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笑いについての考察は古来さまざまに試みられてきた。西洋哲学においては笑いの底に人間の「突然の得意=優越感」あるいは「小心さ」を見た。また「笑いの空間」と「差別の空間」が重なり合うところで起きていることも意識されてきた。
では、笑いという現象を解く一個の原理があるのだろうか。
笑いとは平穏な日常の破裂である。独特の状況や人間関係のなかから生まれる。また、笑いとは生ものである、刹那的である等々、笑いという現象はいろんな側面からその特徴を見出すことができる。
本書では西洋哲学の知見から現代日本における「お笑い」さらに広く芸術まで、笑いの現場を視野に入れつつ秩序、掟への揺さぶりとしての笑いの可能性を縦横に考察する。
Posted by ブクログ 2023年07月01日
ハリウッドザコシショウがなんで面白いのか、正確にはザコシの何が面白くて私は笑っているのか?
それが解明できただけでも読んだ価値がありました。
「笑い」というものを、特に日本社会における「笑い」を解析していきます。
優越的な笑い
不一致の笑い
ユーモアとしての笑い
各章立てで著者なりの解析・分析が...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月11日
この本の良い点は様々な「笑い」のメカニズムを解説しつつも、ある程度考察の余地を残しているから、自分自身で「笑い」についてより深く考えてみようと思える事だと思う。
筆者は、「笑い」の社会性・知的さ・ユーモアは実に人間らしい部分の表れであり、それ故にどのような笑いを好むかはその人の人間性が表れと考えら...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月01日
「笑いの缶詰」のところがとても興味深かった。笑い声の効果音は、笑いのツボを明確にし、その笑いはなぜ面白いのかを視聴者が考えないようにする効果がある。
「おかしさは私たちに、そのおかしみがわかるかと問うてくる。おかしみに触れた私たちにはこれに答える義務が生じる。」
精神的疾患をかかえた人が集まる社会...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年12月12日
コロッケの記号学的解釈は秀逸。
著者の言う、笑われるものと笑わせるものと笑うもの、三者の誰もが手を抜かない状態が良い姿じゃないだろうか。テレビは笑うものをあまりにも甘やかし過ぎてしまったせいで、いまの袋小路に陥ってしまったのではないか。
笑えないなら見なきゃいいではなく、笑えないのは不勉強という、批...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月23日
美学を専門とする大学教授による「笑い」の哲学論。
ただし、堅苦しい理論の羅列ではなく、「笑いは生モノ」と捉え、その多種多様の現象を、《①西洋哲学②日本のお笑い③日本社会における笑い》の3つの視点から考察していく一冊。
著者は現代社会に蔓延する閉塞感を「笑い」で打破できる可能性を示唆している。
閉塞...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月04日
ただただ面白いことが笑いであり、誰もが面白いことは笑うと思っていたが、社会的な問題や時代の変化によって、「笑う人」「笑わせる人」「笑えない人」など立場が様々である。
そして改めて、お笑い芸人さんの方「笑いをどう切り取るか」という部分も奥が深いなと感じた。
難しい考察が書かれた本ではあったが、笑いを...続きを読む
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