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ナポリ近郊の墓地で、惨殺死体が発見された。犠牲者はカモッラ・ファミリーのボス。その名が刻まれた墓碑の前に捨てられていたのだ。だが、墓碑はひとつではなかった。全部で七つの墓碑が、これからの殺害を予告するかのように残されていた。警察の懸命の捜査にもかかわらず、犯人の魔手は次なる犠牲者へと忍び寄る。そのころ、七番目の墓碑に名を刻まれた男、ミケーレが20年間の服役生活を終え、刑務所を出所するが……。
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Posted by ブクログ
ただでさえ馴染みの薄いイタリア人名に加え通称が入り乱れて出てくるので、読み進めるのにちょっと苦労したが、楽しめた。過去の事件についての落とし前のつけかた #ナポリ・ミラノ・ジェノヴァ・リンツ
ミステリとは新人としても小学校教師である婦人との共著で何作もジュニア向け小説を出し、そこそこの評価を受けている現役の刑務部主任警察官という経歴は、気にならないではいられない。本書は、刑務所で始まり、凄惨な犯罪現場に舞台を移す。連続殺人事件の予告とも見える七つの生きている人間の墓碑。マフィアの抗争と...続きを読むも見られる墓碑銘のメンバーたち。 その中の一人が長い獄中生活にピリオドを打つ直前に火ぶたを切ったこの連続殺人事件。出獄者であるミケーレが語る現在と暗い過去の交錯。もう一方では連続殺人事件に臨むベテラン刑事だが孤独な中年男でもあるロブレスティの屈折した視点で進む捜査状況。 イタリアならではのマフィア、宗教、深い暗闇のような歴史や、時を孕んだ古い町といった素材が、生かされ、語られると同時に、ミケーレが獄中で読んだ同房者の本が各章で重要な暗示をもたらす。コンラッド、ユーゴー、セリーヌ、トルストイ、デュマ、他、ヨーロッパの名だたる文豪と名作が各章毎に、章題として切り取られる構成、それを追随するかのようなミケーレの脳内における過去への旅。 それぞれの現在が過去を掘り返し、現在行われている惨たらしい復讐劇に回答を与えるが、墓掘り男が誰であるかは最後の最後まで明かされず、その意外性には度肝を抜かれる。だからこそ、全体はスケールの大きなミステリなのだが、勧善懲悪と呼べない人間たちの複雑な関係こそが『ゴッドファーザー』同様にマフィアという素材の厚みやデリケートさを感じさせる。 早川書房が、本書をHMではなくNVに分類したのも、ミステリとしてよりもノヴェルズとしてより大きなドラマティック要素を本書読者に提供できるものと期待したのではないかとぼくは類推する。 とは言え少々無骨で生真面目な面はあるものの、エンターテインメントのミステリとして、派手な舞台装置、様々な事件の背景となるイタリアの各地方、あるいは国外ヨーロッパのいくつかの古都に、キャラクターを散在させ、スケール感を出しつつドラマティックに進めてゆく話法には、ジュニア小説で鍛え、世界の作品へとジャンプアップする意欲とエネルギーに満ちている。単純に物語を楽しめるところは最近のイタリア・ミステリのグレードに見られる安定感から想像に難くないと思う。 奇妙な経歴の新しい作家による新しい試みへの意欲溢れる力作としての第一作、それなりに気になる作品であったからこそ、読んで正解だったと言える。次作でも新しい地平を見せてくれることを期待したい。
ナポリ近郊の墓地で、惨殺死体が発見された。犠牲者はカモッラ・ファミリーのボス。その名が刻まれた墓碑の前に捨てられていたのだ。だが、墓碑はひとつではなかった。全部で七つの墓碑が、これからの殺害を予告するかのように残されていた。警察の懸命の捜査にもかかわらず、犯人の魔手は次なる犠牲者へと忍び寄る。そのこ...続きを読むろ、七番目の墓碑に名を刻まれた男、ミケーレが20年間の服役生活を終え、刑務所を出所するが… ハードな描写が続くクライム・サスペンスだが、切なさが残った。
まず、登場人物の名前が、通称や愛称、ファーストネーム等複数あるので、常に、「この人誰だっけ?」的になって最初は物語に入り込めなかった。家族や兄弟、組織への想いがイタリアならではと思った。最後は驚いた。
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