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「民藝」とは、民衆が日常に使う工藝品である。民家、民具、民画を総称して「民藝」と呼ぶ。「民藝品たること」と「美しく作りたること」には、固い結縁があり、質素こそが慕わしい徳である。このように清貧の美を説いた筆者の理念とは? 昭和の初頭に創始され、現在にまで受けつがれる「民藝運動」の精髄を知るための格好の入門書。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
柳宗理を先に知って、彼のエッセイ読んだ後で彼の父である柳宗悦のこの本を読んだんだけど、もうあれね。父ちゃん圧勝! 柳宗理もすごいけど、それとは比較にならないくらいの柳宗悦の思想の真剣さ、熱さよ。郷ひろみも真っ青の、アーチーチーアーチー具合。 民藝とは関係はないですが、美術が何かわからないという理...続きを読む由で美術芸術を敬遠している方、読んでみてください。きっとあなたを励ましてくれるはずです(私は励まされた)。
実際に日本民藝館にも訪れてみたが、日々使われて用をなすことで価値が生まれる民藝品を通じて、「なくてはならぬもの」という存在から美とは何だったのか考えさせられる。 今の自分の生活の中で日常に溶け込んでいるあらゆるものを見直したい。
アートとサイエンス、人間と機械、定性と定量、be or have、よく語られる最近の二分に共通する、民藝と貴族的工藝。この視点で読むととてもわかりやすい。
かなり哲学的というか思想色が強い内容だった。疑問は、現代には民藝の思想は残っていても「民藝」は残りえないのではないか、ということ。希少性はなく量産するものである、という特徴は、民藝品をつくることがとても少なくなった今、民藝品の物理的数にそもそも希少性がでてきてしまっているのではないかと思ってそれは民...続きを読む藝と言えるのかなあと。現代における民藝品の位置付けを知りたい!!
国立近代美術館で柳宗悦没後60年の「民藝の100年」という展示や、近所の日本民藝館に行ったことなどもあり、民藝に興味を持って手に取った。 柳宗悦は、ロダンを中心とする汎神論的な芸術の受容からキャリアをスタートしているが、彼の民藝評には汎神論的な感覚を感じる。なぜ民藝が美しいかと言えば、それは「用」の...続きを読む美。なにかに用いられるということを想定された美しさなのである。近代の美術において評価されてきた貴族的な品物と民藝と比較すると、前者が有想(想像を巡らせ、意匠を凝らすこと)であるのに対して、後者は無想であり、より清い境地にある。また、前者が意識なら、後者は無心、前者が主我ならば後者は忘我の境地であるとも言われる。こうした無想・無心・忘我になぜ美しさがあるかと言えば、この世の中の叡智とは、1人の人間が作り出さんとするものではなく、集合的無意識のような個人の枠組みを超えたところに現れるからである。このような柳の考え方は、個人がオーサーシップを持ち、自由であることを基盤する近代的な考え方への超克を目指すものであるとも受け取れる。民藝は、製造過程で多くの人がかかわっており、さらにその後も誰かに使用されて洗練されていく。民藝が目の前に存在しているというタイミングまでに無数の人の手を介しており、個人のオーサーシップを重視する近代美術とは一線を画する。こうした観点では先日、SOMPO美術館で見た川瀬巴水の版画の製造過程も、多くの人間がかかわっている。川瀬巴水は日本中を周遊し、絵画の着想を得るが、作品が完成する過程にはかならず優れた版の彫師が存在している。そうした作者の複数性と言う観点では、そこから日本的美術の美しさを見出すことができるのではないかと考えた。
名もない人が、生活のために拵えたもの。 過剰さも、個性もいらない。無駄なものがないからこそ、美しい。 わたしは、芸術なんて無駄なもの、ないならないで過ごせるもの、個性的で唯一無二のもの、でもなかったら、寂しくて自分の心が求めるもの。という風に思っている節がありまして、 その対極にあるものが、民...続きを読む藝なのだろうと。 わたしは今、そのような民藝にとても強く心を惹かれています。
・・・・・書きかけ・・・・・ 柳宗悦は、49年前の1961年5日3日に72歳で亡くなった思想家・美学者・宗教哲学者。
まさに「民藝」の入門書として、提唱者の柳宗悦より平易な表現で、分かり易く解説されている。 「民藝」は、明治近代化の中でしばしば登場する概念であり、その影響力から、言葉としては認識していたが、体系的に理解できたことは収穫。 このように原則論を読んでいると、時代を超えた普遍性があり、現代においても意識す...続きを読むべき概念ではないかと思う。 以下抜粋~ ・用が生命であるため、用を果たす時、器は一層美しくなってきます。作り立ての器より、使い古したものはさらに美しいのではありませんか。 ・廉価であるということが、実に美を増す大きな基礎なのです。安いものであるから、強いて美を盛ろうとは工夫していません。 ・無銘の作に心が惹かれるのは、そこに一個性よりさらに大きな衆生の美があるからです。 ・民藝品が特に注意されねばならない大事な理由の一つは民族性や国民性が一番素直にこの領域に現れてくるからです。 民藝こそは国民生活の一番偽りなき反映なのです。 ・ご承知の通り産業革命以来、工藝は二分野に分かれ、機械製品と手工藝とが対立するに至りました。 前者はある意味では進歩した道ではありますが、不幸にも貪欲な商業主義と深く結合したため、品物を粗悪にしました。 ・民藝の美の特質 1実用性 2常に多量に作られることと、廉価であること 3平常性 4健康性 5単純性 6協力性 ・かくして私は民藝品の最後のまた最も重要な特色について語る場合に来ました。 それは国民性ということです。 民藝は直ちにその国民の生活を反映するものですから、ここに国民性が最も鮮やかに示されてくるのです。 地方的工藝の存在は重大な意義を有ってくるのです。 地方こそは特殊な材料の所有者であり、また独特な伝統の保持者なのです。国民的伝統の上にこそ、強固な国民的美が発露されるのです。
駒場にある日本民藝館を訪問し、何冊か購入した中の一冊。 民藝が好きで、民藝運動を興した柳宗悦さんやバーナード・リーチ先生らが好きで色々な作品を見たり読んだりしてるけど、そもそも民藝とは、という事を柳宗悦先生より直接教えていただいている様な感じがして楽しかった。 民藝の価値をここまで高めた功績は偉大だ...続きを読む、と感激します。
読んでおかないとという本。同じ主張がずっと繰り返される。用と美と利。用を追求すれば美に至る。組合的な組織で、無心に、数多く作るのが大事。国の文化が豊かになる。利を追求した大量生産は画一的、効率的で美をうまない。 美術品と工芸品の対比は正直よくわからない。どちらも美しいと感じるものはあると思う。
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