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「この作品が失敗したら、次回作はありません」宮崎監督が口癖のように呟いた言葉。スタジオジブリ創設第一作『天空の城ラピュタ』宮崎監督と多くのアニメーターたちは、いかにプレッシャーと闘い、情熱を注いだのか。これまで語られなかった監督の素顔、制作過程、作品考察を交えて描くスタジオジブリの10ヵ月。フィルム完成から公開までわずか10日! その感涙のドラマに文庫版として新稿・新章を加えた増補改訂版、遂に刊行
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Posted by ブクログ
読みやすかったし、ラピュタの全編を通してやスタジオの裏側を知れて面白かった。木原さん目線ではあるけど宮﨑駿監督のユーモア溢れる人となりもまたひとつ知れてイメージが膨らんだ。色彩設定の保田道代さんのことは知っていたけれど、制作進行というお仕事や、ジブリの世界観を支えてきたスペシャリスト達の人物像が見え...続きを読むてクレジットを見る楽しみが増えた。 すっごく便利な時代になったけど、以前勤めてた会社で仲良しのおっちゃんが、「あの頃は今よりずっと忙しいし大変だったけど、産業社会がこれから新しく出来るものばかりで楽しかった。みーんな前向いてた」みたいな事言ってたけどそういうことなのかな。 次はトトロの時代の話も読んでみようと思う。
「天空の城ラピュタ」で制作進行を務めた著者の、ジブリ入社前からラピュタ完成までの回顧録。 当時は現在のようにデジタル化されていなかったため、宮崎監督が作成した絵コンテを元に、レイアウト、原画、動画を人の手で作っていた。それゆえに膨大な工数がかかり、開始直後から常に納期との闘い。 特に各部門の橋渡し...続きを読む的な役割である制作担当は、制作の遅れを取り戻すために自分の時間を削ってスケジュール調整を行うため、最も過酷と言われているらしい。著者も昼夜関係なくスタジオにこもり、命を削って仕事をしたとのこと。 今の感覚では、体育会系でブラック企業だと言われてしまいそうだけど、当時の創設されたばかりのスタジオジブリは宮崎監督を慕って集まった若者が多く血気盛んで、ジブリの語源のごとく熱く自由な雰囲気だったらしい。 そんなエネルギーに満ち溢れたチームの中だからこそ生まれた名作だと思うし、それくらいの厳しさの中でないと生まれないものなのかなと思った。 著者も述べているように、宮崎駿監督は、「天才」の一言で片付けては行けないほど苦労されていることが分かる。完成から公開まで10日というギリギリの時間の中で、最後の最後まで物語の完成度を高めていったことが記録されていた。 タイトルにもある「もう一つのバルス」のエピソードはその凄さがよく分かる。何気ない手の向きの変更によって物語のイメージが全く変わってしまう。 会社の存続がかかったプレッシャーの中で、最後までこだわって完成させた精神力は、巨匠と呼ばれたる所以なのかなと思った。 「アニメーションは、スタジオという筒の中にスタッフを詰め込み、監督という棒をそこに突っ込んで、押したらポンっと出来上がる、ところてんのようなものではない。 プロデューサー、監督をはじめ、多くのスタッフや関係者の汗と力を結集し、常に物語や作画・美術の質、スケジュールや予算と闘い、もがき、苦しみ、紆余曲折の末に生まれるものだと、僕は今も思っている。」 そうした奇跡のジブリ作品の名作の数々を楽しめる環境にいることをうれしく思う。
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増補改訂版 もう一つの「バルス」 ―宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代―
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