪れる明日でもある。
特に何か起こるわけでもなく、3人の女性のそれぞれの日常の物語だけど、ちょっとした出来事とか登場人物の気持ちの表現が絶妙で、ずっと読んでたいなと思った
そうか、こんなもんなのか。なにかを実行ふると、なにかが変わる。いい方向なのかどうかは、わからないけど。とりあえず、お母さんに無理しなくていいって言わないと。 もし、だめだったら、悲しめばいいんだ。きっと、それでいい。 *・*・*・*・ 30代女子三人の一年。 なんかよかったなー。 ...続きを読むだめもとでりゅうさんにぶつかっていこうと思っちゃった。 親にも話そう。 いつか家を出る決心もついちゃった。 やってみて、だめだったら、その時だ。 なんも全力でやってない、ふつうの女の人が、ただ仕事をしているだけで、ただ恋愛をしているだけで、ただ親と話しているだけで、励まされる時もある。
これもよかった。 先週はおじさんの書いた本ばかりで疲れちゃったので好きなのばかり読んだ今週。 そうそう、あーそうやんなー、みたいなあいづちうちながら読み終えました。 わたしも本ばかり読んでる場合じゃないな、自分でそろそろ決めないと。
三人の女友達。 それぞれの暮らしがパラレルに描かれていく。 それぞれの今を重ね続ける中、三人が顔を合わせる機会はほとんどない。三人の時間は重なることもなければ見えないところで関わったりすることもほぼないに等しい。 抱えるものも異なるし、互いのことを思いやり心配するほどの濃密な繋がりもあるわけでは...続きを読むない。 誰の日常にもあり得るくらいのトラブルや小さな変化を経験しながら、それぞれが過ごす一年。 現実世界を切り取って、そのリアリティを保ちながら描かれていく叙事詩のような作品だと感じた。そう、時系列で静かに重ねられていく三人の女性の日常は平坦で抑揚はなく、気づけば逆にそれが詩的だなあ、と思った。 美しいものが一つも描かれず、三人の人生は平凡で、そこに織りなされる新たな世界観…など皆無なのに。 この作品は美しい。そう思う。 リアリティの清々しさ、潔さのようなものを、初めて小説から感じとった。 美しくないのに、美しい。キラキラしている。
すべてはタイミングなのかな。恋愛のあれこれも仕事のあれこれも。2年後に私はどんな気持ちで読むのだろう
ひとはいつ「大人」になるのか。いつの間に「大人」と呼ばれる年齢になった今、ピッタリな作品だった。主人公の3人の女性が三者三様の生活を送っていく物語。平凡だけど、日常にある浮き沈みを進んでいく主人公たちに共感しながら読み進めた。 いつかちゃんとしたらとか考えてたら、なんにもできないのかもしれない ...続きを読むっていうかおりの台詞がその通りすぎて、印象に残った。
3人称多元視点、という技法で書かれている独特の文体は、高頻度で語り手が変わるので、慣れるまで違和感があった。でも、慣れるとよりリアルな人間模様が伝わってきて、一気に読み終えた。 大きな事件が起きるわけではないけれど、30歳の女性たちの生き様が、読者に共感と勇気を与えてくれる。
女の子3人。イラストレーターの子の描写が素直で良いなぁ。 自分がそこに入っててもおかしくないくらい、すぐそばのお話。
つかめないけど妙にリアルで面白かったな~ 働く女たちは、自分たちの年齢に自覚のないまま いつになったら大人にカウントされるのかな~って ふわっと思いながらだるっと毎日を生きている気がする。 わたしは奈良でぼちぼち生きたいわ。って、そんな都合のいい仕事ないねんけどな。そこそこで生きていくことがなんで...続きを読むこんなに難しいんかなあ。普通ってほんまにすごい大変なことみたいな気がしてきた、最近。 ほんま、そう思うわ。普通って難しい。
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