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他者の感情が読めないアスペルガーの私は、早期経頭蓋磁気刺激という実験的施療の影響で、感情が見える世界へと放り込まれた。待っていたのは希望と戸惑い、そして「アルジャーノン」のようになるのかという不安……患者が自ら語る稀有なアスベルガー施療体験。
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Posted by ブクログ
実体験からなる魔法のような体験を書いた本で、脳の働きについて考えさせられました。 特に「脳の一部の機能が劣っているとき、その部分が別の能力のために使われている」という点に納得感がありました。 そうなると平均を求めるよりは、そういったものも個性として受け入れる社会にすることが人類全体として目指す...続きを読む方向なのではないかと思いました。 しかし脳をいじっただけで一瞬で「人の気持ちが分かる人」になるということは、察するスキルって後天的に得られるものというよりはほぼ才能なんですね。
非常に面白かったし、興味深かった。 現在、知っているADSDやASDについての知識が、いかに表面的なもので、中途半端なものか、わかったし、未知の領域なのだ。
注意して読んだのは、TMSを施されたあとのジョンを含む被験者の変化がどのように現れ、それらが彼らの言葉でどう表現されるかということ。 この表現に使われる言葉が抽象的であればあるほど私の想像はクリアになっていく様に感じたし、それを脳科学的に解析するアルバロをはじめとする医師たちの言葉はその想像を実際...続きを読むに脳の構造を描きその機能を理論だててくれた。 既に観た映画『アルジャーノンに花束を』は本書を映画化したものと思って読み始めたがそれは違った(よくある原作と映画化の相違みたいなものかもしれない) どちらも良い作品であるだと思うが。 やはりこの本の優れているのは何と言っても、日本語訳。ジョンのTMSの受け入れ揺れに動く切ない心情や、アスペルガーとしてもって生まれた過敏な感覚が更に研ぎ澄まされていく様子がジョン自らが語る言葉の繊細さで見事に伝えてくれているところにある。 TMSを受けた自分を想像して、自己の感覚の拡張世界に入り込んでみたり、逆にアスペルガーになった自分が、失うことになった感覚で生きる世界に入り込んでみたりしながら読んでいる自分がいた。現実にいながら、隔絶したカプセルの中の時空を味わった。映画でなく本でこんなトランス状態になれたのは久しぶりだ。 素晴らしい時間をくれた 本。
「普通の人」の定義ってなんだろう。 そう考えさせられるお話。 病気は治すことが良いとされていて先天的な精神障害もその例外ではない。しかし、筆者の体験からは必ずしもそうではないと思い知らされた。 もっとも、筆者は病気という認識はなくひとつの個性として受け入れてきた時間が長いことが功を奏していたのだろう...続きを読むけども、自閉症と診断された子供はかつての筆者のように学校や親からはそれは悪いもので治さなければいけないものとして認識しなければいけなくなる。 病気として定義づけることはマイナスの要素を孕んでいて、治療することはその人の個性を奪う可能性もあることを周りの人間は知っておかなければならない。 試しにこの治療をやってみました、「普通の人」みたいに人の心が分かるようになりました、ハッピーエンドです、で終わらないのはノンフィクションの良いところ。 様々なことを考えさせられるこの作品は多くの人に読んでもらいたい。
字数が多く、読むのにとてつもなく時間がかかった。 リアル版アルジャーノンに花束をという感じ。 自閉症について勉強になった。 文章が論理的で難しい話もいっぱい出てきて読むのが大変だったけど人生の悩みやら色々書かれていて心動かされるものがあった。
自閉症者が求める「他者との共感面」を改善できる期待をもってTMS臨床実験に挑んだ被験者の記録として、とても興味深かった。著者がとても前向きで治療を絶賛する面が、かえってASD特有の思い込みのようで効果には懐疑的に感じる面も感じた。文章が上手くてとても読みやすかった。
自閉症スペクトラムの要因は不明だが、経頭蓋磁気刺激(TMS)のように効果のある施策が増えるのは望ましいと思う。しかし、自閉症スペクトラムを治療できるようになってしまうことで、彼らが持っている類い稀なクリエイティブな才能が、社会に還元されなくなってしまうことを引き起こすのではないか、と危惧する。秀才ば...続きを読むかりの世の中では息苦しい。
軽度のスペクトラム障害を持ちながら、音楽エンジニア、自動車修理工場経営などで、成功してきた著者が、中年になって、脳の一定の箇所に電圧をかけるというTMS療法の実験台となり、他人の感情を理解する能力を得ることができ、その療法の効果は短期間で消えたものの、その後もひとの感情を気にかけるという能力が残った...続きを読むことにより、その後の人生が豊かになったという実録。 もっとも、同時期に同じ療法を受けた彼の息子は、TMSの効果が消えたあと、特段のプラスはなかったようなので、うまくいったのは、特殊事例なのかもしれない。 なぜ、アメリカの本は、この程度の内容なのにこんなにページ数が多いのか、不思議だ。
作中にも出てくるが「アルジャーノンに花束を」思い出した。 アスペルガーであることのメリットには考えさせられる。 認知神経科学への興味がわく。
電子工学に強い自動車修理工場を営むアスペルガー症候群の患者が、経頭蓋磁気刺激(TMS)による治療に興味を示し、自ら協力者となることを承諾。実験に参加したところ、思わぬ効果があったという実話に基づく話。
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