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宗教とは何か。その役割はどこにあるのだろうか。人は生あるかぎり「苦」を背負って歩む。物質的豊かさにもかかわらず、「退屈」と「不安」に苛まれる。手応えのない「空虚」な生に悩む。この現代的「苦」からの救済の道を、キリスト教、仏教、イスラム教という三大宗教はどのように指し示すのか。「信なき時代」における宗教の存在意義と課題を問い直す。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
宗教は信、哲学は知である。信に根拠はいらないが、知はそうではない。 仏教における悟りとは真理に目覚めること、その反対は無明である。無明とは我に執着することである。仏教の関心事は苦からの救済である。 キリスト教は、ユダヤ教の旧約聖書を廃止するのではなく、完成するべきものとと捉えたため、正典として残した...続きを読む。神を信じ、誰であろうと隣人を愛することが最も根本的な教えである。 キリスト教的宗教とは、他者において、他者よりして、他者の力によって生きることであるとする。絶対的他者とは神である。神は威厳により人を裁き、裁いた人を愛により赦す。 イスラム教の教えは六信五行にまとめられる。信と行とが不可分とされていることが重要である。意識と世界は多元的であるとし、霊的意識や霊的世界の神秘性を説く。 仏教における絶対者は空であり、キリストイスラム教の絶対者は神である。 禅宗は自力、浄土宗・キリスト教は他力、イスラム教は自力により他力に至り、絶対者によって救済されるとする。 現代における救済は苦ならざる苦、すなわち空虚からの救済である。 マルクスをはじめとする近代ドイツ哲学者は宗教そのものを否定する。カントは霊的世界は認識不可能であるから理性による考察の対象から外すべきとした。 諸宗教の信仰は異なるが、実は根本においては一つであると指摘するものもいる。
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