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国民皆年金・皆保険と社会保険方式を特徴とする日本の社会保障。雇用の安定と人口増加のもと発展してきたが、1990年代以降の経済低迷により、家族と雇用のあり方は激変。社会的孤立などの問題が浮上した。加えて、人口減少が社会保障の土台を揺るがしている。「ミスター介護保険」と呼ばれ、地方創生総括官も務めた著者が現状の問題点を指摘し、孤立を防ぐ方法、高齢者偏重から全世代型への転換など新しい方策を示す。
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Posted by ブクログ
制度の考え方や、雇用等の問題の背景をわかりやすく解説して提言に入ってくれているので、とても勉強になる。 提言をものすごく雑にまとめると、 - 子育て両立をしやすくし、非正規雇用から正規雇用への移行を強め、高齢者がさっさと引退せず現役期間を長くできるようにする - 社会保障の縦割りを「地域」のヨコでつ...続きを読むなげて、効率化 - 同じく、ICT活用や人材活用で効率化 ということ。 社会保障の給付を受け取る側を攻撃したりする論になりがちだが、実際にこれからの社会で給付側を安易に抑制はできないし、年金などはそもそも仕組み上抑制ルーチンがかかっている。 それよりも、制度の持続可能性という点で、負担を担える人を増やすということが大事(故人だけでなく企業も含め)。また、制度としては、児童福祉、両立支援の「税負担から保険負担への変更」も重要検討ポイントだと思う。
社会保障はより広範囲に包摂的に行き届かなければならない。 また、生活困窮者に公的な支援制度が十分でないばかりに日本の失業者は増加し、非正規化が進み、雇用情勢は悪化した。 人口減少に歯止めがかからないこれからの時代、「共生」していくことがいかに重要か私達は思い知ることになる。 三重県名張市のような地域...続きを読む組織の再編が求められる。
人口減少と社会保障 山崎史郎 職業柄、社会保障を勉強しているが制度面を覚えるにあたり、現在の社会保障制度がある背景や、今後の展望についてより深く知りたいと考え、本書を手に取った。本書は長らく厚生労働省の官僚を務め、介護保険導入等に携わった山崎氏の著書であり、現在の社会保障制度が構築された背景となる...続きを読む社会状況を概観した上で、社会が変化する中で社会保障制度も変わらねばならない状況にあると力説されている。 社会保障制度は社会の鏡であるべきであり、社会保障制度もまた、社会を構築するパワーを持ちうる。そうしたポリシーの下、まずは第一章で現在の日本社会の状況を述べた後に、第二章では社会保障制度を概観し、第三章以降では、どのように変化させるべきかという筆者の意見が述べられるという構成になっている。 各章を掻い摘んで説明すると下記の通りとなる。 第一章では、主に人口減少という日本社会のトレンドが述べられる。戦後、社会保障制度は主に人口増加社会をベースに構築がなされた。豊富な人材を擁する社会において、家族や会社、そして地域というセイフティネットを前提に、社会的な弱者や高齢者への支援を制度化したものが、現在の社会保障制度である。 しかしながら、戦後76年を迎える現在において、家族・会社・地方は確実に変化している。 家族においては、サザエさんの様な複数世帯で暮らす戸数は激減し、概ね核家族化をしている。核家族化をしている上に、晩婚化の影響から、1人暮らし世帯は年々増え続け、個人化が進んでいる。会社においても、非正規雇用の拡大により、非正規雇用という年金制度や労働保険から排除された層が増加している。そして、極めつけは人口減少である。これまで第一次ベビーブームによる人口増加、そして、第一次世代の再生産周期にあたる第二次ベビーブームにおける人口増加があった。しかしながら、第三次ベビーブームに関しては、非正規雇用の増加やバブル崩壊による景気の減退から、育児を許容する経済的状況が創出されなかったことにより、幻となった。こうした人口減少基調に加え、地方から都市部への人口流入により、地方では人口減少及び高齢化はまさしく劇的に進んでいる。 こうした社会的な変化により、従来の社会保障における制度的な限界が顕在化しているのが現在であり、これらを人口減少社会にいち早く適応させることが必要であると本書では述べられている。 第二章は社会保障制度の全体像が述べられている。