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「はるかぜ」というと温かい、「シュンプウ」というと何かちょっと厳しい感じがするというようなニュアンスの違いを、われわれはごく日常的に感じて生きている。それは日本人が繊細であるというより、日本語の構造が繊細なのである。アルファベット文化圏の「言語学」では捨象されてきた、漢字文化圏の書字言語の諸現象。中でも構造的に最も文字依存度が高い日本語の特質をとらえた、石川日本語論決定版。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
日本語の成り立ちや,構造などについて興味があったので読みました。日本語って,いろいろな言語とは違い,文章から様々な意味が引き出せることに気付くことができました。
言葉は乱れるものである。 本書P31 日本語が、漢語と和語の二重複線の歴史をたどってきた。「おはよう」「おなかよう」「おそよう」というような訓語的整合性も、また「今朝は」「今日は」「今晩は という音語を軸に据えた統一性にも欠く。 これらの日本語の挨拶語「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」は、現...続きを読む在の言語学の通念を相対化する手がかりを与えてくれる。
・直ちに三浦つとむを思ひ起こさせる書名の石川九楊「日本語とはどういう言語か」(講談社学術文庫)を、 現在読みかけてゐる。正確にはまだ読み始めである。しかし、その最初のあたりだけでもいろいろと感じるところがある。後に書いてあるかもしれないが、そこまで読むことなく、とりあへず自分の感じたことを書いてしま...続きを読むはうといふことで、ここに書くことにした。的外れかもしれない。ご寛恕を乞ふ次第である。 ・序章「日本語の輪郭」もおもしろいのだが、書名になつてゐる第一章「日本語とはどういう言語か」は章題通りの内容でやはりおもしろい。その小節題は、例 へば「言葉は乱れるものである」「すべての言(はなしことば、tetu注)は抱合語的、孤立語的、膠着語的、屈折語的である」「音声、音韻は文字が作る」 などとなつてをり、なかなか刺激的である。かういふので日本語を説明してゐるのだから、当然、日本語は膠着語であるといふ議論が出てゐる。本書では、それ 以前にこの三分類が問題にされる。これはごく端的に、「自らの西欧語がいかに高度な言語であるかを説明するための植民地主義的、帝国主義的発達史観の説である。」(36頁)とされ、更に別の言ひ方で、「語と文が明確に分けられないときは抱合語に分類され、日本語でいう助詞が声調に溶けてしまって文字として 記されなければ孤立語であり、また助詞が詞と分類できると把えれば膠着語で、詞と分けられないと把えれば屈折語とみなされるといふこと以上ではない。」 (44~45頁)とされる。確かにかういふことであらうと思ふ。孤立語は中国語のみ、膠着語はその周辺、朝鮮、日本、モンゴル等、そして「屈折語とはアル ファベット言語の別名である。」(43頁)となれば、植民地主義的云々といふのも納得できるといふものである。かういふ人だから「言葉は乱れるものである」といふ言ひ方も出てくるのであらう。この節は「いつものことながら、『日本語が乱れている』といわれ、『美しい日本語』『正しい日本語』などという言 葉が、またぞろ飛び交うようになった。」(30頁)と始まる。「またぞろ飛び交う」のである。筆者の「美しい日本語」に対する嫌悪が知れる。「個別の日本語の美しいスタイル表現はありえても、日本語が構造的に『美しい』とは、全く手前味噌な風説で云々」(同前)になると、このまま日帝批判になるのではないかとさへ思へてくる。これは「正しい日本語」に対して言ふのであらうが、それにしてもさう言ふ人は「構造的に『美しい』」日本語と普通に言つてゐるのであらうか。さうだとしたら「構造的に『美しい』」とはいかなることをいふのか、これが私には分からない。「言葉は生きて活動しているから……自らの姿を次々 と変えようとする。」(同前)これは当然である。みだりに言葉の乱れといふのはをかしい。だから、「美しい日本語」に対する嫌悪は私にも分からないわけではない。しかし、それが「構造的に『美しい』」となると私には分からなくなる。文法的に正しい日本語であるのならば分かる。例へばら抜き言葉である。この 文法的が構造的の意味であるのかどうか。たぶん違ふのであらう。失礼ながら、もしかした筆者が勝手に敵に難癖をつけて、自分の土俵に引き込まうとしてゐるだけかもしれないと思ふ。そんな筆者に思へるのである。本書にはその他にもいろいろとおもしろさうなことが書いてある。私には、例へば上の三分類はおもしろいと思へたが、下の「構造的に『美しい』」日本語は分からなかつた。馬の耳に念仏の類で私には響かないだけではあらうから、この先どんなに響くものが出てくるか楽しみではあるが……。
日本語の起源、言葉のなりたち、他の諸言語との違い、すべて明瞭になる。 タイトルに偽りなし、完全に予想外のアタリ本。 350頁程度の文庫本の姿からは想像もできないような、内容の広さと深さ。 他者の先行研究成果を、自分のことばに言い換えただけのつまらない本とは全く違う。
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