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おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。
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Posted by ブクログ
2015年刊行。川上未映子さんのミクロで鋭くキラキラした言語感覚が余すところなく発揮された傑作だった。言語感覚よりも倫理的問題の方に主眼が向かっていた『夏物語』よりも、私はこちらを推す。 なにしろ語り手が小学生たちなので、「コトバ」との関わり自体が頼りなく、切実だ。「○○だ、でもよくわからないよ...続きを読むうな気がする」というふうに、コトバを挙げてみてはやっぱり違うかも、と首をかしげる所作が繰り返されるなかで、それでいて子もたちの無垢な心の動きが浮き彫りにされていく。コトバとの関係性の微細な揺れがそのまま芸術的な美のおののきのようでもあって、これこそまさに純文学であり、芸術小説だと思った。 最後の方の胸が裂けそうな痛切が心に残る。 光り輝く名作小説である。
小学生のヘガティーと麦くんにも、それぞれの悩みがあり、それを乗り越えていく、たくましい元気のでる物語でした。
日常をとらえた描写、登場人物の気持ちの移り変わりを繊細に書く技術。川上作品ははじめて読んだが、次も読んでみたいと思える本だった。
麦くんとへガティー、各々悩みを抱えてるけど可愛らしくって、良い子たちで応援したくなる。 へガティのお母さんへの手紙がまた優しくて切ない。
初・川上未映子さん。 この文体、好きかもしれない…。 黒髪おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でクラスメイトにあだ名をつける名人の麦くん。 ふたりは学校でそんなに目立つ存在ではないけれど、男の子と女の子の最強小学生コンビなのだ。 低学年の頃、麦くんが気になって仕方がない「ミス・アイスサン...続きを読むドイッチ」のことをちゃんと聞いてくれて、会いたいときには会いにいかなくちゃと背中を押してくれたヘガティー。 六年生になってクラスが離れても、悩みを打ち明けたり、一緒に笑ったり、互いを支え合うかけがえのない存在。 家の近所で起こった出来事や、家族のことや、学校の授業、友達との何気ない会話が小学生そのもので純粋で、思いやりに溢れていて、何だか泣けてくる。 川上未映子さんの感性が弾けてる。 思い返せば、小学校六年間のこの時って最高に輝いてる時間だったのかなと思う。 そして、大人になっても、お互い同じくらいの身長だったこの頃のことを、ずっとずっと覚えていてほしいと思う。
気持ちが昂る時、そのときを忘れたくない決して忘れないだろうと思った瞬間、風景が押し寄せてくる。 そしてそれを表現することばがすべて懐かしくて美しい。 江國香織の夏の匂いを読んだ時と同じ、子供のときの子供目線の不思議な世界を感じた。
読み終わった後、ものすごく長いため息がでて、呼吸まで疎かになるほど集中して読んでいたんだと思った。 圧倒的な筆力だと思う。 心理描写のリアリティがすごいんだろうか。 主人公は小学生なので、行動(行動原理)は子供なんだけど、思考のプロセスは大人とかわらない。そんな中で知識や経験が足りなくてうまく立ち回...続きを読むれなかったり、できる事に金銭的な制約があったり。 子供であることの不自由さを知っていたはずなのに、大人になるにつれてどうしてこんな気持ちを忘れていたのか不思議になる。 チグリスの話も読みたいなぁ。
『川上未映子の文体は、ジェットコースターだ。』 「文体」 それは読書という行為において、骨みたいなもので、 いや、五臓六腑みたいなもので、 つまり、目には見えないけど(気付きにくいということ)核みたいなものだ。 料理で例えるなら「塩味」といったところだろうか。 みなさんが本に求めることはたくさ...続きを読むんあると思う。 気になるテーマ、新たな発見、新たな学び、感動、 大どんでん返し、苦悩、共感、、、 それらすべては、本の内容(中身、コンテンツ)に関わるものだ。 もちろん大事だ。実際に僕もほとんどの場合、それらを基準に読む本を選んでいる。 でも、それらをすべてひっくり返すようなものとして 「文体」は存在する。 文体は日本人にとっての「温泉」みたいなもので、 自分に合う文体に触れているとそれはもう心地よくて、 大げさではなく、まさに「文章に浸かっている」という感覚を味わう。 音楽でいうところの「リズム」だと思う。 本の内容は「歌詞」といったところだろう。 本当に聞いているだけで(読んでいるだけで) すでに心地よくて、満足なのである。 確かに、あの村上春樹も言っていた 「文章で大切なのは、リズムです。」 