カブールの園

カブールの園

750円 (税込)

3pt

3.8

シリコンバレーで起業した30代後半、日系3世の女性レイ。
80年代アメリカの小学校時代に周囲から受けた壮絶ないじめの後遺症を今も抱えながら、黒人の同僚とコンビで自社製品のプレゼンに駆り出される日々を送る。
精神安定剤を手放せないレイは、大仕事を前に休暇を命じられ、旅に出る。

日系1世の祖父母が戦中に入れられたマンザナー強制収容所、レイの母がひとり暮らすリトル・トーキョー。自らのルーツを歩いたレイは、目を背けていた本心・苦しみの源泉を知った。

複雑な形で差別の問題が日常にある3世の苦しみ、母親との関係。
日本とは、日本人とは、私とは何か――。

VRや音楽のミキシングアプリを対比させ、問題を鮮やかに巧みに
浮かび上がらせる。「マイノリティとしての私たちのこと」を問いかけた傑作。

第30回三島賞受賞。芥川賞候補。
「一読者として非常に感銘を受けた」平野啓一郎(選考委員)

様々な人種が暮らし、薬物の誘惑も幼児虐待も当たり前に転がるニューヨークで、女子プロレスラーとして働く姉の稼ぎで小学校時代を送った。やがて当たり前のように、一つの悲劇が起こる――日本人青年が、かつての生活を振り返る「半地下」も収録。

解説・鴻巣友季子

※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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カブールの園 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「カブールの園」4…幼少期における母親との共依存と学校でのいじめをVR治療する女性ITエンジニアの話。リミックスのクラウドサービスの詳細さはさすがプログラマー。
    「半地下」4…ニューヨークで父に失踪された姉弟の奮闘。処女作に手を入れたものらしい。
    宮内作品はその美しくクールな文体が好き。

    0
    2024年05月05日

    Posted by ブクログ

    デビュー作から、順番に読んできて、作者は一作ごとにいろいろ実験しているのでは、と勝手に解釈している。ああ、今回はこう来たのか、と言うのが第一印象。私小説では無いにしろ、自分の経験、心の奥の何かを主題に書いたのかな(文学って全部そうだろ!)。結果、いい作品じゃん。微妙な優しさ?が漂っている気がします。

    0
    2023年04月17日

    Posted by ブクログ

    表題作はアメリカのソフトウェア会社で働く日系三世の女性・レイを主人公に据えた物語です。会社から強制休暇を命じられたレイは、かつて祖父母が収容されていた日系人収容所を訪れ、アメリカ人になりきろうとした母と、日本人であることを捨てなかった祖母との間をかつて取り持ってくれたミヤケ氏の名前を見つけます。ミヤ

    0
    2020年04月12日

    Posted by ブクログ

    マイノリティの辛さが伝わってきました
    日本というほぼ単一民族国家に住んでいては中々考えることがないテーマかと思います
    読みやすいし、テーマもはっきりしていてよいです

    0
    2020年01月18日

    Posted by ブクログ

    表題作と「半地下」の2編。とちらも米国で差別を受け悩む日系人が主人公。英語と日本語という相容れない言語で思考するアイデンティティの葛藤?ちょっと難しかったです。

    0
    2021年11月18日

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