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毎日、作業場で牛をさばいている理由? この仕事が体質と共働きに合っているからだ。でも、世間は「理由」を知りたいらしい──「生活の設計」。そして、元アングラ劇団員が山谷や中南米に身をおきながら、不器用に社会との接点を求めてゆく姿を描いた「虹を追いかける男」を収録。普通に生きることの困難をみつめ、その中にある光を浮かびあがらせた傑作二編。
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Posted by ブクログ
「生活の設計」は先に「牛を屠る」を読んでいた為か、少し冗長な印象を受けた。 その分「虹を追いかける男」は純粋にたのしめた。スピード感もあって飽きさせない上に、「縮んだ愛」のように終わり方に違和感もなかった。
二篇。ふとしたことで屠殺場で働くことになった男が、共働きの妻と子どもそれなりに楽しく暮らしているが、自分が働く屠殺場というものに注がれる世間の目に苦悩する。詳細な屠殺描写が必見。もう一篇は、両親の死をきっかけに北海道へ旅した男が、以前は山谷でアングラ演劇をやっていた怪しげな男と出会い、その男の生き様...続きを読むにある種惹かれつつ、自分たちの居場所を探す物語。面白かった。
社会で生きることの問いと結論を描いた物語二編。 佐川光晴作品は『金色のゆりかご』に続き2冊目。 屠殺場で働く自分自身への自問自答と説明を描いた『生活の設計』は、自答な文章なだけにやや堅苦しい印象を受けた。 しかし内容は面白い。 一種の新書や教科書を読んでいる説明文で、屠殺場の世の中の偏見を訴えてい...続きを読むる節も感じる。 表題作の『虹を追いかける男』も面白い。 不器用な人間の過去と今後の生き方を描いていた。 人物の心情を深く掘り下げた作品が好きな私にとっては、説明口調が残る文章にやや物足りなさを感じる。 でも無意に掘り下げないからこそ、その人物達と物語構成が際立つ作品もある。この本は後者に当てはまる作品だと私は感じた。
著者のデビュー作である『生活の設計』(2001年1月、新潮社刊)と『虹を追いかける男』(2003年6月、双葉社刊『極東アングラ正伝』を改題)の2編を収録。どちらの作品も、作家・佐川光晴の創作の背景がうっすらと見えてくるような内容。もっとも、これまで読んだのは数作品にすぎないのだから、大きなことは言え...続きを読むないのだが、、、登場人物のキャラクター造形や舞台設定に既視感を覚える。『生活の設計』は発表当時、かなりセンセーショナルだったのではないかと思う。北大卒でありながら、現役の屠殺場に勤務する従業員が書いた生活記録のようなタッチの物語はかなり強烈な印象だ。饒舌な語りゆえに、職業選択についての説明がうまくゆかぬ苛立ちと葛藤が良く表現されている。 もう一編の『虹を追いかける男』は、元塾講師の主人公が、旅先で知り合ったアングラ劇団で役者をやっていた男・森欄外に翻弄されながら、その男の不器用な生きざまをなぞる日々を描いてかなり面白い。
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