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小学6年生の平山史彰は、父親の転勤のため、千葉県の犬吠埼近くの漁師町に引っ越してきた。田舎の暮らしには慣れてきたけれど、お母さんと妹は、まだ東京に残ったままだ。史彰は家族がまた一緒に住むことを願っているが、母と妹がやって来ないのには、実は複雑な事情があって……。父、母、息子、娘。それぞれの視点から、ひとつの家族の、10年間の物語を紡ぐ。
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Posted by ブクログ
くふー、大好きだ。弱くてウジウジして時々向こう見ずででも大事なことは間違えない強さもあって、つまりは人がしっかり書かれてる。
「家族」とは何か。家族である意義とはどこにあるのか。さらには、正義とは、個人のアイデンティティとは、幸せとは...等々、優しい文体で綴られる基本的には暖かな話なのに、いろいろと考えさせられる。 とある事情で、父+息子と、母+娘に分かれて暮らすことになった一家が主人公。章が替わるごとに「主役」のメン...続きを読むバーが入れ替わり、それぞれの主役の主観で話は進む。両親はともかく、小学生だった子どもたちが、それぞれの屈託を抱えながらも乗り越えていく & 乗り越えた後で振り返る感じが、とてもリアルで説得力がある。 一緒にいることがあたりまえ、と考えてしまいがちな「家族」が、離れて暮らすことによって見えてくるメリット・デメリットや、強まる思いも弱まる思いもあったりしつつ、それでも最後まで家族は家族のままでいる。さらに「発展的な別居」や「将来のためへの原点回帰」など、staticではない家族の「独特な幸せ」の物語、と言えるか。なんとも不思議な読後感。 タイトルの「よっつ屋根の下」は、巷間よく言われる「一つ屋根の下に暮らす家族」という言い回しを逆手にとって、うまいことを言うな、と感心した。ただこの家族が、曲がりなりにも「幸せな一家」をキープしていられるのは、経済的に恵まれているからでは...という気持ちも常につきまとっていた。もっと貧乏なら、こんな悠長なことは言っていられない気はするし...でも貧乏だったら「そもそもこんな問題は起きない」訳で...など、本に書かれていないことまであれこれ考えさせられてしまう(^ ^; 恐るべし、大崎梢(^ ^; 最後に、本書は千葉県の銚子市が主な舞台となっていて...偶然にもこの前に読んだ本も千葉県が舞台の小説で(^ ^ 私の中で「千葉行きたい欲」が、めらめらと燃え上がっている(^ ^;
想定外の着地点になったものの、それでもすがすがしい気持ちのいい終わり方が胸に迫りました。離れて暮らしていたほうがより相手のことを思いやることができるのかもと少し皮肉めいた見方もしましたが、筋の通った家族の絆にはそんなの関係ないと思い直しました
息子、父、母、娘、それぞれの視点で見つめる物語。 いくら家族だろうとそれぞれ譲れない部分はある。 それを誰かが折れて家という枠に無理矢理収めようとするから窮屈に感じるのかもしれない。 我慢し過ぎない、けれどお互いの思いをちゃんと分かってあげることが家族円満のコツなのだろうかと勉強になった。 全ての章...続きを読むで結びは爽やかで風通しの良い感覚が味わえるので家族という重そうなテーマでもずんずん読めた。
父の左遷をきっかけして、1つの家族が、2つに分かれることから始まる物語。 家族だから全てがわかりあえるわけではないし、形が大事なわけでもない。 4人家族のそれぞれが思い、悩み、変わってゆくのが、愛おしい。 タイトルの意味は最後にわかるが、その時には微笑んしまうこと、間違いなし。
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