つまり、ここで言っていたリズムとは文体のことだったのか。 やっぱり合点がいった。 『僕は、村上春樹の文体が好きで、 川上未映子の文体が好きなのだ。』 あとどのくらい、川上未映子のリズムに浸っていられるだろうか。 時間は限られている。 <本の内容紹介になってない『あこがれ』の感想> 最後の速度感。走っている。息もつかずに走っている。 疾走感とか、すがすがしいとか、 そんなんじゃなくて、目まぐるしい。 『わたくし率』でも、『乳と卵』でも、『ヘブン』でも 物語終盤の川上未映子は、ジェットコースターなのだ。 「これがこの人の文体なんだよ」、それを思い出した。 でもなんなんだ?いったい何がこう感じさせるんだ? よく分からないけど、あまり簡単に使いたくはないけど 天才だと思う。 やっぱり、出会えてよかった。 <おすすめの人> ・「芥川賞作家で元シンガーソングライター」ってなにそれ気になる、って人 ・「哲学科専攻」ってなにそれ気になる、って人 ・この感想を最後まで読んでくれて、「騙されてなるものか」とか思わずに、素直に「そんなに言うんだったら」といって気になってくれた、心やさしいそこのあなた <おまけ> 『会うための約束が必要になって、その約束をするための約束みたいなのも必要になって、どんどん会わなくなっていくんだよ。』 『だから会いたいときに、会いたい人がいてさ、会えるんだったら、ぜったい会っておいたほうがいいと思うんだよね。』(引用、85頁) みなさんも会いたい人、読みたい本があったら ぜったいに読んでおいたほうがいい、かもです。
小学校高学年の麦くんとヘガティーの男の子と女の子コンビは、大好きなこととかすごく気になることを共有し合える特別な友達。男女として好きとかそういうのではないところが良いです。ヘガティーの映画の銃撃戦アクションの真似に感動したり、絵の上手な麦くんのことをリスペクトしてたり、お互いの世界を大切にしながら自...続きを読む然に歩み寄って共感を交わし会えるところなど、大人にもなかなか出来ないコミュニケーション能力です。悩みがある時にもきちんと向き合って自然に助け舟をだせるところとか、なんかいいですね。この2人の関係が大人の私から見ても羨ましい…としみじみ思いながら読みました。「アルパチーノ」という掛け声でバイバイするとか、「トム・クルーズって、なんかすごくいいよね」「いいよね」「いいんだよね」っていうノリで良さに共感し会えるところとかほんと、なんかもう、すごくいいです。羨ましいです。ヘガティーの母親違いのお姉さんに逢いに行くところは気になって一気に読みました。たぶん長い人生の中で、この物語の中に書かれている出来事はふたりにとって生涯忘れられない思い出となるのでしょう。そのうち受験もあるし、進路が別れていけば、2人で過ごす時間も無くなってしまうかも…だからこの時間はこの時だけのかけがえのないものだったんだと、後で思い返したりするかもしれないですよね。そう考えるとなんだか切なくなります。 胸いっぱいの幸福感と、夕焼け空にバイバイする時に感じるような切なさの両方に満たされました。かわいくて綺麗で甘酸っぱい苺ジャムのようなお話しでした。
『六年間』という期間を区切った場合に、あなたはどの時代のことを思うでしょうか? 私たちの人生は一日一日の積み重ねが一週間、一ヶ月、そして一年という一つのまとまりとして積み重なっていきます。昨日と今日、そして明日と考える中にそこに大きな切れ目というものは本来的にはないはずです。しかし、実際には入学...続きを読む・卒業、就職・退職といった事象によって日々は区切られていきます。 そのような区切りを意識した中に、『六年間』といった期間を思い浮かべると、そこには、多くの人が小学校時代を思い浮かべるのではないでしょうか?ランドセルを背負っての登校、黒板を向いて友達と受ける授業、そして悪巧み?な放課後…とこのレビューを読んでくださっているあなたの記憶にもハッキリと残るあの時代の風景があると思います。それは、今から振り返れば”大人への扉をさがす”時代だったのかもしれません。 さてここに、小学生という時代を生きる男の子と女の子が主人公となる物語があります。二つの章それぞれにそんな二人が主人公を務めるこの作品。小学生視点で全てがやさしくやわらかく描かれていくこの作品。そしてそれは、”おかっぱ頭のやんちゃ娘 ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん”という二人の小学生の内面に溢れる感情を垣間見る物語です。 『そこで売ってるいちばん安いサンドイッチは卵のやつで、ぼくはふたつ入ってるけどすごく薄っぺらいそれを、毎日か、それか二日に一度は買いにくる』というのは主人公の麦。