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どうしても就職活動をする気になれず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。 住むところも危うくなりかけたところを、東京の下町にある築100年の銭湯「刻(とき)の湯」に住もうと幼馴染の蝶子に誘われる。 そこにはマヒコに負けず劣らず“正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいて――。 「生きていてもいいのだろうか」 「この社会に自分の居場所があるのか」 そんな寄る辺なさを抱きながらも、真摯に生きる人々を描く確かな希望に満ちた傑作青春小説!
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Posted by ブクログ
銭湯を舞台にした青春群像劇。少なからず凝り過ぎて現実味を失なっているが、全体的な完成度は平均以上。次から次へと起きる事件にまた現実味がないのだが、小説なんだから、それでいいのだ。登場人物それぞれの揺れ動く心情が青臭くない範囲で描かれていて引き込まれる。
2020年39作品目。 世に言う「普通」から外れた若者が働く銭湯、刻(とき)の湯。 懐の深いオーナー戸塚さんとその孫のリョータ、謎めいたリーダー格のアキラさん、フリーエンジニアのゴスピ、恋愛に自由奔放な蝶子、そして主人公の湊マヒコ。 互いを静かに見守りながら、適度な距離感を保ちながら共同生活を送...続きを読むるメゾン刻の湯は居心地がよさそう。 終盤明らかになるアキラさんの謎が何とも言えない後味。 でも、アキラさんはとても魅力的。
どこにでもありそうな、そうでないような不思議な物語。ひきこまれなさそうでいて、いつのまにかひきこまれ、そして、また引き離されていることに気付く。 不思議な読書体験であった。
老舗銭湯に居候する若者達の物語。 普通の就職から離脱したマヒコは、アキラと出会い、下町の銭湯で居候達と暮らしだす。 マヒコの幼なじみで自由奔放な蝶子、セクシャルマイノリティのゴスピ、義足の龍くん、プライドの高いまっつん、銭湯主人の戸塚さんと孫のリョータ。 それぞれがいろんなbackbon...続きを読むeを抱えながら不器用に暮らす。 しかし刻の湯の危機を発端として、歯車が狂いだす。 それぞれの運命はいかに。 作者初の小説です。 表現は少し回りくどい気もしますが、登場人物の心理を一生懸命描写しようとしている作風が伝わってきます。 自作も読みたいと思わせる作品でした。 人間完璧でなくてもいい、ありのままを受け入れる人と生きればいいと思う作品。
初出 2018年 ウェブサイトcakes 著者初の小説 大学を卒業しても就職先も住む場所も決まらないマヒコは、古い銭湯に住み込んで手伝うことになる。 同居人は、オーナーの戸塚老人のほかは同年代で、IT企業をやめた実質的経営者アキラ、片足が義足の美容師、トランスジェンダーのプログラマー、マレーシアと...続きを読むのハーフなど、社会からの疎外感をもっている。 迷い込んでくる徘徊老人を拒まず、戸塚老人の孫で母親に育児放棄されたリョータが加わると、いじめを受けていた学校に行かないという決断を尊重するが、銭湯寄席に出演させ自信をつけさせる。 メンバーはそれぞれに自分の問題に向き合い、仲間の絆を強めるが、老朽化した施設設備の更新のためのクラウドファディングの中で、アキラの秘密にマスコミが殺到して大混乱になってしまう。 なかなか深いテーマをさらりと書いているエンタメ作品。
初 小野美由紀著を読んだ。 始めは、おっ、どんな話になるのか、今どきの若者の話かと思いながら読んだ。 なかなか、全体的に捉えにくい箇所があって、残念なとこが強く残ったかな。
