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日本に定住する外国人とその子ども、障害をもつ人、日本語を母語とする人にとって〈やさしい日本語〉がもつ意義とは。
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Posted by ブクログ
今まで気にしたことのなかった、「国語」教育と「日本語」教育、 そして、普通「無標」と特殊「有標」、 とても良い勉強になった。
70年前に国語審議会が「やさしい敬語」として敬語のあり方を変えた。いま使われてる敬語は調整された敬語。 封建が崩れた近代に合う形で、いまも敬語は変化してる。 いろんな原因や狙いがあって言葉は変わる、変えられる。 あと30年もしたら、日本語は面白い形に変わってると思う。楽しみ。 この本で大収穫だ...続きを読むったのは、日本語手話話者の日本語書記に関する考察。 手話は体系を持った言語だから当然、「手話が母語」になると理解していたつもりだったんだよね。理解してませんでした。「日本語手話を扱えるから、日本語を学ぶのは難しくない」って思ってたんだけど、大きな間違いだった。 もう一点あった。 母語を流暢に扱えるようになる前に、生活基盤が非母語圏になることがこれほどに危険な事だとは…。国語研さん、たのみます!あなた達が頼りですぅ!
大学の公開講座で紹介されていて興味を持ったので読んだ本です。 その公開講座でも触れられていたのですが、まず興味をもったポイントとしては、日本に住むいわゆる定住外国人のひとたちのうち、英語が母語の割合の人は少なく、むしろ英語よりも日本語のほうを解する人が多いという点でした。 日本で「国際化」=英語対...続きを読む応というような風潮が強く、国際的なコミュニケーションツールとして、ビジネスや観光客・留学生対応としては確かに有用だと思います。一方で、ある意味で一番大事な「今すでに日本に住んでいる外国人のひとたち」ということについて、市役所の方とかそういう一部の人しか考えてないんじゃないかと痛感しました(もちろん自分もそうです)。 いろいろな母語の人が日本に住んでいるので、すべての母語に対応するというのは事実上困難、そこで地域社会の共通言語としての「やさしい日本語」をこの本では提唱されています。 英語に対して拒否感を示す人も多い日本人にとっても、また英語が母語でない定住外国人の人にとっても、お互いが少しずつ歩み寄ることで使えるコミュニケーションツール。現時点で一番いい解決方法なんじゃないかなと思いました。 外国にルーツをもつ子供たちへの日本語教育ツールとしても使える、という点もとても興味深かったです。多くの場合、自分の意志とは関係なく日本に来る子供たち。無理やり溶け込ますのではなく、溶け込みたい・日本語をちゃんと学んで日本の学校で勉強したい、そんなニーズにこの国が対応できていないということ。そういう問題についても考えさせられました。 日本語という普段自然に使っているツールについて、本当にいろいろな側面から考えさせてくれる1冊です。こんなに読み終わって、感動や満足感のある新書は初めてかもしれません。読んで損はないと思います。
"やさしい日本語"という言葉自体は耳にしたことがありましたが、この本を読んだことでしっかりとその内容と意義を理解することが出来ました。 多文化共生社会の実現においては勿論ですが、大前提として人と接する時には、相手の事を1人の人として敬意をもち尊重して関わる態度が必要だと思います。...続きを読む また、日本語をやさしい日本語へと書き換えていく作業は、本人自身にも良いものをもたらすという部分に非常に納得しました。 改めて読んで良かったと強く思う一冊です。
「やさしい日本語」の使い方を学ぼうと手に取ったら、ガッツリ庵先生の論文を読んでる気分になった。やさしい日本語の実例や先生の体験談はほぼなく、日本を取り巻く環境、マイノリティへの必要性などを言語の側面から、なぜこのような形態の言葉が必要なのかを説明しています。 外国人向けのわかりやすいチラシを作っても...続きを読むらう実験などの例示や、冒頭に読者へのサンプルの問いかけなどがあると新書っぽくなるのかなー モダリティやテ形やチョムスキーや手話母語者などは、全く日本語学をやったことがない人には、日本語学の話がてんこ盛りなのでは。 これで卒論を書こうと思う人には、必要な文献や例がバランス良く書かれてて良いと思うのですが。