『ぼくはサンドイッチがすきだというわけじゃぜんぜんない』ものの駅前にあるスーパーで『お客さんにサンドイッチとかサラダとか、パンとかハムとかそういうのを売っている』『ミス・アイスサンドイッチ』の売り場でサンドイッチを買います。『いつも驚いたのとつまらないのをまぜたみたいな顔をして立ってい』る女性を『みた瞬間にぱっと』『ミス・アイスサンドイッチ』と名付けた麦。『まぶたはいつもおんなじ水色がべったりと塗られていて、それは去年の夏からずっと家の冷蔵庫に入っていて誰も食べなかったかちかちのアイスキャンディーの色にそっくりで、それで毎日あそこでサンドイッチを売ってるから』ということでつけたその理由。そんな『ミス・アイスサンドイッチ』をはじめて『みつけた日はママと一緒だった』ものの、『ママ、あの人の目をみてよ!と驚いたぼくの声にママは聞こえないふりをし』ます。『瓦のついた木造の、どこにでもあるふつうの茶色の古い家』にママと『四歳のときに死んでしまったお父さんのお母さん』であるおばあちゃんと三人で暮らす麦。そんな麦は『ミス・アイスサンドイッチはすごく無愛想だ』と思うも『ぼくの順番なんてずうっとこなければいいのにと思いながらぼくはまばたきだってほとんどしないで、ただひたすらにミス・アイスサンドイッチをみ』ます。そして、『ぼくはミス・アイスサンドイッチの目でいっぱいになってしま』う『夏休みを過ごし』ました。やがて二学期になったある日、集団下校の中、他の学年を見回し『四年だけがずいぶんまとも』と思いながら歩いていると、『いきなり後頭部を叩かれ』ます。『ネバモ!』と叫ぶのは『おなじクラスのヘガティー』でした。『カラスをみつけたらなぜか近くにいる人の頭を思いきり叩いても許される』ことが流行りだし、『必ずネバモ!って叫ぶのが条件で、さきにそれを叫んだ人に叩く権利がある』という中にやられた麦。『クラス替えをして早々の昼休みに、ばれないと思ったのか教室でおならをした』、それが『紅茶のにおいがする』ことから麦が『ヘガティー、とぱっと思いついた名前を』口にしました。それが一気に広がり、当初、『露骨に恨んでい』たヘガティーでしたが、やがて『おならの意味がとれ』、『純粋なヘガティーの名前に』なります。そして、父親と二人暮らしのヘガティーの家に映画を見に行くようになった麦。一方で、『いつもおばあちゃんが寝ている部屋で宿題をしたり本を読んだりして過ご』す麦は、『おばあちゃんにだけミス・アイスサンドイッチの話を』します。『こたつに入って、ミス・アイスサンドイッチの絵を描いたりもする』という麦は、『最初に輪郭を描いて、それから前髪を描く。つぎは頭をまるく囲って、つぎになんとなく鼻。そして口。最後に大きな目をふたつ描いてからまぶたを水色で塗ると急にそれっぽくなって、ぼくは思わず感心して、ふうん、と声を出したり』します。そんなある日、いつものようにスーパーに行くと、男が『ミス・アイスサンドイッチにむかって怒鳴ってい』る光景を目にします。そんな麦の小学生の日常が描かれていきます。 “元気娘のヘガティーとやせっぽちの麦くん。寂しさを笑顔で支えあう小学生コンビが、大人の入口で奇跡をよぶ”と内容紹介にうたわれるこの作品。「新潮」の2013年11月号と2015年9月号にそれぞれ掲載された短編を一冊にまとめた作品であり、渡辺淳一文学賞を受賞してもいます。 如何にも小学生な男の子と女の子が並んでいる、そんな二人を優しい筆致で描いた表紙がとても印象的なこの作品ですが、文体の印象も表紙の印象そのままです。そうです。この作品は思春期の入り口に差し掛かった男の子と女の子のふわっとした内面感情を丁寧に描いていきます。では、まずは男の子・麦視点で描かれる一編目の〈第一章 ミス・アイスサンドイッチ〉を見てみましょう。この短編では、麦自身が名付けたスーパーのサンドイッチ売り場に立つ店員『ミス・アイスサンドイッチ』を意識する麦の姿が描かれていきます。『まぶたはいつもおんなじ水色がべったりと塗られていて…』という外見からそんな風に名付けた麦ですが、お姉さんにあたる女性のことを意識する様がいじらしく浮かび上がります。そして、列の順番に並ぶ麦の思いがこんな風に綴られます。 『ぼくの順番なんてずうっとこなければいいのにと思いながらぼくはまばたきだってほとんどしないで、ただひたすらにミス・アイスサンドイッチをみている』。 順番がやってきて『お金を受けとったりお釣りを返したりするときにまぶたがめくれて大きくなるあの目がやってくる』という瞬間にはこんな感情も顔を出します。 『あごのすぐ下と鎖骨のあいだのくぼんだあたりがぎゅっとしめつけられたような感じになる』。 そんな感情を『猫を抱っこするときにさわるお腹の、やわらかいたよりなさ』、『足の甲でこすってみる毛布』、『ホットケーキの茶色にとけてゆくときに透明になるバターの色』とさまざまな比喩で喩えていく麦は、 『ミス・アイスサンドイッチからサンドイッチを受けとってしまうと、匂いが急に冷たくなる』。 