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米ソ冷戦が終わり、日本は経済大国として平和を謳歌すると思われた。だが、1991年の湾岸戦争で状況は一変する。「非自民」の細川政権を皮切りに連立政権の時代に入った日本を、北朝鮮核危機、テロとの戦い、中国台頭による緊張の高まりといった安全保障問題が揺さぶる。さらに経済危機、歴史認識、沖縄米軍基地、北方領土など、冷戦後の25年は危機の連続だった。16政権の苦闘をたどり、日本外交の課題に迫る。
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Posted by ブクログ
冷戦が終わり世界平和が訪れると楽観的に考えていたが、そんなことは全くなかった。むしろさらに悪化している感もあり。 本書にて冷戦後の日本の外交史を俯瞰しても中心は安全保障がずっとあり、その重要性が益々高まっていることがよく分かる。それが寂しい。
【日本にとって、「冷戦の終わり」は二度訪れたと言えよう】(文中より引用) 冷戦後の日本の外交を「首相たちの決断」という軸に依って研究した作品。主体的な外交が求められるようになる中、時の権力者たちはどのように意思決定をしていったのか.......。著者は、『戦後アジア秩序の模索と日本』等で知られる宮...続きを読む城大蔵。 外交と内政に強い連関関係が存在しているということを鮮やかに描き出した力作。55年体制が崩壊する中、90年代の外交(とその不在)は今日的にも極めて大きい影響を残しているんだなと再確認させられました。 冷戦後の現代史についての作品としても☆5つ
冷戦後の日本の外交・安全保障の水位、経緯の概論。 具体的には、海部政権の湾岸危機・湾岸戦争への対処、宮沢政権のPKO解禁〜民主党政権三大における対米関係の緊張、対韓関係の緊張、対中関係の緊張、第二次安倍政権における安保法制、慰安婦問題を『最終且つ不可逆的に解決』した日韓外相合意まで。 どうしても、『...続きを読む概論』としてさらっとだが、流れをとらえるにはちょうど良い(いや、読みやすい分余計軽く感じるかも) 5段階で☆7つくらい。 出来れば、あとがきにあった『この三倍の分量』の原稿を『完全版』として改めて刊行して欲しい。
本書に綴られた「日本の最近の四半世紀」を読むと、多くの“成果”と“失策”が重ねられたこと、そしてそれらが実に様々な“熟慮”または“思い付き”でもたらされたことに気付かされる… 更に本書を読めば、「日本の最近の四半世紀」の中で、日本と向き合って来た諸外国のキーパーソンの行動や、伝えられたり、行動から滲...続きを読むんだ考え方の変遷も判る… 本書のようなモノに触れると、結局「より良い“明日”に向けて“昨日”を顧みる」というような、歴史を学んでみようとするような営みの“原点”の大切さに改めて思い至る… 本書の終盤には「極最近」の諸情勢が綴られるのだが…「この先」はどうなって行くのか?それを考える材料として、本書は好適であると思う。
冷戦後からの日本の外交史が日本国内の政局と合わせて淡々と述べられていて勉強になるし、途中からそういえばこんなことあったなといった、歴史じゃなくて自分がリアルタイムで体験した話になってきて面白い。
冷戦終結後から現在までの四半世紀の日本外交を振り返っている。その際、外交と内政の連関、両者の相互作用に着目している。具体的には、①湾岸危機に始まる激動に直面した海部、宮沢政権、②「平和の配当」など冷戦後の息吹に呼応するも、北朝鮮核危機で不安定さを露呈した細川、羽田の非自民連立政権、③日米安保再定義や...続きを読む沖縄基地問題で進展を模索し、「村山談話」など歴史問題でも足跡を残した自社さ連立の村山、橋本政権、④自自から自自公連立へと政権基盤を安定させてガイドライン関連法案を成立させる一方、アジア地域主義にも注力した小渕政権と森政権、⑤外交を「小泉劇場」の舞台とした小泉政権、⑥中国台頭と民主党の攻勢に揺れた安倍(第1次)、福田、麻生政権、⑦夢想的な鳩山首相から実利主義の菅首相を経て、「保守」を自認する野田首相へと変化しつつ内紛で自壊した民主党政権、⑧第2次安倍政権から今後の日本外交の課題を展望する終章という形で、冷戦後の時期区分とそれに見合った性格づけを提示している。 題名のとおり、現代日本外交史を概観するのに最適の書である。その経過を見ると、外交が、内政、特に連立政権の枠組みに強く影響されてきたということがよくわかった。内政の安定こそが外交の安定につながるということであろう。
冷戦構造が崩壊した後の日本政治外交史の通史。その時々の政権の内政と外交の連関がわかる名著。 それぞれの時代の外交上の課題を明確にしている点が良い。例えば、経済大国としての外交、台頭する中国を踏まえての外交など。このように課題が明確にされているとどのように立ち回るのがベストかと考える上で有益である。
これまでの与党連立の組み替えがPKO法案や沖縄基地問題といった安全保障問題をめぐって行われてきたことを改めて学び興味深かった。また1992年のG7ミュンヘンサミット政治宣言に以下の記述があることは隔世の感がある。そのほかの興味深い記述は以下のとおり。 「我々は、法と正義の原則に基づき外交政策を遂行す...続きを読むるとのロシアの公約を歓迎する。我々は、このロシアの公約が領土問題の解決を通じた日ロ関係の完全な正常化の基礎となるものと信じる。」 ・1996年の返還合意時には橋本は代替施設の規模や場所について考えはなく、官邸から意図的にリークした可能性 ・冷戦後には日中関係から、対ソ連携や田中派・竹下派の支配という安定化の重しが取れた
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