社会保障論を語る上で、何より重要なことは、その財源である。社会保障の財源には二つの方式があり、一つは社会保険方式であり、もう一つが税方式である。社会保険方式では、各人が保険料を拠出することで、各人に普遍的に起こりうる保険事故に対して保険金を支払う保険の仕組みをベースにしている。民間保険と異なる点は、リスクの逆選択を排除する為に強制保険となっていることや、保険料が各人の支払い能力に応じた応能負担になっていることである。応能負担になっていることから、所得の再分配機能が自動的に埋め込まれている。そして、もう一つが税方式であり、国税を財源として社会保障を提供する仕組みである。現在では生活保護制度などの公的扶助が主に税負担方式となっている。これらの二つがあることは有名であるが、本書で感心したのは、どちらの方式を取るかによる社会への影響である。 これらの二つの方式を違いを一言で表すとすれば、国民がお金を払う時点でその使い道が決定しているか否かである。社会保険方式の場合、国民がお金を支払う時点で、使い道は限定されている。一方で、税方式では、一旦租税として回収した上で、予算編成という一過程が入り込むことで、その時々の政権や地方自治体の思惑が反映されやすい。この違いは国民の権利意識に大きく影響する。社会保険方式の場合、国民はその制度について確固たる自分の権利として認識する。一方で、税方式の場合はその意識は希薄である。『下流老人』では、生活保護バッシングや生活保護をあえて受給しない老人の意識の根底には、この税方式による権利意識の希薄さがあると、著者の藤田氏は述べていたが、まず、これらの方式の違いは国民の意識に影響する。さらに、これらの国民の意識は各制度の供給体制の充実度に関わっている。社会保険方式による制度においては、保険料負担に対しての反対給付があって然るべきという国民感情から、制度の供給体制の充実への強い動機が働くのである。一方、税方式を財源とする制度においては、一般会計における財政的なコントロールが強くなりがちであり、供給体制の構築にうまくインセンティブが働かないという問題がある。 2000年の介護保険導入にあたっては、この二つの方式の違いによる供給体制整備のインセンティブが論じられ、結果として介護においては社会保険方式が導入されたのであった。 これだけを見ると、全て社会保険方式で良いように思えるが、社会保険方式で対応するリスクには一定の普遍性が必要である。保険制度として成り立たせるためには、多くの人に起こりうるリスクでなければならない。一部の人々に限定されているリスクに関しては、保険料に対する受益者が限定されることから、保険化には向かないのである。 人口減少に対応する為には、子育て支援の補助金が必要であり、保育施設の供給体制を充実化するためには社会保険制度で制度構築を行いたいところであるが、子供ができることを保険事故と捉えた場合、リスクにはかなり偏りがある。無論、独身者や高齢者には出産のリスクはなく、彼ら彼女らの保険料負担は純粋な社会貢献であり、負担と給付の関係性の図式では理解が得づらいという課題もある。 子育て支援に関しては、人口減少を国家的な問題として社会保険方式で敢えて保険化するという国民的な合意形成を行うか、税方式での補助と、積極的な供給体制の構築を国家主導で行うしか方法がないように思える。 このように、社会保障には財源の違いによって大きく制度運用が変わっており、ある種明快である一方で、難しさもある。 なお、社会保障における一般的な財源の比率は、保険料と公費(税)が6:4となっている。社会保障制度の多くが社会保険方式による財源確保の体制にある中で、公費負担が4割もあるのは、一定の制度が社会保険方式では立ち行かないからである。例えば、第一次・第二次産業に従事する人が減少する現在では高齢者の受け皿と化している国保は半分が公費負担による財源の補填がなされている。 そして、この公費負担は、毎年の国の歳出の1/3を占めており、全体の1/6を占める地方交付金と合わせると、歳出の半分が社会保障に充てられているのである。 第三章以降に関しても、これだけの字数をもって要約を試みたいが、いささか疲労感もある為、簡略化すると第三章では共生保障、第四章では全世代型の保障への転換、第五章では人口減少に対応する為にICTの活用とコンパクトシティ・支援のワンストップサービスが述べられている。 共生保障とは、これまでの前提で述べた家族・会社からもセイフティネットで抜け落ちてしまった人々を地域のセイフティネットへの復帰にエンパワーメントをすることである。