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同族会社、墨田鉄工所社長の川野宗平は少数株を凍りつかせたまま放置。理不尽に泣く少数株主を救うため、豪腕弁護士の大木と、伝説のエリート経営者・高野が立ち上がる。少数株は法外な相続税を負わせる疫病神にもなれば、20倍の価値に跳ね上がることもある。紙くず同然の株を大金に変えろ!法律を熟知した企業弁護士が描く怒濤の逆転劇。
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Posted by ブクログ
ー 目の前の仕事は、人類の歴史の流れが君の目の前で一つになって焦点を結んでいるものなんだ。原始、人の世に不動産というものはなかった。あったのは地面だ。いや、地面という意識も、言葉もなかったのが始まりだ。それが、1万年前に農業が始まって、すべてが変った。ここは自分のものだと標をつける奴が出てきて不動産...続きを読むという法的概念が生まれる。やがてその権利を売買し、貸し借りし、そのうち証券化までするようになった。だから、紛争が起きたら弁護士に頼るほかなくなる。すると、紛争予防のための契約書も弁護士に頼んでつくらなくてはならないことになる。紛争もその予防も、どちらも同じことだ。弁護士にしか見えない世の中の切り取り方があるということだ。 反対に、そこが子どものころの幼い恋の舞台だったこと、或る人間にとって無限のセンチメンタル・バリューがある場所だということなど、弁護士には認識できはしない。地質学者にとっての土地と弁護士にとっての不動産は違う。同じ地面なのに、まったく別物だ。しかし、弁護士は場合によっては地質学者の意見を聞かねばならない事件も扱うのさ。法律は言葉と同じ。なんにでも絡みつく。そいつが、今、君の体の正面にうずくまって、君の手で触れてもらうのを待っている。勉強する奴には見えるものが、勉強しない奴には見えない。 ー 勉強にもなるし、小説としてしっかり面白い。 “大人の会話”がお洒落だけど、嫌味なくこんな会話する人がいるのかなぁ〜、と思ってしまう。 人は究極的に何のために“働く”のか、を問う作品。 非上場企業にこそコーポレートガバナンスを求め、少数株主の権利を主張しよう、というのは物語を面白くする仕掛けであって、上手く出来ている作品。 他の作品も読みたくなったので、数冊購入。
非上場企業(同族会社)のガバナンスをテーマにした経済小説だけど、勧善懲悪的な痛快さと、シニアロマンスの切なさも楽しめる意欲的な小説。少数株主について、学べます。
非上場の会社が、日本では圧倒的に多い。 多くは、中小企業で、赤字会社である。 そして、同族会社であり、株式は会社/取締役会の承認がなければ、 株は売買されない。 その中には、長い歴史を持っている会社もある。 また、不動産を所有している会社もある。 その場合の 会社の価値は、株式の価格だけではなく 会...続きを読む社の評価から、株式が評価される。 金鳥の株式の相続で譲渡を受けた男が、 わずかな株式にも関わらず、1億円近い相続税を要求された。 含資産を持っている非上場会社の株式を、どう扱うか? その少数の株式を、金融財産にできないか ということから、話が始まっているのである。 面白い視点からの切り込みである。 また、少数株主の権利がきちんと明記されている。
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牛島信
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