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いま、学校の授業が実用化とディズニーランド化に向かっている。だが、きちんと知識を吸収し、深い学習を促さなければ、AI時代には生き残れない! 学校教育のあり方に警鐘を鳴らす。
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Posted by ブクログ
楽しいだけの授業、知識軽視の傾向、好きなことみつければよいキャリア教育など、教育現場で起こっていることを具体的に示し、教育改革との矛盾を訴えている。
とても分かり易く、私自身にも実感のある話が多数ありました。同じことが繰り返されるのが少しくどいところですが…。教育に携わる者は、その立場(小中学、高校、専門学校、大学など)の違いに関わらず、一読することをお勧めします。
今起きている新教育課程へのもやもやをわかりやすく言葉にした本。 実学自体は決して悪いものではない。 だけど、なんでもすぐに役立つものばかりを求めたり、 短絡的な楽しさだけを求めたり、 それだけでは人間は成長できないとも感じた。 現場はほんとに困っている。 楽しいことしかしたくなくてベラベラ話す子...続きを読むどもとか、 この勉強はなんの役に立つのかと聞かれることもあるし、 小学生レベルのことがわかっていない子どももいる。 言葉が通じていないって感じることが増えた。 国語の話が多くてありがたかった。 新しい教育課程になることで、スピーチやプレゼン、実用文の読解をする時間が増えて、 文学や古典をやる時間は減ることになる。 私自身は、文学や詩といった文芸の力を信じていて、 それは答えのない問いを考える機会になるからなんだけど、 もはや高校生の中で、『山月記』とか、『こころ』とか、『源氏物語』とか、過去の素晴らしい作品を読む機会は絶たれてしまうかもしれないなと思う。 たしかに高校生たちがその先の将来使いようが無い知識かもしれないけれど、 役に立つことしか知らない人たちが、 その場その場のことしかできないで、 文化はどう深まるのだろう。 テクノロジーが進化していったときに、 中身のない人たちがモノに使われてしまうだけじゃないのか。 私自身も現場でアクティブラーニングもするし、楽しい授業を心がけているけれど、やはり力を伸ばせるのは厳しい状況でも、壁を乗り越えられる力のある生徒だと思う。 グループ学習やプレゼンは、アウトプットをさせることで、一人ひとりの力を伸ばすことのできる活動ではある。 でも、中身のない生徒が何をアウトプットするんだろう。 話し合いが深まり、面白い意見が出るのは、成績の高い子だったり、美術や科学など、何かに秀でた子だったりする。 アクティブラーニングだけでは子どもは育たない。 今の子どもに必要なのは厳しい中でもやり切る力だと思う。 それが本書でも触れられている非認知能力ということなんだろう。 知識と思考力の間をとった改革と言いつつも、実はどちらにも向いていなくて、コミュニケーション至上主義になってしまっただけだったのかも。 来年度から新しいカリキュラムが始まるけれど、不安しかない。 教育って、誰しもが受けるものなので、今起こっていることを批判的な立場で書いた本として、いろいろな人に読んでほしい。
■感想: 自分が本書をこんなきのめり込んで読んでしまうとは思わなかった。 学校教育を受けているときは、当時の教育方法、指導方法に不満など一切持たずにいたわけだが、今現在大人になり、自分の受けた教育方法と、国内外の教育方法、今後の子どもたちが受けるであろう教育方法に関心を持たなければいけない。 著...続きを読む者は近年取り入れられている「アクティブラーニング」(活動あって学びなし、教えない授業の蔓延)、「楽しい授業」の追求(学びの楽しさではなく、楽な学びに移行)、「主体性への評価」(何を持って主体性を測るのか)を批判、危惧している。 そもそも、意見を述べたり討論する授業「アクティブラーニング」はアメリカで学力の低い学生や学習意欲の乏しい学生を救済するために注目されたものらしい。 アクティブラーニングは、私の大学生の頃からあったが、確かに薄っぺらい学生の討論をするくらいなら、講義型の知識が吸収できる授業を受けてたほうがよかったとすら思えてきた。 発言、討論が「能動的な学び」ではないということ。能動的な学びになるか否かは、学習者次第。 ■メモ: •発達期待:こんな人間に育ってほしいといった期待のこと。 アメリカでは、自身を持つこと、自己主張ができることが母親の発達期待であるが、日本では、思いやりを持つこと、強調的であることが発達期待らしい。理想とする人間像が異なるため、教育によって人格形成をしていく方向性も異なるのは当然のことである。 •外向に価値を置くアメリカ、内向に価値を置く日本。 •問題は講義型の授業ではなく、問いや課題が生起しない授業。求められるのは、能動的に見える授業ではなく、知的能動性が発揮される授業である。 •クランボルツの「計画された偶発性理論」:私達のキャリアは偶然の出来事によって大きく左右されるため、偶然を自分のために活かすにはどうしたら良いかに力点を置くべきだとしている。従来は批判的に見られてた、未決定の心理状態を肯定的にとらえ直し、心を開いた状態を維持することの大切さが強調されている。
