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ある日、匙足巧(さじたりたくみ)が目を覚ますと、そこは一五〇年後の東京タワー・レストランだった。困惑する青年に、店のオーナーが懇願する。「ビストロヤクザが迫っている。料理を作ってほしい」――。だが、タクミを待ち受けていたのは全ての食事がゼリー化した未来の食卓。味気なく、何の面白みもないご飯。そんな中で彼が作り出したものは?「現代青年」と未来人がおりなす心温まる料理物語。
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Posted by ブクログ
神西亜樹、待望の新作。映画か何かの広告の様なお洒落なカバーデザインからは、想像もできないいい話であった。ライト文芸でありながら、純文学書に負けないくらい美しい表現や、ユーモア溢れるキャラクターに惹かれた一冊だった。神西亜樹の前作である坂東シリーズを読んだことのある方には驚きの最後が待っている。是非、...続きを読む書店で見かけた際には手にとって欲しい一品であった。
待望の神西亜樹さんの新刊。坂東蛍子シリーズがとても好みで、だけどシリーズが完結して2年以上情報が無かったので、もしかして次作はもう無いのかも、と思いかけていました。そんな時にふいに本作を書店で見つけて、びっくりして即購入。というか、たしかそれ以前に一度本作を見かけた気はするんだけど、タイトルも表紙も...続きを読む既刊と印象が違いすぎて、スルーしちゃってた気がします。 舞台は未来の東京。この世界では東京タワーは電波塔ではなく居住空間として使われている。タワーの中では料理という概念は失われ、食事は全てゼリーになっている。そこに過去からタイムスリップした青年サジタリが現れ、2人の仲間と一緒に、料理を再生していく。 カバー背表紙のあらすじは、なんか深い伏線になっているのかなあ。 タイトルからは何となく、ほんわかゆるふわ系のお話かな、坂東蛍子シリーズとはテイストがだいぶ変わったかな、と思ったけれど、そんなことはなかった。心に傷を負った人々に思い出の料理を振る舞い、彼らの傷を癒していく…なんて話じゃ全然なかった。坂東蛍子シリーズとは設定も登場人物ももちろん全然違うけれど、それでも世界観は共通するところがあるように思います。 しかも、坂東蛍子シリーズは蛍子をはじめとしたキャラの濃さが面白さの原動力だったような気がするけれど、今作ではそこまでぶっ飛んだ設定の人物は出てきません。まあヒト型ウシなんかは出てくるけれど、未来の話だと思えばそんなに破茶滅茶というほどでもない。キャラの設定は抑え気味で、それでもこんなに面白い。人参やナポリタンについて語られる悲惨な歴史のばかばかしさや、さも当たり前のように語られる寄生型エイリアンなど、読んでいてとても心地よく、楽しかったです。坂東蛍子シリーズが好きな人は、今作もきっと好きになるはず。 読後調べてみたら、神西亜樹さんのツイッターや公式サイトも見つけることができました。次の作品も楽しみに待ちたいと思います。
場面や視点が(あるいは時間軸も)頻繁に切り替わるので、全体像の把握が苦手な人は読みづらいかもしれない。ただその読みにくさを補って余るほど設定や内容は独特で面白く、個人的には結構好きなお話だった。
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東京タワー・レストラン(新潮文庫nex)
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