就職に失敗したマヒコは幼馴染に誘われて銭湯シェアハウスに居候することに。 そこにはいろんなマイノリティが暮らしている。銭湯再生、落語、クラウドファウンディングなどの文化的な流行、SNS、いじめ、LGBT、障害、宗教事件などの社会問題が詰め込まれ、詰め込まれすぎてちょっとおさまりがよくない感じ。 ...続きを読むでも落語のパートはほっこりと暖かかったし、認知症のおじいちゃんの話もよかった。戸塚老人と孫のリョータ、幸せになっておくれよ。。
・《そこにあるというだけで意味のある場所》(p.213) ・就職先が決まらないまま大学卒業に至ったマヒコは古くからの銭湯「刻の湯」に住み込みで働くことになった。そこには数人の若者が暮らしていて・・・ ・妙に居心地のいい刻の湯での暮らしに馴染みつつこのままでいいものかどうかマヒコは行く末をつねに探し...続きを読むている。 ・優柔不断なマヒコそのままにすべてが中途半端なまま時間は進んでゆく。実人生はそんなもんかもしれないが。なかなか落としどころの難しいお話っぽくてどういう終わりを迎えるのだろう?と思っていた。 ・誰かに何らかのラベルを貼って分類できたと安心する感覚に与したくないというのがこの話の要素のひとつではあるかな? ▼刻の湯についての簡単なメモ 【アキラ】どこかおかしなヤツ。他者やおそらく自分自身をもステロタイプな価値の決め方をしない青年。ゆえに正直に思ったことを言ってしまう。「動じる」という機能はついていない。刻の湯の実質的な経営者。《僕、自分がいても、いなくても、どっちでもいい場所の方が、落ち着くんだ》。この台詞には共感。暗い影を落とすなんらかの過去があるらしい。 【ゴスピ】ふだん無口だが言いたいことは言う。部屋を出ると靴を履くのは部屋以外は外だと思っているから。基本、スナック菓子しか食べない。フリーのエンジニア。 【住人会議】二週間に一度ありいろいろ不満とか話し合う。 【タタミ】刻の湯のきれいな看板猫。 【蝶子】一方的コミュニケーションを取る女。いつもなにかと闘っている風情。手に入れたものはゴミのように捨て去る。手に入れる努力はとてもする。男も一度寝たらゴミ。だのに職業は「愛人」だとか。 【トキさん】「何事も念入りに、ただし、軽やかに」という言葉を遺した、刻の湯の元店主。戸塚さんの亡妻。 【刻の湯】薪で湯を沸かす銭湯。職住一体型で家賃ゼロ円の寮があり若者たちが集まる。 【戸塚さん】刻の湯のオーナー。包容力があり褒めて育てるタイプ。《多くの人間たちはね、あくせく働いているように見えて、案外、何もしていません。偉人だけが、この国を作ったわけではありません。その、多くの人たちによる、何もしない時間、待っているだけの途方もない量の時間がね、きっとこの国の内側にある、数字や言葉には表れない多くの豊かなものを作ってきたように思いますよ。》 【トミタさん】人気漫画家。「カブキホームレス魁!」。《暗闇には光を当ててはいけません。光の届かない暗闇を抱えておくことも、人間にとっては必要なことです》。 【マサさん】コワモテで見事な刺青。元落語家志望だったらしい。 【まっつん】ベンチャー企業に勤めている。 【マヒコ】語り手。落ち込んでいた青年。湊マヒコ。皆はマコと呼ぶ。 【龍くん】唯一恋人がいる。彼の作るオムライスは旨い。片足が義足。「ロハン」という美容室でアシスタントをしている。《みんな、よゆうが、せんぜん、ないんだ(中略)だからさ、ここでくらいは余裕持ちたいじゃん?(中略)せっかく、“こんな場所”に住めてるんだからさ》 【リョータ】戸塚さんの孫。母親(戸塚さんの娘)に置いてけぼり。心を閉ざしなかなか打ち解けようとしない。
片足の美容師がいいキャラクターだと思いました。 話は普通だと感じました。 セリフがややくさく、苦手だった。
”正しく”なくても ”ふつう”じゃなくても 懸命に僕らは生きていく。 銭湯×シェアハウスを舞台に描く希望の青春群像劇‼
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