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本書は、自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、あくまでも現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探ることが目的である。昨今の国際テロや中国の軍事的な活動を鑑みるに、もはや従来型の思考では対処不可能だ。また、安倍首相の進む方向にただ反対だけを唱えていても、現実味はない。変貌する安全保障環境における自衛隊の役割をあらためて考えるための入門書。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
今の安倍政権の安保法案には反対で、いかに現憲法下で自衛隊を活かしていくかを考えている人たちの会の論集。 大きく分けると現代の日本の安全保障について、対テロ戦争で日本と自衛隊の求められる役割、集団的自衛権についての三部。 狂信的な平和主義者ではなく、安全保障のリアリティを直視してきた人たちが書いてるの...続きを読むで勉強になる。
借りたもの。 現行の法律(出版された2015年時点か)でどの様に自衛隊を動かすことができるか……「専守防衛」を果たすことと、昨今の世界情勢からみて「安全保障」――これは自国のみならず、国際社会への貢献も含めて――の維持や貢献に日本がどの様に関わっていけるか、を識者(大学教授とか)?や当事者(自衛隊幹...続きを読む部、外交や国防に関わる人間)の論点をまとめたもの。 寄稿者が多い分、立場もみな異なるため、様々な意見が読めて興味深いものであるが、各々が極論にも思えた。 もし共通することは、現状に対する“危機感がある”事だろうか。 ただ、この本を読んでも最悪のシナリオを想定・現実になった時の覚悟の足りなさ、責任の所在が不明な「あいまいな日本の私」を強く意識させた。 この本は、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した事に「戦争をできる国になった!」と議論もせずに条件反射のように否定的な意見があったが、その検証、といった位置づけだろうか。 大学の教授たちの論調は、法解釈に則る部分が大きく、現実的というよりはどこか机上の空論や独りよがりな理想論ではあるまいか…?と危惧するものがあった。 非武装での集団的自衛権の行使…それは日本の非戦を“ブランド”として活かす――相手に銃を向けて殺しあった他の国の軍とは異なる組織なので、しがらみなくテロ組織との停戦交渉に応じれる――というものがあった。 一理あるがそんな“美味しいとこどり”みたいなことが本当に可能だろうか?血を流していない(物資もさることながら、それよりも重い命を投資していない)国に、そんな権限を簡単に託すだろうか…?など、色々な事を考えてしまう。日本は「失われた30年」で経済発展をしていない……そもそも経済的に支援する余力はあるのかという疑問もある。 自衛隊の中の人の声も勿論ある。 現時点で想定される「15事例」について言及した所では、現場の様々な可能性と現行法や装備面での限界が見伺える。最も、完璧な防衛手段など存在しないのだが。 それらに共通するのは、巨大組織故の足並みの揃わなさ、法の下での様々な制限とそれ故の門違いな防衛手段による限界を感じる。 三自衛隊の任務の特性から、求められる判断基準がことなるためであることも併せて指摘。 その三自衛隊の内部文化を揶揄?した言葉に笑ってしまった…(p.263) 空自は「勇猛果敢支離滅裂」(なんでもすぐ変えたがる) …一瞬の判断ミスが命取り。自分も外交も。 陸自は「用意周到動脈硬化」(ガチガチ頭固い) …綿密な作戦計画。全て予定通りに任務遂行。 海自は「伝統墨守唯我独尊」(その“伝統”って何?) …艦ごとに特色?が。船という閉鎖社会の悪癖か。 この本が出版された時代性、とも言えるかも知れないが、テロとの戦い(特定の国) そうした様々な意見を挙げつつも、この本は徹底して専守防衛に努めるべき、と強引に締めている。 それはそうだ。自衛隊もどこの軍の軍隊も、戦争――殺し合い――は誰も望まないだろう。 ‘相手の破壊を前提とした抑止力ではなく、相互依存を通じて戦争を避ける方策を制度として定着させることではないでしょうか(p.320)’ ……それを実行してきたWWⅡ以降の世界。 しかし、2022年、ロシアはウクライナに侵攻した。 そう思わない相手が存在することを思い知る。 何故なら、どんな綺麗事を言っても、国家は自国の利益優先であることを覆せないから。 受け身の「専守防衛」をすると、どんな被害が出るのか。リアルタイムでウクライナは示している。
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