外国人に対しては英語!という観念が覆る本。日本在住の多くの外国人が母語に関わらず理解しやすいのは平易な日本語だということが説明されている。また、手話についての話も面白かった。 去年の千葉での災害の時に、平仮名のニュースをツイートしていたNHKが大分叩かれていたが、NHKがあれを発信する理由がよく...続きを読むわかった。
外国人実習生の受け入れをしているにもかかわらず、外国にルーツを持つ子供たちへの手当の薄さには、日頃から腹を立てていた。現実として、言葉の問題に端を発して、さらに進学の問題まで述べられていたのは素晴らしいと思った。 やさしい日本語は決して外国人だけのためではなく、我々みんなにも関わることだとさらに思う...続きを読む。というのも、行政で使われる用語は難解で、我々日本語ネイティブですら、わからないことも多々あるからだ。様々な手続きをする際にわからずにそのままにしてしまったり、窓口で聞かなくてはならなくなったりすることも多い。 やさしい日本語はみんなにやさしいはずである。これからの文書はやさしい日本語で書かれているのがいい。
昨今、難民受け入れが国際的な課題となっている。また高齢化社会を迎えるにあたり、外国人労働者を新たなる労働力として期待する向きもある。しかし多種多様な文化圏の人間が暮らす社会を目指すにおいて、現在の日本が抱える課題は決して少なくない。 本書は、そうした課題のうち、特に言語に関するものを、日本語学と日本...続きを読む語教育の観点から論じた一冊。 言語とはもともとコミュニケーションの道具であるし、コミュニケーションとはつまり「自分の考えを相手に伝え、説得する」ことだ。美しい言葉遣いはもちろんよいものだが、コミュニケーションの手段たりえることは尚のこと重要だ。 本書を読むことで、「言葉の美しさ」に知らず知らずのうちに固執していた自分に気づかされた。 相手のことを思いやり、コミュニケーションのために言語レベルを調節する能力、そのためのやさしい日本語。本書で提言されているこの考えは、日本人と外国人のみならず、大人と子供、学者と一般人など、さまざまな場において不可欠だ。多様な人間が共生するうえで、重要な視点であると、本書を読んで強く感じた。
日本在住外国人が増えてきているが、公共の場所に掲示されている案内文や道路標識は、英語併記のものが少なく、特に災害などのときに外国人に情報が届きにくい。 しかし、実際、日本に住んでいる外国人に、英語と日本語どちらがわかるのかと聞くと、日本語の方がわかる、という答えの方が多い。 そこで、この本では、普通...続きを読むの日本語をかみ砕いた日本語(やさしい日本語)になおし、ひらがな併記にすることで、これら外国人の理解度を上げることができると提案している。 難しい日本語からやさしい日本語へ訳した例がたくさん出てくるが、それらがとてもわかりやすい。
弘前大の佐藤和之さんらが提唱する「やさしい日本語」は、災害初期に日本語に不慣れな人が生き延びるための情報伝達手段として開発された。 本書の著者、庵さんら一橋大グループは、外国にルーツを持つ人たち、障碍者(ろう者)が、社会で情報弱者にならないための手段として新たに〈やさしい日本語〉を提唱する。 使われ...続きを読むる場面や役割がかなり大きく広がった感じだ。 実は私も地域の団体でやさしい日本語に関わるボランティアをしている。 佐藤流であれ、庵流であれ、やさしい日本語が社会で認知されているという実感はまだまだない。 社会での有用性、必要性がきちんと説明された新書が出ることで、認知度が高まるといいな、と思う。 本書は、これまでの開発の経緯、やさしい日本語で使える文法事項の枠組み、外国にルーツを持つ人やろう者が言語生活でどんな困難を抱えているかなど、この問題についての基本的な知識を、まとめて提供してくれる。 私には障碍者の方にやさしい日本語が貢献できるという意識がなかったので、その点が収穫だった。 やさしい日本語が多文化共生社会の基盤になるという理念には共感できる。 おそらく、やさしい日本語なんて必要ないでしょ、という向きを説得しようという傾きが強いせいだと思うが、移民や障碍者がよきタックスペイヤーになり、日本社会に貢献できるようになるから、やさしい日本語が必要だという言い方に、どうも違和感がぬぐえない。 日本国籍を持つ親のもと、日本社会で生まれ育った、「無標の」日本人は、よきタックスペイヤーであることを露骨に求められることがあるだろうか。 中学校の社会の時間あたりで、国民には納税の義務があると習うあたりではそうか? だとすれば、人間はよきタックスペイヤーでないと社会に存在してはいけないのだろうか。 なんだかそんな人間観が感じられて、ちょっとつらい気持ちになった。
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