そんな風にも感じます。なんとももどかしい麦の思いに、それがね、恋って言うんだよ!と教えてあげたい思いが募る中に物語は展開していきます。一方でそんな『ミス・アイスサンドイッチ』のことを共有するおばあちゃんへの想いも見え隠れします。介護サービスを受け部屋から寝たきりのおばあちゃん。 『おばあちゃんは、たぶんきっと、そう遠くないうちに死んでしまって、そして、いなくなってしまうだろう』。 そんな現実を見据えてもしまう麦。 『眠っているおばあちゃんと、これから死んでいってしまうおばあちゃん。このふたつは、おなじおばあちゃんなんだろうか』。 この視点は秀逸だと思います。小学校四年生の男の子の視点、まだ自分が何者かも当然意識することのない中に、また、『ミス・アイスサンドイッチ』のことが気になるというその感情の正体に気づけないもどかしさが描かれていく物語。そんな物語は予想以上に呆気なく終わりを告げます。「新潮」2013年11月号でこの短編だけ読んだ当時の読者はなんとももどかしい思いに包まれたであろうことが感じられます。 そして、呆気なく終わった〈第一章〉に続くのが女の子・ヘガティー視点の〈第二章 苺ジャムから苺をひけば〉です。元々、『クラス替えをして早々の昼休みに、ばれないと思ったのか教室でおならをした』、それが『紅茶のにおいがする』というところから麦が名付けたヘガティーという失礼極まりない名前の女の子視点で描かれるこの短編。初出である「新潮」2015年9月号では前作から二年近くが経っています。その間に川上未映子さんにどういう思いの変化があったのかは分かりませんが物語は同じ小学生視点にも関わらず随分と読ませる物語に変容しています。麦視点の〈第一章〉はもしかすると人によっては途中でギブアップされる方がいるかもしれないほどにフワフワした掴みどころのない雰囲気感に包まれていました。それが、〈第二章〉に入って一気に読ませる物語へと変容します。この構成は内容こそ異なるとはいえ、同じく少年と少女視点の二部構成を取る加納朋子さん「いつかの岸辺に跳ねていく」を思い起こさせます。 そんなこの作品の〈第二章〉に描かれていくのが、父親のパソコンに残されていた次の一文にヘガティーが触れた先に展開する物語です。 『二〇〇三年四月、女児誕生。妻とはのちに死別。なお、前妻とのあいだにも一女をもうけている』。 ヘガティーは三歳の時に母親と死別した先に父親と二人暮らしの今を生きてきました。そんなヘガティーが知った衝撃的な真実。 『お父さんは、わたしが生まれるまえにもお母さんではない女の人と結婚していて、その女の人とのあいだにも子どもがいる』。 『ということは、母親のちがうお姉ちゃんがわたしにいるということだ』。 小学六年生という思春期の芽生えの時期に与えられた情報としては衝撃すぎるその内容はヘガティーの心を大きく揺れ動かしていきます。小学生時代というものは、自分が何者かを意識し出す時代でもあると思います。自分は本当に父親と母親の子供なんだろうか?私も小学生当時そんな思いに苛まれたことがありました。この〈第二章〉の主人公・ヘガティーが受けた『お姉ちゃんがわたしにいる』という衝撃は相当なものだと思います。一人っ子としての人生が突き崩されるかもしれないその事実。物語は、さまざまな思いに駆られていくヘガティーの揺れ動く心の内を鮮やかに描き出していきます。〈第一章〉、〈第二章〉と続けて読んだ身には、物語が別物に変化したかに感じる極めてシリアスなその展開。これから読まれる方には、読むのを途中で投げ出したくなる〈第一章〉の先に、必ずや読み切って良かったと思う〈第二章〉が待っている、そのことを念頭に読み切っていただければと思います。思春期の萌芽を見る懐かしい感情、誰もが通ってきた繊細な思いに満ち溢れた時代を垣間見せてくれる物語がここには描かれていました。 『どんなに世界が広くても、どんなにたくさんの人がいても、今、わたしがいるここは、ここにしかなくて、そしてそれが、ありとあらゆるところで、同時に起きているのだ』。 思春期の萌芽を見る小学生のヘガティーと麦がそれぞれの章で主人公となるこの作品。そこには、” 互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす”二人の小学生の日常が描かれていました。小学生視点で優しく描かれていく物語に次第に入り込んでしまうのを感じるこの作品。”寂しさを笑顔で支えあう小学生コンビ”の友情を熱く感じるこの作品。 どこまでも柔らかく、やさしく紡がれていく物語。そう、じっくりゆっくり味わいたい、そんな物語でした。
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