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「私たちはまだ呼ばれているのかもしれない。あの土地にしみついた死の匂いに」――それぞれの母親を自殺で失った大学生のまことパン職人の嵯峨。まこは日々、喪失感に怯えては嵯峨の子を欲しがり、そんなまこを嵯峨は、見守っている。お互いにしか癒せない傷を抱えた二人。少しずつ一歩ずつ、捕らわれていた過去から解き放たれ、未来へと飛び立っていく。大人になる直前の恋と、魂の救済の物語。
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Posted by ブクログ
カーテンの隙間から見た朝の景色とこの小説との触れ合いは、きっとずっと忘れないだろう。 と、そう思わせられる素敵な小説だった。
よしもとばななさんの本は、私自身が辛くて仕方ない時に向こうからやってきて、救いをくれます。今回もそんなタイミングでの出合いだった。ありがとう。
トーンはずっと暗いのに、読み終わるころには心がふわっと晴れて生きる勇気を貰える物語だった。 アメリカのセドナの雰囲気や描写は、行ったことのないその場所に居るような感覚になった。 少し前から、よしもとばななさんの小説の世界に没入するのに時間がかかるようになった。 昔は瞑想しているような気持ちで読んで...続きを読むいたから、今の自分の頭や心がクリアでなくなってきたからかもと思う。 それでもやっぱり、途中から読まずにはいられなくなり、フレッシュだった自分の気持ちを思い出せるくらい心に効く小説だった。
生かされたいのちの物語。 超現実な設定を少し歪にして、そのまま強引に繰り広げられるばなな節。 とても身勝手でろくでなしな登場人物たちなのに、こんなにも美しいのはどうしてだろうか。 清く透き通った美しい世界。 ヒリヒリする世界。 みんな、鳥なんだ。 ☆本文引用ありーーーーーーーーーーーーーーーーーー...続きを読む p48 行き場がちゃんとある人なんてきっとほんとうはいないんだから。
特殊な環境…親たちのユートピア…で育ち、親を特殊な状態で亡くした まこ と 嵯峨。 残された二人が互いに求め合い、生きていく事を肯定していく物語。 自分を生きる…大切だと思った。
いつものばなな作品とは随分ちがった重苦しい一冊。 禍々しいような、怨念のような、 何とも言えない空気が全編に漂っている。 そして、まこちゃんは、 とにかく人よりずっと辛い経験をして 周りの子たちよりひどく大人であるような感じで 毎日をようやっと生きている。 でもほんとうは、ひどく幼いままでもあるこ...続きを読むとを 終盤で見つけなおしていく。 他にも増して会話での説明文が延々と続くのが 現実的でないような気もするけど、 本当はこのくらい人は言語化して コミュニケーションを取っていかないと お互いのことなんてわからないのかもしれない。 嵯峨のすがすがしいところは なんだか1番救われたように感じた。 明るい、未来への気持ちで 幸せに赤ちゃんを授かってほしい。
スピリチュアルなことに興味があるので、よしもとばななさんが書く世界観がとても好き。本作は、過去に生きていたふたりが未来に向かって歩き出す、希望の物語。
鬱々とした気持ちで読んだら、なにかがすこし救われた気がした。よしもとばななの文章は重いテーマを大きく包み込む優しさがあって読みやすくて大好き。
単行本で読んだこと、覚えておらず。 よって、新刊を読むような気持で読む。 あいかわらず変わった主人公。 いつも以上に背負っているものも重いし、 考え方も重い。 私が苦手なばななさんかなと思っていましたが、 最後のほうでぱーっと開けた。 ばなな作品の中では、 ステキな大人が出てきて、 主人公に良い...続きを読むことを言うことが多いのだが、 今回の末長先生にセリフが私にも染みたのだと思う。
身内の自死が与える影響。 遺された側は何かメッセージを受け取らないといけないと思ってしまう。 何かに心を侵食される前に光を見つけないといけない危うさがあった。 緩やかだけど不安を感じる作品。
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