長いお別れ

長いお別れ

723円 (税込)

3pt

認知症を患い、正常な記憶が失われていく父。日々発生する不測の事態のなかでも、ときには笑いが、ときにはあたたかな感動が訪れる。

「十年か。長いね。長いお別れ(ロング・グッドバイ)だね」
「なに?」
「ロング・グッドバイと呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」

東家の大黒柱、父・昇平はかつて区立中学校長や公立図書館の館長をつとめ、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし。
娘が三人、長女の茉莉は夫の転勤で米国西海岸暮らし。次女の奈菜は菓子メーカー勤務の夫と小さな子供を抱える主婦、三女の芙美は独身でフードコーディネーター。

ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう。
迷子になって遊園地へまぎれこむ。
入れ歯の頻繁な紛失と出現。
記憶の混濁により日々起こる不測の事態――しかし、そこには日常のユーモアが見出され、昇平自身の記憶がうしなわれても、自分たちに向けられる信頼と愛情を発見する家族がいつもそばにいる。

認知症の実父を介護した経験を踏まえて書かれた短編連作。
暗くなりがちなテーマをユーモラスに、あたたかなまなざしで描いた作品は、単行本発表時から大きな話題になり、中央公論文芸賞や日本医療小説大賞にも選ばれた。

映画化決定!

解説・川本三郎

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長いお別れ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    いい話しでした。
    ボケていく中学の校長だったお父さん
    いいひとだったんだなあ!
    と思いました。
    必死で世話するお母さんは 私と近い
    私も何人も同時に介護して必死だった時は こんな風でした。
    娘たち3人も孫も みんないいこですね。
    最後に学校に行かなくなったタカシという孫に
    アメリカの校長先生が
    どん

    0
    2024年03月08日

    Posted by ブクログ

    よく聞く、「帰りたい」という言葉
    それは物理的な場所だけでなく、時間環境状況心情色々あるんだろうな、どこなのだろう、とその度に思う。

    生まれた家。育んだ家。家族。人生の長い時間を占めた教師という仕事

    認知症によって緩やかに、そして取り巻く人達には時に突然に、そこから離されていく。

    ラストシーン

    0
    2023年12月14日

    Posted by ブクログ

    家族にはそれぞれに日常は続く、そして時々重なり合う、ということが感じられる内容でした。
    大変になっていく介護の現実を、状況が描かれることで手に取りやすくイメージできるし、でもそれを受け止める曜子さんが素敵だなと思いました。

    0
    2022年12月30日

    Posted by ブクログ

    とにかくこの娘をしっかりつかまえていよう。それはとてもだいじなことなんだ

    時にコミカルに、真に迫った認知症の実態を表す。妻の真摯や娘の真摯が、同世代として胸を打つ。だからこそ娘の世代の今、そして母の世代の未来に再度読みたい作品。必ず訪れる死への心づもりとして。

    0
    2022年12月09日

    Posted by ブクログ

    読み終わって、まぁ予想はしていたんだけど昇平さんが亡くなってしまってものすごく悲しかった。
    物語の中で認知症のお年寄りの世話をする大変さ。
    老老介護の問題など、これから訪れるであろう自分自身の親のことなどと重なって他人事とは思えなかった。
    でも昇平さんと曜子さんがとてもいい夫婦で昇平さんは曜子さんと

    0
    2022年10月22日

    Posted by ブクログ

    読んでよかった。

    認知症の父と家族たち。
    やりとりも、家族の事情も、それぞれの気持ちも、すごくリアルだった。

    大切な人のことも、大切な思い出も、自分のことさえも忘れていってしまう認知症。切ないなぁ
    少しずつ少しずつ周りの人のことを忘れて、まさに『長いお別れ』だなぁ、と。

    どこの家族にも起こりう

    0
    2022年07月13日

    Posted by ブクログ

    素直に面白かったです。
    でもとても考えさせられる本でもありました。

    認知症のことを『Long Goodbye=長いお別れ』というのですね。
    少しずついろんなことが分からなくなって、遠ざかっていく、という。
    老夫婦に3人の娘。
    2人は嫁ぎ、1人は独身。
    娘たちはそれぞれが家庭を持ったり、仕事をもって

    0
    2022年05月27日

    Posted by ブクログ

    老老介護の問題が赤裸々に描かれています。自分がアルツハイマーになったら、どうなってしまうのか?を考えさせられた。それにしても、昇平さんはいい奥様をもって羨ましい!

    0
    2024年04月23日

    Posted by ブクログ

    中島京子さんの作品を読んだのは、本書『長いお別れ』が初めてです。

    いつも立ち寄る本屋さんの文庫コーナーで、たくさんの本が平積みされていましたが、圧倒的に私の目を惹いたのが本書でした。
    どこに目が留まったのか?
    それは、「心ここにあらずといった表情で、椅子に腰かけている年配の男性」が描かれている表紙

    0
    2024年04月18日

    Posted by ブクログ

    アルツハイマー型認知症、老老介護、
    なかなか重めのテーマだけど、たまにクスッと笑いながら軽く読めた。

    私、親元離れて上京して就職して、自分のこれからの人生プランだって白紙に近くて、どうなるのやら、どうするのやら。

    0
    2024年04月07日

長いお別れ の詳細情報

  • 映画化

    「長いお別れ」

    2019年5月31日公開
    出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子

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