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小三の亜澄は母と二人暮らしをしている。亜澄が7才、弟の理央が5才のときに、両親が離婚して弟が父に引き取られたからだ。コンビニのパートで生計を立てる母とのぎりぎりの生活を、淡々と受け止めている亜澄だが、ふとしたときに弟の理央の声が聞こえてくるような気がしていた。ある日、亜澄は駄菓子屋のおじさんに呼び止められ、幸運を呼ぶと評判の看板猫のマルを4.5日預かって欲しいと言われる。
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Posted by ブクログ
パートだけで子育てや家事に専念してきた主婦が、突然の離婚。特に資格もなく、いままでのような生活費を得ることかどんなに難しいか…。 仕事が決まらない不安と苛立ちからか、「死のうか」と娘に言ってしまう母。 その一言から、不安と小さな怒りと夏休みを過ごすことになる安澄。 でも、ナゾの店のおじさんに頼...続きを読むまれ、猫のマルの面倒を見ることになる。お店に来るお客たちから、マルの背中の丸い模様をさわると、願いが叶うと言われている。 安澄には、マルがいてくれた、あの夏休み。 離れ離れになってしまった弟、理央。理央には、ゾゾがいた。 母がコンビニのパートの後、帰ってこない日がある。 もしかしたら、自分だけ死んでしまったのか…マルの背中を撫でながら、不安に耐える安澄の姿に胸を締め付けられる。 周りの大人たち… 駄菓子をたくさんくれ、マルを預けてくれたおじさん、おじさんの店の常連の化粧の濃い女の人と、おばあさん。 教会の人たち。 それから安澄にちょっかいを出す自転車の中学生。 感動作とは思わない。 淡々とした、大人たちとのかかわりの中で、自分らしさをしっかりともっていく安澄。 母の仕事がどうなるのか、ゾゾは、とこに行ったのか… それがこの、安澄とマルの夏のおはなし。 私には映画のようにありありと安澄の呼吸か聞こえてきた。
子どもの頃は些細なことが不安だったり、悲しかったり。大人になって、自分が親に言われて嫌だったこととか傷ついたことを結構覚えていたりする。 なのに、子どもの気持ちがわかるか?といえば意外とないがしろにしてたり、、 子どもって、より幸せに生きるために虚勢をはり、良い子でいようとし、我慢もしてるんだな。 ...続きを読む離婚した母と暮らすあずみちゃん、大好きな弟とはこころの距離がこれ以上離れませんように。
岩瀬さんは児童文学者としては社会派なんだ。 いじめや不登校をテーマにして、共感させて明るい未来を感じさせる終わり方っていうのが、今どきの児童文学の定番で、虐待や貧困が出てきても、そんなに生々しくは描写されないし、最悪の状態ではないのが普通なのだが、このところの岩瀬さんのは救いがないというか、あまりに...続きを読むリアルというか。 『きみは知らないほうがいい』も『ぼくが弟にしたこと』も逃げ場がない感じだったが、この本の貧困シングルマザー家庭も、これからどうなってしまうのだろうかと、読んでて心配になるのだが、最後まで状況は変わらない。お菓子を食事にしたり、母親が帰ってこなかったり、気に入っている服を「あんたには似合わないから」と説得されて売られたり、母が転職するのも、学校給食のパートから清掃業で明るい未来は見えない。実際貧困家庭ってこうなのだろうけど、小学生の女の子が語る形式をとっているので、この子の心がどんなに不安と寂しさで押しつぶされそうになっているかが伝わってきていたたまれない。(またこういう子どもの心情を語らせるのが上手いんだ。) 主人公だけでなく母はもちろん、別れた父と暮らしている弟も情緒不安定から見えない生き物がいると言ったりするし、老母と暮らす絵描きの老嬢も、教会の人も、近くの戸建ての子も、皆心に闇を抱えて生きにくそうにしている人ばかり。 『そのぬくもりはきえない』や『「うそじゃないよ」と長谷川君はいった』『まつりちゃん』は厳しい状況を描いても、救いがあったし、『くもりときどき晴レル』は切ないけれどさわやかで良かったのだけど、なんか、これは『迷い鳥飛ぶ』系の暗さ。子供向けとしてはちょっと辛すぎる。
小学生。猫。駄菓子屋。母子。弟。 駄菓子屋の猫マルを預かる数日。物の少ない生活と亜澄の感じることと。
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