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かつて政令指定都市といえば、横浜や京都など日本を代表する「華やかな百万都市」を意味した。しかし市町村合併推進のため、従来のイメージからほど遠い都市が次々移行した結果、その数は二〇に達した。一方、近年の経済的停滞により税収は激減し、老朽化した施設や生活保護への対応が重荷となっている。「大阪都構想」などの改革で大都市は甦るのか――。歴史や統計、インタビューから、日本の大都市統治を問い直す。
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Posted by ブクログ
政党システムや代表制、税制のもたらす影響に加え、社会経済的な大きな構造の変化に着目して、環境の異なる都市がそれぞれ直面する問題や、都市とそれ以外の地域の葛藤、国と都市との関係を整理したもの。
政令指定都市に焦点をあてて、論じた著書は皆無であり、その意味では貴重な本である。 政令市の歴史の部分は、とてもおもしろかった。 しかしどのような政令指定都市像が構築できるのか、筆者自体も検討しているようで、明確ではない。
自治体職員となるにも関わらず、「そういえば政令指定都市制度のことよく知らないなー」ということで、勉強のために手にとった新書。 とても勉強になりました。 基礎自治体(市町村のこと)や広域自治体(都道府県のこと)とは何か、そして、横浜や大阪や名古屋といった大都市により強い権限を与える論理は何なのか。 ...続きを読むこのあたりの歴史的な経緯や、地方自治の考え方について(一貫してカタいですが…笑)、丁寧な分析のもと解説がなされています。 日本型大都市制度である政令指定都市制度が、実は杜撰な制度設計で(実は法律的には人口50万人以上という要件しかない)、現代においてそのひずみが露呈していること。 話題の大阪都構想をはじめとする、このひずみを克服するための近年の提案や論調については、切れ味の鋭い批判的な考察がなされていて、見せ場になっていると思われます。 横浜は少し違う事情も抱えていますが、基本的に大都市はその市域と社会経済的圏域に著しく差があるため、居住人口以上のための行政サービスを提供する必要があるということ。 しかしそのために使える財源や権限は、たとえ政令市であっても現行制度では不十分であり、制度の抜本的改革や、新たな試みが必要とされていること。 日常生活を送る中で、こうしたことはこれまで特に意識することはなく、都市はどこでも円滑にまわっているのが当然と感じていました。 ただそのことが、「税負担はできるだけ少なく、行政サービスはできるだけ大きく」というような、受動的かつフリーライダー的な国民意識につながってしまうとしたら、それは民主主義国家として危険だなと感じます。 本書では行政、つまりは「官」側の話に終始していますが、こうした背景だからこそ、下からの、【小さな公共】が重要なのだという主張にもつなげることができるな、と感じながら読みました。 地方自治制度の入門書(二冊目くらい?)としても、良書でした。
大都市の統治制度の歴史・現状を余すところなくまとめられている。大都市の未来について語る際には、本書の論考を必ず頭に入れた上で議論すべきだと思う。
題名通り、政令指定都市という行政区分についての新書。 身近かつ重要、しかも、あまり解説書もなく、大阪都構想などにより近年再考されるべきものになっているため、テーマ設定としては素晴らしい。 内容としても、政令指定都市についての理解が深まり、それこそ公務員を目指す人などにも有効な本だとは思う。 イン...続きを読むタビューなどもしており、論文上だけでない実際の在りように迫ろうとしている。 加えて、2013年時点ではあるが、大阪都構想の流れについても面白い。 一方で、新書の割には著者の文章の整理がうまく出来ていないように感じる。 繰り返しの表現や、(特に三章の「権能と組織」の部分など)話が散らかっている印象を受ける。 終章「政令指定都市を超えて」というありがちな章題が示すように、どのように政令指定都市の問題点の解決策も具体性を欠いてしまっている。 テーマ時代が面白かっただけに、そうした点が残念だった。
よく網羅的に調べて書かれていると思います。しかし記述が客観的すぎて、筆者が政令指定都市制度がどうあるべきなのか、大阪都構想をどう評価しているのか知りたいところ。 実は本書で一番驚いたのが、橋下徹市長の公務の実態についての部分。彼は、全国の市長が当たり前にこなしている「全市的イベント」「住民・団体対...続きを読む応」に殆ど関わらず、その圧倒的な時間を「庁内執務」に費やしていること。つまり彼は選挙対策で住民の人気取りをする必要がないので、その時間をもっぱら勉強にあてているわけです。これは凄いというか、恐ろしい。
大都市制度は正直難しい分野だと思う。 わが国には色々な都市があり過ぎるからだ。同じ政令指定都市でも、県との関係や経済規模など大阪と横浜では置かれている状況が違う。 このこともあり、一律な議論が難しいと思われる。実際、ちぐはぐな本だという印象を受けた。しかしながら、政令指定都市について包括的に述べられ...続きを読むているので、全体を把握したいならいいかも。
政令指定都市について、他の自治体や英仏の自治体との比較、政令市の沿革をなぞり、特に大阪市を例にその限界を指摘し、新たな大都市制度の必要性を記している。
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政令指定都市 百万都市から都構想へ
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