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17世紀半ばから1世紀余にわたり繁栄を見せた欧州カフェ文化の先駆、コーヒー・ハウス。そこは政治議論や経済活動の拠点であると同時に、文学者たちが集い、ジャーナリズムを育んだ場として英国に多大な影響を与えた、社会の情報基地でもあった。近代都市・ロンドンを舞台にした、胡乱(うろん)で活力にみちた人間模様と、市民の日常生活を活写する。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
コーヒーハウス。店には美しい女店員がいて、店を明るい感じにしている。それらの美人が愛嬌のある眼差しで、タバコの煙に満ちた店内に誘い込む。空いてる席があればどこでも座ってもいい。大きなテーブルが一つあり、そこでいろいろな話題について議論している。あちこちのテーブルには官報や新聞、雑誌などが置かれて客の...続きを読む用に供されている。字の読めない人のために、読んで聞かせている人もいる(当時、新聞や雑誌で情報を得る場所はコーヒーハウスなどに限られていた)。壁には、盗品を見つけた人への報酬を描いた広告、実母を探す男の広告、逃亡奴隷の捜索依頼などが貼られている。p.40 初期のコーヒーハウスでは、身分・職業・上下貴賎の区別なく、ぼろを着た人も、流行の衣装を着たおしゃれな男も、誰でも店に出入りできる人間のるつぼだった。怪しげな人間が数多く出没する場所でもあった。p.36 男性客のみ出入りでき、女性客は出入り禁止だった。p.41 賭博や喧嘩、宗教問題を議論することを禁止して罰金をとるコーヒーハウスもあった。p.41 コーヒーが二日酔いの特効薬とされたこともあり、ほとんどのコーヒーハウスはアルコールを出さなかった。p.37 トーリー系のコーヒーハウス、ホイッグ系のコーヒーハウスがあった。p.117 ***** 1554年、イスタンブールに世界初のコーヒーハウスが開店。1650年、オックスフォード東部の聖ペテロ教区で、イギリス初のコーヒーハウスをユダヤ人のジェイコブという人が作る。1655年、オックスフォードにティリヤード・コーヒーハウスが開店。王党派の学生たちのたまり場として栄える。1670年代、夕方5時になるとコーヒーハウスに多くの学生が集まった。たむろして駄弁ってばかりいると真面目な学問が衰えると批判が起こった。1675年、チャールズ2は、コーヒーハウスで人々が国王の政策を非難しているとして閉鎖を命じた(多くの抵抗にあってすぐに撤回された)。1688年頃、ロイズ・コーヒーハウスがロンドンで開店。海上保険を担うように。
18世紀のロンドンで流行したコーヒーハウスは、ただコーヒーを飲むだけの場所ではない。様々な人が集い、議論するこの場所で、ジャーナリズムや文学が育った。保険や郵便のシステムも。 難しくはないのに知的好奇心がくすぐられ、満たされた、心に残っている本です。大学時代の最初の一冊。
筆者は1949年生まれ。専門はイギリス文学、文化。本著は1984年に刊行されたものが2000年に学術文庫として出版されたもの。
コーヒーハウスには身分職業上下貴戝の区別なく誰でも見せに出入りすることができた。いわば人間のるつぼ 政治、文学、経済の話、科学実験などが行われた 17世紀のイギリスでは限られた場所でしか、情報、ニュースを得ることができなかった そんな中でそれをまとめるジャーナリズムが生まれた なぜコーヒ...続きを読むーハウスではいろんなジャンルの議論が活発に行われていたのだろうか? とにかく様々なバックグラウンドを持った人が集まってる場所に、少しお金を払えばアクセルできて直接話ができるわけだから、単純に好奇心が掻き立てられて活発な議論が行われたのでは? 著名人と話ができる可能性もあるし。 現代でそう言った環境ってある?少なくとも今の喫茶店にはない。 スナックは若干そういう性質があるかも?
イギリスと言えば紅茶のイメージしかなかったのだが、 コーヒーが流行っていた時期もあったのだなぁ。 その裏には文化、政治、はては植民地までもつながっているのが興味深い。
注目した点はおもしろく、網羅的。当時の書物からの引用が多く、時代の雰囲気を少し味わうことができる。ただ、それぞれの項目において、コーヒーハウスとの関わりを深く分析してほしかった。
17〜18世紀のわずか100年の間に、コーヒーハウスがメディアをいかに進化させたかを研究した論文。まだ情報の媒介が「人づて」であった頃のメディア論であり、王政復古前後のイギリスの動静を描く歴史論でもある。 テーマが硬い割に読みやすいが、もう少し読者を引き込む工夫がほしい。範囲を拡幅して、革命の流れ...続きを読むとコーヒーハウスにおける物語を組み込めば、一般に読み物として受け入れられ得るだろうが、それは著者の意図するところでないかもしれない。
イギリス社会の発展においてコーヒー・ハウスが果たした役割について概略的に紹介している本。もう少し掘り下げて紹介してほしいかな、と感じる部分も何か所かあったけど、総じて読みやすく、18世紀以降の流れを知るには有益だと思います。 コーヒー・ハウスが保険業や郵便業の拠点となったというのは他の本でも読んだ...続きを読むことがあったけど、ジャーナリズムの一つとして雑誌もコーヒー・ハウスを軸に発展したというのが個人的には新しいポイントでした。考えてみたら、報道機関としての新聞がここを拠点とした以上、同じ紙媒体である雑誌も影響を受けていない訳がないんだけど、それが自分の中では繋がっていなかったので、この本できちんと整理できた感じです。 さらに、所期の作家たちの作品発表の場としても機能していたということを知り、イギリスの社交と文字文化が発展するにあたって不可欠な場所であったことが分かりました。後半、若干息切れしている感も否めませんが、読んで損はない。
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コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史
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小林章夫
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