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新次元への扉を開く小説の最進化形! 本当の自分を勝ち取るため、青年は頭と体を鍛え闘いの火蓋を切る。 映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
玉ねぎを剥いていくような読書体験であった。 剥ききった果てには当然何もない。しかしその何もないということが、我々を落胆させることはないでしょう。 その虚無に何を感じられるだろうか。
テーマは、ありがちな若者の自分探しの物語だか、主人公は作者の分裂であり、分裂した自己との対話で本書は成り立っている。 誰よりも「特別な自分」であることを証明するために主人公。結局は「特別な存在」にはとうていなれないという虚しさを募らすだけと知りながらせっせと「特別な自分」の証明を試み続ける主人公。 ...続きを読む日常生活の中での仮構を突き崩す、暑苦しくぶっきらぼうな暴力性を認識しながらも、なお書かねば落ち着かないという、書き手にとっての悲痛さを主人公に投影し、主人公と作者が対話をする。伏線も多く難解だが、面白い。
阿部和重の堂々たるデビュー作。全部詰め込んで、思いが溢れて自分まで飛び出してしまったというような反則的蛇足に感動した。
今読み返したらどう感じるかはわからないですが、今まで読んだ本の中で、一番グッときた気がする。いや、一番じゃないかな。まあ、どうでもいいですね
もう少し前に読んでいたら嫌悪感で溢れただろうし、 もう少し後に読んでいたら憐れみを抱いただろう。 このタイミングだからこそ理解。
これは良いぞ。青臭いぞ。 こういうくさいやつのほうが、僕は好きで、たしかにぱっと見のタイトルは「アメリカの夜」のほうがよいのだけれど、 「生ける屍たちの夜」のほうが僕は好きです。 いえーい。 物語性というか、小説の箱をしっかりと意識していて、良いと思いました。 読みにくいですが。
秋分の日生まれの中山唯生というもう一人の「自分」を通じて、特別なものを追いかける内面を描き出している。甘い幻想ばっかり追いかけてると死にたくなるよ、と解釈した。自分には何ができるのか、夜の暗闇で考えてみる。
第37回群像新人文学賞受賞作,第111回芥川賞候補作および第8回三島由紀夫賞候補作。デビュー作としてはかなり注目度の高い作品。 ディック『ヴァリス』やセルバンテス『ドン・キホーテ』など数多くの文学作品からの借り物が,モチーフとして登場。ある種のメルヘンくさい私小説といえる。 ポストモダンの残骸か...続きを読むら,映画やカメラの特性を拾い上げて再生しようという意欲が湧いてくる。
読み終わってしばらく酔っ払っているかのような、一発キメテいるかのような浮遊感。 パンチの効いた一冊。
特別でありたいと願えば願うほど、「『きちがいになりたい』ひと」「シネフィル」という『型』にはまってしまう若者がジレンマともがく姿を、小説という枠を何処までも自由に使ってあらわした作品。唐突に思想談義があったり、あらすじはあってないようなものだし、主人公は著者と話し始めるし、シリアスシーンも左右白黒に...続きを読む塗り分けた主人公のせいで台無しだし笑、すべてがめちゃくちゃ。しかし、その滅茶苦茶が著者の言いたい話の流れに従って並べられているから、読むうちにこころが引っ張られていってしまう。青さ、だけでは片づけられない一冊。
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