透明人間は204号室の夢を見る

透明人間は204号室の夢を見る

550円 (税込)

2pt

3.4

コミュニケーション能力皆無の実緒は、高校3年生の時、ある出版社の小説の新人賞を受賞する。ペンネームは「佐原澪」。デビュー当時は話題になったが、6年経った今、佐原澪の名前を覚えている人間は少ない。実緒はデビュー以降、スランプに陥り一作も小説を書けなくなっていた。自分のデビュー作が未だに置かれている書店へ行っては、誰か手に取らないかと監視する日々。するとある日、実緒の本を手に取る大学生風の男の姿を確認する。思わずあとをつけ、彼の家を特定する。部屋の番号を確認し、ポストに手を突っこみ郵便物を抜き取ると、そこには大学からの封筒と彼の名前・春臣の文字が。それからというもの、今まで一行も書けなかったことが嘘のように、実緒は春臣のことを連想した小説を書くようになる。その小説を春臣のポストに投函することで実緒は満足感を得ていた。ひょんなことから実緒は春臣の恋人と仲良くなるが――。第三十七回すばる文学賞受賞第一作。

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透明人間は204号室の夢を見る のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    『書けないときの苦しみは窒息に似ている。浜に打ち上げられて、ぱくぱく口を開いている魚の気分だ。必死に跳ね、もがいても、一向に酸素は得られない』。

    人は誰でも何かしら夢中になれることがあると思います。他の全てのことを差し置いてもあることに夢中になれる瞬間。それは幸せ以外の何ものでもないでしょう。それ

    0
    2022年10月15日

    Posted by ブクログ

    夢と現実と、各者の中で混じり合っている感覚が好き。

    実緒の言動が、犯罪的な部分もおかしいことは理解しつつ、それを興味深く読み進められた。

    奥田さんの作品は2作目だけれど、人間誰しもある自分の嫌な部分と認めてもいいのかなっていう部分の表現が絶妙で、私は前向きになれる作品だった。
    全部きらきらしてい

    0
    2020年12月20日

    Posted by ブクログ

    「書かなくては、自分の言葉を書かなくては、いつか本当に消えてしまう」
    小さい頃から孤独だった実緒の側にずっとあった本。自分も賞を取ることができて注目されたのに、時間が経ち忘れられて誰も読まなくなってまた孤独になる
    生きづらさを抱えながら、クラスの人気者のあの子のようにキラキラした青春を夢見ていた実緒

    0
    2022年07月04日

    Posted by ブクログ

    妄想と孤独、その先にあるかもしれない何か。「普通」が難しい女性の、イタくて切ない物語。すばる文学賞受賞第一作。
    早熟の天才児の行く末は不幸の道を歩むことが多い。結局は経験値不足が年齢相応な言動に至らず、また創作者であれば作品に深みがない。本作の主人公・美緒もコミュ障からくる大スランプに陥った作家だが

    0
    2020年09月28日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校生で小説新人賞を受賞したが、それから6年間、小説が書けないままの実緒。書店で自分の著書を手にする青年を目撃し、思わず後をつけ、家と名前を特定する。

    それ以来、嘘のように書けるようになった掌編を彼(春臣)の郵便受けに投函し続けていた実緒だが、やがて彼の恋人(いづみ)とも知り合い、3人で交流するに

    0
    2020年09月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実緒が小説を書けなかったのは、圧倒的な経験不足かなと思った。
    実際に経験したことから着想を得て書いていくタイプのようだから、高校を卒業して、人との関わりがぐっと少なくなって、それでインプットされないからアウトプットもできなかったのではないかな。
    春臣といづみとの関わりは、実緒にとって今までにないもの

    0
    2023年01月12日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小説家としてスランプ真っ只中の実緒はずっと孤独を生きてきて、もう友達や恋人ができることはないだろうと諦めている。人との距離がわからない実緒はストーカー紛いな行為を繰り返してしまう。孤独は恐ろしいけど孤独であればあるほど、実緒は小説家としての勢いを取り戻していくのが切なかった。

    0
    2021年03月21日

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