楽をして学ぶことと、学ぶことか楽しい、は違う— 知識偏重型からの脱却、詰め込み型の入試からAOや推薦入試への移行が進みつつある日本。 大学教育に携わる著者が警鐘を鳴らす。若干保守的な考え方であると感じたが、内容には概ね賛成できる。 本書の中で特に重要だと思われたのは、国語にお...続きを読むける実用文教育へのシフトチェンジに対する批判だ。実用文とは契約書や規約等の読解力になるわけだが、文学や評論ではなく実用文の読解がこれからの国語教育の中心になるとは恐ろし過ぎる。 確かに契約書等を読む論理的読解力は重要だ。しかし、言葉の力は思考力やものの感じ方に強く影響する。中学生や高校生の折に一流の文学や評論に触れることで感性や表現力を学ぶことはその人の人生全体に大きな影響を及ぼす。それに教科書で読んでみて、続きが気になって、読み漁った本もたくさんあった。国語の時間はそんな出会いの場としても大事な筈だ。 実用文しか読めず、文学も評論文も読めない学校教育は。。。 しかしながら、著者の欧米文化にたいする浅薄な理解はすこし目に余るものがあった。一つ一つ挙げるとキリがないが、日本と欧米文化の比較はことごとく的外れであった。例えば欧米は自己中心の文化で、日本は間柄の文化、としているが、少なくとも私の周りでは欧米人の教授の方が間柄を大切にして、かなり気遣い上手でTPOにあった絶妙な言い方をしてくださることが多かったりする。
10年20年先にこれからの教育を受けてきた人たちと一緒に仕事をしないといけないことを考えると、あまりにも自分が受けてきた教育方針や内容とかけ離れていて、難しいだろうなと感じた。でも、その人たち自身に問題があるのではなく、上の世代の責任である。教育というのは慎重に行われないといけない。
知識を軽視し、アメリカ型の実学偏重教育によって薄っぺらい人間が多くなってしまうのではないかと警鐘を鳴らす本書。今日の教育改革や若者の現状を捉える上で、とても良い視点を提供してくれた。 データ自体が筆者の経験則や一部の学生アンケートに偏っているため、厳密な議論とは言い難い部分もあるが、実際に今日に生き...続きを読むる若者として深く納得できた。 日本文化から教育を考えること、一人で深める学びがあること、既に他者への配慮が尊重される社会における対話的学びの必要性など、なるほど確かに、と思える部分が多い。教育を志すのならば目を通しておきたい1冊である。
教育のあり方は子どもたちの人生を左右する。ゆえに、安易な教育改革は避けるべき。実用性重視の改革に疑問を提起し、より良い教育の方向性を探る書籍。 小学校では、英会話を中心にした英語の授業が行われている。調査によると、その時間を楽しいという子どもたちは多いが、これを根拠に英語教育を推進するのは危険だ。...続きを読む最近、「楽しいかどうか」にとらわれすぎる風潮が強まっている。 今日、知識偏重の教育からの脱却が唱えられ、英語教育は読解・文法中心から会話中心へと転換した。だが、言い回しや発音のハウツーを習うばかりでは国語力や思考力が向上せず、子どもたちの英語の学力は一貫して低下している。 近年、主体的な学びが大切だとして、グループ活動などを行うアクティブ・ラーニングが推奨され、授業に取り入れられている。しかし本来、主体的な学びとは、授業外の学習活動などによって行われるものであり、強制されるものではない。 脱・知識偏重教育の一環として、学校では、思考力と知識を分けて学習評価をするようになった。だが、正答に至る思考は、それに関する知識があって初めて可能になるものだ。知識と思考を分けて評価するのは至難の業である。 最近の教育界はアメリカの教育を模倣しているが、自分に自信を持つことを重視するアメリカと、協調性を重視する日本では、目指す人間形成の方向性が異なる。教育の方向性を模索する際は、自国の文化的伝統を考慮すべきである。 日本の教育改革は、実学を重視する方向に向かっている。だが、プレゼンや討論などの実用的なスキルを身につけても、知識や教養、深く考える習慣を身につけさせることができなければ、薄っぺらいのに自信満々な人間を生み出すだけだ。
現場が困っているというより著者は怒っているか。大きな社会動向の前に一個人が抗うことはほとんどできない。理念は良いが実行段階で組織的にできるだけ公平に誰もが扱えるようにと具体策に落とし込むと理念と裏腹な結果になることも多い。子ども(~大学生)は自ら現在の教育制度を選べない。全て,大人が敷いた制度である...続きを読む。子どもが危機的であるならば,それは大人の責任であろう。教育を任せてしまうことのメリットとリスク,そこにどう関与するか。そのうち,子ども(未来の大人)から大人が「俺たちを低能力にしやがって」訴えられる日が来るかも。そんなことも思わない考えない状態かもしれない。そうすると危機的な状況に気づいた個人の力が意味を持つ。自立の気概だ。
アクティブ・ラーニングと称するグループワーク、教員の受けを良くするための処世術の進化、「授業が楽しい」とするためにただ遊ばせる内容をやっている大学教育の危機を訴えている。 たしかに読解力は低下しているし、飽きっぽいのが今の学生。 そんな学生の主体性はたかが知れているので評価に値しないというのもわかる...続きを読む。 じっくりと文献に取り組み、一人で考え抜く力が求められている、内的体験が重要であるという点はまったく賛成する。 それから日本人の優秀さが悲観的なところ、謙虚なところだ、と持ち上げるのは少しずれている。 一方で、著者の手前味噌な自分の授業はよくできている、学生も感動したアンケートの紹介が連続する部分について、恣意的なデータ抽出に過ぎず、そこはなんだかなー、という印象。
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