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「青鯖が空に浮かんだような顔」「オタンチン・パレオロガス」……明治・大正・昭和に活躍した文豪が放った皮肉・罵倒の語彙とは。文豪たちの人間くささが垣間見えると同時に、悪態をつくときに放たれる言葉に不思議と奥深さも感じられる一冊。
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Posted by ブクログ
明治~昭和期の文豪たちの悪態な文を集め、背景等を解説。 〔第一章〕「馬鹿」「田舎者」・・・夏目漱石、尾崎紅葉等。 〔第二章〕文豪の嘆きとぼやき・・・永井荷風、小島政二郎等。 〔第三章〕喧嘩もほどほどに・・・太宰治、菊池寛、幸田露伴等。 〔第四章〕その「皮肉」も効いていますね・・・三島由紀夫等。 表題...続きを読む・文豪の語彙・文豪と相手の経歴での構成。 文に続き、言葉の意味からの導入は、ユニークです。 「しょげる」が江戸時代までは、どんちゃん騒ぎという意味とか、 これだけでも面白い。ですが、更に面白いのが、使う文豪さん。 文豪さんも人の子ですから、怒ったり嘆いたりすることがあります。 さすがに手は出ませんが、口をつく言葉、書く文章で表現します。 見事に相手の本質を、的確に表現しているものもあります。怖い。 永井荷風VS菊池寛。中原中也VS太宰治、あ、これは手が出てるか。 菊池寛VS中央公論社は書いた広津和郎のオロオロぶりがなんとも。 それだけではなく、文豪さんたち、パワハラ・セクハラ・DV等、 なんでもありで、現代だったらSNS炎上極まる行状が、あちこちに。 作品よりも評伝を読みたくなってしまったくらい、 凄まじいものでした。
先日読んだ、『文豪たちの悪口本』では様々な『悪口』が掲載されているだけだったが、こちらは著者の解説がしっかりと書かれているのでよりその背景…文豪たちの人間関係、人生や生活などが分かって興味深い。ただ『悪態』というほど『悪態』っぷりはなく、その点では『悪口本』よりはおとなしい。 『悪口本』で疑問だっ...続きを読むた、永井荷風と菊池寛の険悪な関係がこの本で分かったのも収穫の一つ。 なるほど、結局のところ価値観の違い、考え方の違い、性格の不一致と言ったところか。要は徹底的に相性が悪い二人だったのだ。 しかし荷風先生、いくら嫌いな菊池寛だからといって名前を間違えるのは良くない。誰だって自分の名前を書き間違えられるのは気分が良くないだろう。もちろん校正の甘さのせいもあるので先生だけの責任ではないが。 開き直って菊池寛を悪し様に書いているが、これが逆に菊池寛が永井荷風の名前を間違えて雑誌に掲載しようものなら、もっと痛烈な批判をしたはずだ。 恥ずかしながらこの作品で様々な文豪たちの師弟関係も知った。 泉鏡花が尾崎紅葉の弟子だったのも知らなかったが、その紅葉の遺品を経済的に困窮した遺族が買い取ってくれないかと鏡花に頼んだものの断ったというその理由も意外。 内田百閒が漱石の弟子であることは知っていたが、そのことを信じてもらえず漱石自筆の軸を買い叩かれてしまうさまは何とも切ない。 しかし一方で困窮ゆえとはいえ、借金を平気で踏み倒す文豪たちもいるのだから致し方ないのか。 室生犀星の妻への、結婚前の猛烈なラブレター攻撃はなかなか。そっちは掲載されていないが、ラブレターに戸惑う奥様の手紙からしても相当なことが書かれていたのかなといろいろ想像してしまう。 だが上手くまとまったあとは寧ろ奥様の方が積極的なのだから面白い。 明治~大正の作家や詩人俳人は経済的に困窮しているイメージが強いが、そんな中、戦時中でも贅沢な暮らしをしていたという谷崎潤一郎を皮肉った三島由紀夫、石原慎太郎の『太陽の季節』が登場してあまりのジェネレーションギャップに拒否反応を示す宇野浩二など、皮肉部門も興味深い。 菊池寛もなかなかの人物だが、直木賞の名前になった直木三十五も強烈だ。だが小説家としてはそれほど有名作品がない直木の名前をなぜ冠したのか、菊池寛にとってはそれほどお気に入りの人物だったのか。
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文豪の悪態 皮肉・怒り・嘆きのスゴイ語彙力
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山口謠司
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