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緑川千春は食品メーカーの子会社の広告代理店に働く37歳。仕事や恋愛に心をすり減らされる日々に、疲れはもう限界だ。かつての恋人が教えてくれた、千春のとっておきの癒し場所、日本酒バー『drop』。お店で出会った人々との交流の中で、千春は新しい道を探し、進んでいく。『残花繚乱』、小説版『嘘を愛する女』で話題の著者による、自活する女性の苦悩、決断、努力……それに伴う内面の葛藤を丹念に掬いとった長編小説。
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Posted by ブクログ
なかなか苦しい読書でした。 難しいとか面白くないというわけではないのです。 読んでいると、周りの酸素が薄くなって息苦しいような、そんな苦しさの読書。 頑張っても頑張っても増え続ける仕事。 それを見て見ぬふりをする上司や、自分のことしか考えない同僚。 なんの役にも立たない優しい言葉をかけてくれる恋人...続きを読む。または家族。 そのどれもが、ものすごく煩わしい。 悪意のある人なんていないのかもしれない。 自分がひねくれているだけなのかもしれない。 でも、どうしたらこの息苦しさから抜け出せるのかわからない。 過去の自分を見ているようで、なんとも身につまされるのです。 だけどちょっと登場人物たち、設定よりみんな幼いよね。 主人公千春は、いくら有能なデザイナーと言っても所詮会社員。 37歳で転職しようと思ったら、ステップアップなんて望めないと思うのが普通。 何なら上司は最初から彼女が辞めるように巧妙に仕向けていたのかもしれない。 高給取りの女性社員より安上がりで若い派遣社員のほうが、会社にとっては負担が軽いもの。 彼女が仕事でいっぱいいっぱいの時に、「休んだらいいのに」というぐらいしかできない恋人・昭人も幼い。 優しいかもしれないけれど、支えてはくれない。 のちに知り合いになる和香に至っては、人の好き嫌いがあからさまに出すぎで、こんな27歳はちょっといないのではと思うほど。 世間知らずも甚だしい。 それぞれ設定年齢を10歳ずつ下げればいいんじゃないだろうか。 一番まずいと思ったのは、フリーで受けた仕事が橋梁オーバーしているのを分かっていながら、助けてくれそうな人に助けを求めず、結果納期を守れなかったこと。 仕事ってそういうものじゃないでしょ。 尽くせる手はすべて尽くしても間に合わなければアウトなのに、尽くしてないもの。 37歳でそんな認識はダメだよ。 最終的にみんなふわふわといい感じに着地したように見えるけど、千春も聖子もマスターも、将来の見通しは全くもって不透明だからね。 しがらみからフリーになったって、日々の生活っていうのからは逃げることはできないのだから。 なんていいながら、一気読みですよ。 できない理由なんていくらでも考えられるけど、とにかく一歩を踏み出したことを、とりあえずは評価したいと思うわけです。
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