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終末は永遠の滅びか、永遠の救いか――? 新約聖書の最後で世界の終わりを暗示する「ヨハネの黙示録」。歴とした正典ながら謎のメッセージとして不吉なイメージを背負う問題の書。「七つの○○」「666」「大いなるバビロン」……その強烈な個性は絶えず異端視する声を喚び、独特なカタルシスを生む。ギリシア語原典からの全訳に加え、訳者と図像学者による解説をそれぞれ収録。(原本:岩波書店刊、1996年)
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Posted by ブクログ
今やそこ彼処の映画やドラマ、小説などでネタに使われているあまりにも有名な預言の書であるにもかかわらず、そういえば映画や小説などのネタからだけの断片しか知らなかったなあと思い、今回手に取ってみた。 本書は単に『ヨハネの黙示録』を載せるだけでなく、それに関連した古い図象が併載されているところが嬉しい。カ...続きを読むラーならもっと良かったのにな。 パトモス島に住むヨハネという男がある日、神のお告げとして世界の終焉と再生の顛末の幻を見たということでそれを一書にまとめたものとなっている。 本書は長らく聖書の正典とするかどうかの議論があったとのことで、その内容を読めばキリストの教えとは無縁な、隠喩や仄めかしに満ちた復讐と復讐後の世界の話であるため、聖書として扱うことに躊躇いがあったのも頷ける。 この書はある意味では復讐譚であり、あるいは救いの予習であり、または強迫観念の植え付けの書でもあるため、確かに精神上のトランスを促す媒体としては極端であり不適切なものといえるが、やはり宗教としては「天国と地獄」を備えたかったと見るべきか、はたまた採用を決めた当時のキリスト教の幹部(公会議とかかな?)にユーモアを解する人が多かったと見るべきか、いづれにしても聖書としては異色な存在であることには違いが無い。 ちなみに私はユーモアを解する幹部が多かったと思いたい。 大体において始終、神がへんてこな4獣に囲まれ、24人の長老にかしずかれて、雷だのラッパだのが鳴る中で賛歌を聴いているなんてうるさくて仕方がないと思うし、それを聴いて満足している神って一体・・・!? 神が自分以外に興味を持っている「悪い」人間に対する報復が凄まじいというかおぞましいというか、ちょっと度を超え過ぎていやしないか・・・。!? 「悪い」人間たちに報復するために送り込まれる怪物たちも、人間の顔を持ちライオンの歯をしさそりの尾を持つイナゴとか、ライオンの頭を持ち火と煙と硫黄を吐く馬とか、10本の角と7つの頭を持つ竜とか、「666」と偽りの刻印を人の額にしてまわる2本の子羊の角を持つ獣とか、もうこうなれば特撮物の世界で逆に楽しいかもしれない。 (「666」ってキリスト教を弾圧した「皇帝ネロ」の意だったんだね。) バビロンの大淫婦の乗る緋色の獣にいたっては、7つの頭と10の角を持っていて絵を見る限り、もうどうなっているのか訳が分からなくなっている。 7つの封印だの7つのラッパだの、7つってローマを仄めかしたということだけど、ねちねちと順番に迫る夢の中での敵討ちはちょっと怖い!! 解説によると「悪」の人間に対する報復のくだりについては、似たような話の繰り返しということで、いくつかの話の合体が指摘されていて、ローマ帝国弾圧下にあってはいろいろな場所で、今に見ていろよ!的な怨みが渦巻いていたんですね・・・。うわっこわっ!! あと、いろんなところで登場する子羊がイエス?の化身だというのもなんとなく緩い感じがしてほのぼのとしているけど、実際、目が怖い気がする・・・。 こんな書、既に広まっている以上、後世のキリスト教幹部としては、ユーモアを交えた鎮魂歌として採用するしかなかったのではないかな・・・。如何!? さらに本書の構成としては、最初は次々とラッパが吹かれ封印が解かれて大災難を浴びかけるというものだが、後半にいくと休憩!?があったりして、だんだんと脈絡が分からなくなっていく感じがする。 結局、最後はこんな感じなのかな? ハルマゲドンという場所に霊が集結して地上を大破壊させる → 大淫婦登場 → 大淫婦を破滅させる → 千年王国がやってくる → 千年後にサタンが解放される → サタンを破滅させる → 最後の審判 → 天上に新しいエルサレムが築かれる → 子羊に名前を書かれた人しか入れない → おしまい う~む。本当に回りくどい・・・。やはり笑うしかない!?
新約聖書正典の最後の書にして、キリスト教黙示文学の代表格である『ヨハネの黙示録』の邦訳。数々の幻視を通して示されるこの世の終焉と新生の預言を、詳細な注記と解説、多数の図版と共に収録する。 本書は、1996年に岩波書店から刊行された単行本(新訳聖書翻訳委員会『ヨハネの黙示録』)の文庫版である。『ヨハネ...続きを読むの黙示録』の日本語全訳を注記と解説、そして黙示録の光景を描いた歴史的な図像を付けて収録するほか、キリスト教図像学者の石原綱成氏による解説『「ヨハネの黙示録」の図像学』を収めている。 紀元1世紀後半――ローマ帝国による迫害の時代に著されたと目される『ヨハネの黙示録』。艱難の中で衰微と棄教の危機にある信徒達に対する応答として編まれた本文書は、今日でも様々な場所でモチーフとして援用される印象的な幻視(イメージ)を描き出している。天の玉座とその袂に立つ異形の子羊、七つの封印と地上を襲う諸々の災い、赤き竜とその僕たる二匹の獣、そして最後の審判――。それらが示すのは悪(「大いなるバビロン」=ローマ)の滅びと新世界(新しきエルサレム)の到来という希望、救い(信仰)か破滅(棄教)かの二者択一、歴史を支配する神の恵みの摂理である。本文庫では(「歴史的・批判的釈義の観点から、原文の意味に最も合致する」という視点から)各々の幻視が何を意味しているのか、その背景にあるものは何なのかを平易に注解しており、難解な黙示録の世界を分かりやすく紹介している。文庫という形式も相まって、黙示録の世界に触れるのに最適の書と言えるだろう。
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ヨハネの黙示録
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小河陽
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