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悪いがこの本に粗筋なんてない。これは小説ではないからだ。だから起承転結やサプライズ、気の利いた落ちを求められても、きっとその期待には応えられない。これは昔の話であり、過去の話であり、終わった話だ。記憶もあやふやな10年前の話であり、どんな未来にも繋がっていない。いずれにしても娯楽としてはお勧めできないわけだが、ただしそれでも、ひとつだけ言えることがある。僕はこの本を書くのに、10年かかった。
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レビューを書いた覚えがない
どこまで本当でどこまで嘘か分からなかったけれど、というか多分書きながら思いつくままに本当と嘘を交えていったのだろうけれど、それにしてもなかなかどうして、素敵な話だった。素敵という一言で一冊の小説を表現するのは不徳であり不十分であることは分かっている。それでも、何というか、西尾維新先生の小説の美徳とい...続きを読むうものが、それなりにはっきりと分かった気がするので、個人的には素敵な話だったと言わざるをえない。あくまでも、分かった気がするというだけだが。 語り手は30歳の小説家。当時、西尾維新先生は約30歳の小説家だったから、私小説として、先生はこんなことを考えていたのか、と読めるのだけれど、本文で「これは物語ではなく事実である」と書かれていることからも、そう読むように仕向けられているのだろうけれど、すべてを事実だと信じる気にはなれなかった。ところどころ、というかほとんど、もしかすると99%、噓かもしれない。しかしそれでも、どうして彼が小説を、物語を書く気になったのか、その決心がついたのか、ということに関しては、噓をついていない、気がする。僕はそう信じる。
Posted by ブクログ
ドキュメントと言いつつも、西尾さんのことだからフィクションだろうと勘繰ってしまう。 やっぱり何回読んでも面白い。
この本は大学生の主人公(10年前の作者自身?)が小学生の少女に監禁される話。前置きが長いが、本編に入ってしまえばすぐに読み終わってしまう。最初は理解不能の行動をする頭がおかしい少女だと思っていたが、本を読み進めると少女の行動原理がわかる。結局は少女より主人公の方が異常だったように思える。
小学生4年の女の子に監禁される20歳の大学生。主人公が女性キャラに翻弄されるのは作者のお得意パターン。だが、少女のおかれた環境が明らかになるにつれ物語は次第にシリアスになっていく。
面白かった。 歪な関係が描かれていたが、物語のゴールが、読む前の予想よりも斜め上で、思わずにやけてしまった。 文章については個人差はあるが、自分にとっては読みやすかった。 主人公の思考をリアルタイムで追っているような文章で、話にのめり込みやすい。
西尾維新ファンなら最後まで読めば99%の人が「読んで良かったな」と感じる物語。道中もスラスラ読めるので冬の日とかにサラッと読んでほしい。一応感動系の話。
どこにでもいるありきたりでかわいそうな少女とどこにでもいる優柔不断な作家志望の大学生。 そんな、二人の七日間のお話。 十年後、無事作家デビューした「僕」が当時を思い返し起こった「事件」を綴っていくという体で進みます。 化物語や戯言シリーズ等のお話を期待している方には向いてません。 冒頭に書いた...続きを読む二人の奇妙な共同?同居?居候生活とそこに至るまでの経緯を淡々と語っているだけ。 それでも引き込まれるのはやはり西尾節。回りくどく冗長な文章に引き込まれます。
多作の作家が10年前の大学時代の7日間を回想した小説。 大学生が10歳の少女に拉致監禁される。 異常な出来事と異常なふたり。 しかしやがて少女の行動の原因が明らかになる 西尾維新あるあるだけど とにかく前半がだらだらだらだらと長い(笑) そこを耐え、話が動きだしてからは一気に読め 引き込まれる。...続きを読む なかなか苦難の1冊です
久しぶりに本読めた。 作者が10年前に出会った少女の話。作者が作家になることを決定づけた、ある異常性を抱えた少女との交流の話。 …では、ない。 西尾維新の作品を最近集中的に読んできたけど、どうも肌に合わないらしい。冗長ともとれるような文体が西尾維新の文章の特徴だと思うけど、それが自分には合わない...続きを読む。作品の良し悪しではなく、好みとして。 ただ、西尾維新原作の漫画はとても好きなので、状況の描写が文章ではなく絵になれば好みの作家さんということなのだよなあ。
女児と男子大学生の誘拐・監禁譚という、なんとも時事に即したイマドキな話題だが、「女子小学生に男子大学生が誘拐・監禁される」という点で少し特殊であり、気を惹く大きな点だった。まあそんな話、普通ではないし、そのプロット自体に無理があるので、その無理をどう納得させてくれるのだろうかという期待を込めて読んだ...続きを読む。結論から言うとそれは大きな期待はずれだったし、結局かなり強引に物語が進行していて、その筋立てそのものに対しては楽単の度合いがかなり大きかったけれど、小説としてはそこそこ楽しめた。 この話は現在作家である主人公が、学生時代に遭遇した事件について回想して語るというもので、そのうえその「作家」というのは序盤で明言こそしないものの、おそらく「西尾維新」本人らしい語られ方をする。月産原稿用紙1000枚だとか。いかにもノンフィクションであるかのように書かれるが、まあどう考えても実話であるはずもないし、つまりそこらへんの諸々がおおむね《嘘》なのである。 そしてまた作中において自己言及的に「小説の必要条件は嘘をつくことではなく、物語をつくることである」などといった旨の記述があり、つまりこの小説は序盤においては「小説」ではなく単なる「嘘」にすぎない。しかし月産原稿用紙1000枚だとかいうのはおそらく西尾維新にとっての事実だろうし、そういった「事実」と「嘘」を故意に曖昧にして書いてあることも分かる。ところが、話が結末に向かうにつれてどんどん話の「物語らしさ」が強くなっていく。ドラマチックになっていく。いつの間にか「嘘」が「物語」になり、「小説」になっていく。そういう構造をもった小説なのである。 だから結末、あの都合のよすぎる結末も"そういうものとして"書かれている。実話らしからぬ、物語らしい物語、あまりに陳腐すぎて笑ってしまうほどの「物語」としてのエピローグこそがこの構造のキモなのだろう。 そうそう、それからこの話は「女子小学生に男子大学生が誘拐・監禁される」というプロットと同時に「男子大学生が小説家として必要な、(嘘をつくのではなく)物語をつくることができるようになる」というプロットも抱えており、それがいい感じにうまくハマったクライマックスはわりと好きだった。 それもまた「いかにも」すぎて、「物語らしさ」を補強する要因の一つだったのだけど。 ……という好意的な解釈をしたけど、もっと文章上手に書いてくれー。 推敲してるのかコレ? とか勘ぐってしまった。
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