個人化が進む現代社会において、個人を最後まで支援することは難しい上に、再発防止が難しい。その中で、地域的なつながりの中に復帰させることで、再発防止と支援の地域社会への一部転化を行うことで、国家的な負担を少なくするという観点である。全世代型の保障について、まず、対置されるのが現在の主に高齢者支援の保障体制である。これに対して、支援を行う人々を高齢者のみならず、人口増加の担い手である若年層~中年層へも普及し、高齢者に関しては生涯現役支援を行うことによって世代内の支え合いを強化するというものである。 スウェーデンのような育児休暇中の所得補償のような手厚い子育て支援に歳出を配分するために、社会保険化や、高齢者支援の世代内比重の増加等の財源の融通を行う必要性について論じている。最後の人口減少に対応するという章では、第四章の様な人口増加施策が効いてくるまでに、支援の効率化を行う必要性を論じている。支援が必要な人を極力一箇所に集約し、包括的な支援を行うことや、ケアプランなどの事務をICTを利用し効率化すること等が挙げられている。
社会保障制度を理解するための良書。 知る事で、これから老後を迎えようとしている人たちの責任の重大さがはじめて理解できる。
介護保険の創設という一大仕事などに関わった厚労省の元官僚が記す日本の社会保障の”これまで”と”これから”の概説書。新書として必要なエッセンスがコンパクトにまとめられており、年金・医療・介護・子育て支援などの様々な社会保障を手始めに知るには大変優れた一冊というのがまず読み終えた所感。 本書では日本の...続きを読む社会保障の特徴を「個々のリスクに個別に他書する縦糸」(疾病などのリスクに対する健康保険、老後のリスクに対する年金や介護保険、困窮などのリスクに対する生活保護など)と、「国民皆保険・皆年金を構成する職域・地域という横系」の2軸にあるとしつつ、特に”横糸”を構成する職域・地域による包含というのが、非正規雇用などの増大によって崩れつつある点を指摘する。その対処策として、全世代型社会保障という考え方の元に、社会的に孤立してしまいがちな人々を包摂していくことの重要性などが述べられている。 この”縦糸”と”横糸”という観点からシンプルに日本の社会保障の構造をつかむ、という観点も含めて、自分の頭の中が整理されていく実感が持てた良書。
社会保障について、分かりやすく解説してあり、なおかつ問題点を突くだけでなく、具体的な提言もなされています。 人口が減少しても別に構わないんじゃないのかな。と思っていましたが、社会保障のことを念頭に入れれば、無対策なまま人口減少が進むのは危険だと理解できました。 日本の現状を理解するにも、社会保障につ...続きを読むいて理解するにも、良い一冊だと思いました。
人口減少と社会保障について論じた本。 問題は複雑に絡み合っており、解決するのも難しい。ただ、だからといって、対策が遅れれば遅れるほど、余計に問題が深刻になる。 現在進行形の問題。 政府、政治家は一刻も早く、専門家の助言を聞き入れ、丁寧な、政策施行をするべき。
社会保障に対する厚労省の考えを理解すると共に、自分自身の考えも整理できて面白かった。 斜め読みしてしまったのでもう少しじっくり読む。 ※新書等読む時は、メモ取りながら読むと自分の考え整理できるな。気づきとして記録。
実務に基づき年金、国民健康保険、介護保険などのしくみと財政運営の現状、少子高齢化と人口減少社会に向けての打開策を述べた。もうすぐ年金をもらう身、のほほんと頂いていいのか実情を知りたくて読んでみた。 著者はミスター介護保険と呼ばれた元厚労省の役人。社会保険のしくみを、戦後国民皆保険となった歴史的経緯と...続きを読む、財政の現状と考え方を分かりやすく説明。実務担当者にとっても考え方を整理するのに役に立つのでは。 後半で人口減少社会に向けた展望を述べているが、生涯現役で働けるうちは働くべしと言っていて、組織に属するのはもうたくさん、と思っている身には耳が痛い。
一時期地方公務員でしたので、民間企業勤務では携わらなかった分野があり、そのあたりの本を結構読みました。人口問題は最も向き合ったネタでしたね。
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人口減少と社会保障 孤立と縮小を乗り越える
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