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現代社会は利己主義がはびこっているように見える。しかし人は、しばしば自分の身を危険にさらしても他人を助けようとし、困っている人を助けたいと願う。この利他的な感情はどこから生まれてきたのだろうか。ヒトを利他行動に駆り立てるものは、本能なのか学習なのか。共感、信頼、情愛はどうすれば育てられるのか――。脳科学、遺伝学、分子生物学の最新知見を交え、ヒトという生物、ヒト社会の本質に迫る。
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Posted by ブクログ
利他的な遺伝子 ヒトにモラルはあるか。柳澤喜一郎先生の著書。世の中の多くの問題はヒトが利己的で自分第一主義であることが原因。遺伝子で見るとヒトは利己的で自分第一主義であるのが定説だけれど、柳澤喜一郎先生のご主張によるとヒトには利他的な行動や感情を呼び起こす何かが潜んでいる。利己的ではなくて利他的なヒ...続きを読むトが増えれば、人間同士の争いが減って、外交問題や紛争問題、地球環境問題も解決に向かうと思えました。
凶悪犯人の構えるピストルの前に自ら犠牲になると申し出て、多くの子どもたちの命の身代わりとなった少女のエピソードから本書は始まる。なぜ人には利他的な行動があり、それを美徳と考える傾向にあるのか。本書はそれを脳科学の問題として説明する。 脳が様々な身体作用の一つとして機能し、精神もまたその上に形成さ...続きを読むれるものであるという例がいくつも示された上で、凶悪な行動にも遺伝子的な要因もあると述べられている。ただしそれは環境によって発動せずに終わることも可能であるとも述べられる。 利他的な行動は人間以外の脳が発達した動物にも見られるという。転落した少女を救った動物園のゴリラや、津波被害から通りすがりの人を救った象の例が挙げられている。脳が発達した動物には利己的な行動とともに利他的な行動も見られ、いずれも本能が働いているというのだ。利他的な本能は発生的には新しくより快感を感じる傾向にあると述べられている。 性善説という倫理学の用語がこれとどう絡むのか気になってきた。私たちが道徳と呼んでいるものが何に由来しているのか。本書は再考するきっかけを与えてくれる。
性格や感情についての遺伝子やホルモンのことが、専門的ながらも個人のエピソードを交えながら書かれていて、素人が読んでも勉強になり、また楽しめる内容でした。
利他的に生命を投げ出したアーミッシュの話ではじまります。人に(そして動物にも稀に)ある利他の根源を探ろうとする本。 タイトルには、「利己的な遺伝子」へのアンチテーゼであろう「遺伝子」がついていますが、あんまり「遺伝子」という印象が残りませんでした。 利他が本能で、利己を科学的に証明することは、後ろめ...続きを読むたさの隠蔽だといいます。僕は逆かな、なんて思うのだけど。 利己と利他、どちらもなければ生きていけない。面倒な生き物にうまれちゃったなあと感じる一冊。
今年の抱負②:通勤読書の11冊目を読み終わりました。 人には、誰かの役に立ちたいとかいった感情がある、という考察です。プロローグで、アメリカのアーミッシュの村で起こった、銃立てこもり事件について、筆者の印象が書かれていて、非常に興味をそそられたのですが、内容的にはセロトニンとかドーパミンとかいっ...続きを読むた脳の話がメインだったのかな?
筑波大学の遺伝学の権威である著者が、自己犠牲的な行動がどのようなメカニズムでなされるのかを、生物学の見地からアプローチしている、ユニークな本。 一昔前に、『利己的な遺伝子』という本がありました。 その本では、生物は根本的には、遺伝子の乗り物に過ぎず、遺伝子が後世に引き継がれていくために有利な行動...続きを読むをとるようにプログラムされている、と説明されていました。 なんだか、生きている意味を全否定されたみたいな気がして、薄ら怖い印象を受けた記憶があります。 それはさておき。 本書では、脳の構造、神経細胞の働き、ホルモンの役割、本能と学習の違いなどを、順々に解説して行きながら、最後に『利他的な遺伝子』の解明に進んでいきます。 結論的には、利他性は、社会的な生き物としてのヒトが、その社会によりよく適合していくことが、結果として生存可能性を高めたこと、それと、発達した脳が他者の感情を理解したり、共感したりする能力に長けていたことから、利他性を身につけたということらしいです。 うーん、最後はちょっと弱い感じですが、でも全体としては、久しぶりにサイエンスジャンルの読み物で、いつもと違う脳ミソが刺激されている感覚を楽しめました。
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利他的な遺伝子 ──ヒトにモラルはあるか
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柳澤嘉一郎
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