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20世紀以降、芸術概念は溶解し、定義や可能性を拡張した新しい潮流が続々と生まれている。アーティストは、差別や貧困のような現実、震災などの破局的出来事とどう格闘しているのか。美術は現代をいかに映し、何を投げかけたか。本書は難解と思われがちな現代美術を、特に第二次世界大戦後の社会との関わりから解説、意義づける。世界中の多くの作家による立体、映像、パフォーマンスなど様々な作品で紡ぐ、現代アート入門。
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Posted by ブクログ
現代美術の流れを世界の流れと日本の流れそれぞれを通しで解説しています。なるほど、世界の流れと日本の流れには違いがあるのか。道理で外国の現代美術を見ると首をひねることも多いわけだ。後ろの方には現代美術と政治の関わりを反体制以外の側面も含めて書いてあったのも良いです。良くまとまっている、これこそ新書とい...続きを読むう感じです。
現代アートを俯瞰してみるにはもってこいの一冊。 ジャンル、時系列、潮流ごとに話しがまとまっているので「現代アートのいろは」を知りたい方。何となく現代アートを知っている人には体系立てて整理できるので初心者にも、既にかじっている人にも良さそう。 その中で気になったジャンルが見つかったらそこを深掘って...続きを読む勉強するのがちょうど良い感じ!
教科書的な本 これを読んでおけば現代美術の歴史や単語をさらえる 手元に置いておきたい本 美術史が歴史そのものであること 批判することによって次の世代が発生すること 美術が社会の中にあること 特に後半あまりにも社会にどう呼応するか?ということになっていき、今後の自分の制作どうしようと気が重く...続きを読むなってしまったが、わたしが社会の中で生きている以上なにを作ってもおそらくいまの社会と関係がある作品になる そう思う これは本の感想ではない
現代のクラフトや古い町並み、環境保護の人気は19世紀の芸術運動ウィリアム・モリスの「アーツアンドクラフツ運動」が源流7 モリス⇒芸術は必ずしも単独で行われるものではなく、常に他社との協働作業か開かれている(現地の震災復興コラボアートなど)10 柳宗悦の民芸運動はクロポトキンの「人類や社会の進化、発...続きを読む展は、生存競争ではなく、自発的な助け合いから生まれた」という相互扶助論を元にしている12 オリエントオリエンタリズム←柳が陥った罠。朝鮮や沖縄などを特殊で独自の文化とすることで、その中心が日本だと設定して周辺と中心化する。西洋の「日本人論」人気の日本版16 田河水泡はダダから連なる日本の芸術運動マヴォに参加していた25 マヴォは関東大震災の直後、有り合わせのもので建てられたバラックにペンキを塗るなどの「バラックプロジェクト」を行った29 ミエレルレーダーマンユケレスはメンテナンス(作品の維持)も「アートの領域だ」と、その地位の確立を宣言した51 協働アートの嚆矢は1982年ドクメンタでのボイスの「7000本のオーク」69 新自由主義的な市場原理と結託したアートを「ベアアート」と言う114 藤田直哉は「前衛のゾンビ」で、日本のアートプロジェクト、アートフェスティバルを「地域アート」と定義。やりがいを理由に地域住民やボランティアが、無償で酷使されているのではないかと批判。リレーナショナルアートの搾取的性質196 戦争画から考えられるのは、「社会」から完全に自立して存在することの出来ない「芸術」の限界を思考すること306
芸術を社会という視点から見つめ直した本。 西洋のお話しだけでなく、日本を含むアジアのことにしっかり触れていて、 なるほどなーと思いながら読みました。 それぞれの作品の説明に愛が感じられます。 内容は難しくなく、知ってることも多いのですが 改めて知っていることとそれを外に表すことの間にはそれはそ...続きを読むれは高い壁があるなと思い知らされました。 現代美術と自分との接点が見つかるかもしれない、王道美術史がちょっと…という人に読んでほしい一冊です。
戦争や経済、人種、性別など様々な要因、そして時代によって影響を受け、また与えてきた美術史を解説した良書。 改めて戦後の日本の美術の歴史が、世界からみると異質だったと言うことがわかる。
60年代から現在にかけて、現代アートが、世界・日本・トランスナショナルな面においてどのような変容を遂げたのかを概説した本。芸術と社会の関わり。 芸術といえども社会と不可分であり、その流れを掴むことができる。ただなんとなく、現代アートの「流れ」を掴むというよりは、時期ごとにどんなアートが生まれたか...続きを読むと言ったような、カテゴリの紹介として読むと読みやすい。 「現代アート」というと、明確な訳の分からないものとしか見えないかもしれないが、確実にここで紹介されたようなカテゴリの文脈に載っている。たしかに、現代美術館にいってみると、現代のアートは、一人でどうのこうのするとか、「反〜」といったアートよりは、プロジェクトとしてのアートが増えている気がする。見たことがあるのは、工場労働者を巻き込んだアート(映像作品)であったり、沖縄の人々を巻き込んだらアート(映像作品)であったり、街中に机を置いてそこでいきなりパーティしたり。そういう意味だと、プロジェクト、という面でビジネスとアートの距離も近くなっていたりするのかなとも思われる。 また、自分としてはインスタレーションなどで、鑑賞者にも問いかけるようなアートが現代アートなのだと思っていたのだが、流れ的に、もう少し違う潮流になっているのかとも思う。 なんとなく、作者が1番強調したいのは、トランスナショナルなアートだと思う。戦争と芸術。あいちトリエンナーレ騒動に代表されるような事象。その是非は、簡単には裁断できない。しかし、それに対する筆者の答えは、最後の説で述べられている。「その「永遠の難問」に取り組み続けることにこそ意味があります。善悪二元論に基づく単純な問題設定から脱け出し、「なぜそうでしかありえなかむたのかを一つ一つの事例に向き合いながら考え」ること。そのことはすなわち「社会」から完全に自律して存在することのできない「芸術」の限界を思考することです。裏を返せば、それは「社会」における「芸術」の真の可能性を見定めることでもあります。
ボリューミー 普通に美術史 帯から伺えるワクワク感はなし 現代美術史を新書でやるとこれが正解なのだろうけどもっと引き入れるように書けるのではと
第二次世界大戦後の現代美術の歴史を、欧米、日本、トランスナショナルと分けて概観。アートがいろんな形になっていく経過とか、それぞれの作品の社会的な背景など勉強になった。
図版はほぼなし。 冒頭の現代芸術の源流の説き起こし、現代美術の特徴の提示は良かった。しかし、途中から延々と続く差別や戦争をテーマにした記述は、芸術の大事な側面だと思うが、それだけが現代芸術ではないのだから、総合的に見て「タイトル」に偽りがあったと言わねばなるまい。 また、差別や戦争をテーマにした...続きを読む芸術を論じるのに、「うわ滑った」印象しか得られなかったのも残念だ。作品はもっと生々しいはずで、それを論じるならば、「文」ならではの冴えが欲しかった。 ベンヤミン「政治の美学化」は憶えておこう。
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山本浩貴
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