性と欲望の中国

性と欲望の中国

896円 (税込)

4pt

驚きの現地ルポ! 爆買いから「爆セックス」へ。14億人民の爛熟と頽廃

かつて中華人民共和国は「セックス不毛地帯」であった。共産党は売春を撲滅。性愛そのものが「ブルジョア的」とされ、恋愛小説さえ発禁だった。男女共用ニーハオトイレもあたりまえ。女性でも平気で道に痰を吐き、脇毛も剃らずに晒していた。
ところが今、高度経済成長とともに、セックス文化が爆発的に花開いている。

微信(WeChat)などSNSを利用した売春や不倫が横行し、エロ系オタク文化やAV発のサブカルチャーも大流行。AIやロボット開発に携わる若き理工系の頭脳が、精巧なラブドール(ダッチワイフ)開発にしのぎを削る。日本に押し寄せる中国人観光客向けに、ソープランド巡りなどを目的とした「日本買春ツアー」さえ売り出されている。

百花繚乱の中国の性事情には、「いびつな人口動態」「拝金主義」、そして「権力闘争」が影を落としている。一人っ子政策によって男女比が均衡せず、「結婚できない男性」が3000万人を超える。そのため、一部の性産業にとって中国市場は「ブルーオーシャン」なのだ。また、工業地帯の周辺には、性産業で手っ取り早くカネを稼ごうと若い女性達が大量に流入し、風俗産業が乱立する「性都」がいくつも生まれた。

一方で、いきなり当局の手入れが入って壊滅したり、有力者の不貞行為が突然暴露されて失脚することも多い。これらの背景には中国共産党内部の権力闘争が密接に絡んでいる。LGBTへの迫害や生きづらさ、共産党による監視の不気味さなど、深いテーマにも鋭く斬り込む。まさに「性事」から「政治」を読み解いた作品である。

...続きを読む

性と欲望の中国 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    習さんの締め付けですっかり下火と思っていた中国の性産業。前半はすっかり廃れたかつての性産業の記憶。そして、後半は今の性。一人っ子政策の影響でアダルトグッズが社会で認められていると思っていたけど、解放された今でもしっかりニーズがあるんですね。そりゃ、それなりの道路の路面に店が出ているはずだわ。
    昔話の

    0
    2019年12月21日

    Posted by ブクログ

    この著者の作品は毎回買う。今回も面白かった。終わった東莞などよりも、現在進行形のレポートをしてほしい。ラブドールは面白かった。次に出そうな香港ネタが楽しみ。

    0
    2019年09月30日

    Posted by ブクログ

    中国という大国を“性”という視点から紐解いた本書。
    切った張ったをしている外交のイメージとは別の側面を見られて興味深かった。とても刺激的な一冊。

    0
    2022年08月05日

    Posted by ブクログ

    子作りの法的制限、果てはウイグルに対する強制不妊治療。性に対して国家が介入するのは中国だけではなく、日本でも、肉体の一部を映像上はボカしたり、管理売春は禁じられている。禁じなければ、元来、獣として備える本能的な部分、人間は更にそこに発達した頭脳による複雑な性表現が絡み、秩序が保たれなくなるからだ。法

    0
    2021年12月12日

    Posted by ブクログ

    冒頭にあるように、人口が多ければそれだけ欲望も大きなる。極端なところの切り出しではあるだろうけれど、スケールが違う。そのパワーは、AIとの融合やラブドール仙人みたいにプラスの方向に作用することもある。

    0
    2020年05月16日

    Posted by ブクログ

    「エロ」という根源的欲動をテーマを、中国に身を投げ出して取材するような著者だからこそできる取材スタイルで掘り下げた一作。

    テーマ自体は中国人すべてにかかわるといってもいいテーマ。だからこそ、テーマを追えば追うほど「中国人のエロ」というより、エロよりも「中国人各人のもつフェチズム」が見えるようなとこ

    0
    2019年08月15日

    Posted by ブクログ

    ●中国と言えば安田さん!大学が同じだから何故か親近感を感じてる!
    ●さすが14億の民、そりゃ色々ありますわね。煮えたぎる性の欲望か…ずっと締め付けなイメージがあるけど、習近平台頭までは緩みっぱなしだったなんて意外だね〜
    ●ラブドールの回がやたら細かくて苦笑
    ●未婚で終わる男子が3000万とかやばいや

    0
    2024年01月08日

    Posted by ブクログ

    経済成長著しい中国、それをエロという視点から見ようとするのは面白い。人間の欲望は抑えられないからだ。しかし、思ったよりも中国は禁欲的であった。というより、エロを抑え込もうとする習近平政権の徹底ぶりは恐るべきものだった。中国では、エロもまた利権を絡めた政権闘争なのだ。果たしてこれからどうなるのか、興味

    0
    2021年04月16日

    Posted by ブクログ

    習近平による締付け強化と,経済やテクノロジー発展によるエロへの関心の高まりが,なんとも言えないバランスにある。
    周永康ヤバすぎ…

    0
    2019年06月23日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ノンフィクション関連で大きな受賞をした後の第1作がこれ、、というのがいかにも著者らしいが、統治への考察と庶民の生活をうまくミックスして論ずるという彼の特徴は充分に活かされている。

    驚きなのはラブドールが大陸では独自の発展を遂げると共に、テクノロジーを活用したものになっているということ。かつて一人っ

    0
    2019年06月23日

性と欲望の中国 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

文春新書 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

安田峰俊 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す