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猥、嘲、凶、呪……不穏な文字が並ぶ詩と出会い、著者は賢治の本心を探り始めた。信心深く自然を愛した自身をなぜ「けだもの」と呼んだのか。醜聞にまみれ病床でも自己内省を続けた妹の姿に何を思ったのか。名作『銀河鉄道の夜』の中にどんな欲望を秘めていたのか。緻密かつ周到な取材による謎解きの果て、修羅と化した賢治の“真実”に辿りつく。執念が実った圧倒的ノンフィクション!(解説・首藤淳哉)
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Posted by ブクログ
「生命の伝道者としての賢治」、「農業に希望を託す賢治」…など著者はこれまで「四人の賢治像」をもっていたが、五人目の賢治と出会うことになる。 これまで看過してきた賢治の文語詩。そこには「凶」「猥」「呪」などの禍々しい気配を発する文字が並ぶ。 探偵のように、秘められた賢治の姿を探る。
以前から気になっていた本だったので、文庫版になったのがありがたくてありがたくて即座に購入。 読むのに随分時間は掛かってしまったが。 何しろ内容量が多いし濃い。 現地にまで赴き、非常に細やかに宮沢賢治の詩や物語を読み解いているので、ドキュメンタリーを見ている気になった。 (事実、著者はテレビ業界人、ド...続きを読むキュメンタリー風なのもそのためか) 本当に圧倒的情報量と説得力。 恋の詩や短歌を残しているのに恋人の影が見えてこなかった点。 妹とし子への想い。 ある一つの不可解な詩の謎解きから、宮沢賢治の心の奥底へ潜り込む旅が始まる。 病弱だが頭がよく、賢治のよき理解者だったとし子のイメージが、この本を読んでがらりと変わった。 寧ろとし子のよき理解者が賢治だったのだろう。 彼女がずっと心にため込んでいたこと。 それが原因で病にまでなってしまったこととは。 そして、その彼女が抱えていたことは、賢治がずっと抱えてきたことでもあった。 さらっと詩を読むだけでは見えてこなかった二人の心情が、この本ではこんなに鮮やかに解き明かされている。 他にも『永訣の朝』や『銀河鉄道の夜』などに隠されていた想いも解き明かしている。 本当に圧巻の一言。 これまでの定説を覆す目から鱗の理論は一読の価値あり。 この本に書かれたことを踏まえて今一度イーハトーヴォを歩けば見える景色は変わる筈。 より近くに賢治の息遣いを感じられるようになるだろう。 賢治愛好家は是非読んでほしい。 ある意味ショッキングな内容ではあるが、それ以上に得るものが多い筈だ。
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宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―(新潮文庫)
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