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『舞姫』から『風の歌を聴け』まで、望まない妊娠を扱った一大小説ジャンルが存在している──意表をついたネーミングと分析で、一大センセーションを巻き起こした処女評論。待望の文庫化。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い評論で笑いました。都知事の作品もぶった切りです。斎藤さんの本はどれも面白いですが、これのインパクトはすごかったです。たしかに妊娠してる小説って多いですよねえ。「風の歌を聴け」の解釈には目からウロコでした。
そうか、妊娠小説であって妊娠日記ではないのね。 なんかへんな私小説を想像して読むのが遅れていた自分のばか… デビュー作は渾身の一撃であるというのが私の主張のはずなのに。 ま、ともあれ読めて良かった! 病気小説、貧乏小説がすたれてなお、日本には「望まない妊娠」をテーマとする、妊娠小説というジャン...続きを読むルが存在する。鴎外の舞姫からムラカミハルキの風の歌を聴けまでを、料理に例え、あるいは図表化して分析し、切り刻む。この鋭い舌鋒と切れある論理。ミナコ節はもう、ここからすでに確立していたのですね。 これはもう、書評ではなく、すでに確立したエンターテイメントなのだと思う。
斎藤美奈子氏が大好きだ。語り口の意地悪さも好きだし、引用箇所の適切さも好きだ。特に、このデビュー評論『妊娠小説』の面白さといったら……! 正直に告白すると、この本の中で俎上に上げられた小説の半分以上を私は読んでいない。読んでいないんだけど、わかる。『妊娠小説』ジャンルの存在に膝を打って喜び、『舞姫...続きを読む』の「受胎告知」シーン引用に笑い転げ、にやにやしながら最後まで一気に読んでしまう。 読んでしまった後には(まるきり思惑通りに)読む本読む本ほとんどに「妊娠小説」のレッテルを貼りたくなってしまうのだ。困ったことだ。(笑) 今では伝説レベルのデビュー書評だが、切り口、読ませ方など斎藤氏のすべてが詰まっている。ついでに言うと、後々の書評にも、この時登場した作品がかなりの数、流量されている。まあ、なんとなくモデルとして取り上げやすいタイプの作品(典型例というやつ)は決まっているのでしょう。
新しい枠組みとして「妊娠小説」を提唱してる本。それぞれの妊娠小説で、登場人物がどの時点で妊娠するのかを野球に例えてしまうところがすごい。
文学関係の学科に行く人が大学に入る前に読んでおくと他の人に差をつけることが出来る本。もっと早く出会ってればよかったなあ。 何でかと言うと基本的な小説の読み方と言うものを教えてくれてるもので。と言うよりは小説家が行っている手練手管をとても簡潔に教えてくれているのだ実は。妊娠のことばかり書いているので...続きを読むはなくてそういう基本的かつ細かいところがしっかりしているからこの本は名著なのである。 具体的にはイメージ操作の話が一番教育的。知らないとどうしようもないんだけれど、これで案外ちゃんと教えてくれている本がないときたもんだ。 妊娠に関してはもちろんメインだからしっかりしてるんですけども、まあ一つの論系の基礎教養だと思ってインストールしておけばよし。実際面白いし、教科書としては白眉ですわ。
センセーショナルな着眼点に、歯切れのよい語り口、それに奇想天外な分析手法、面白くないはずがない。 でも、さすがに避妊だの中絶だのという言葉をそれこそミート級に読まされてちょっと胃もたれ気味……
「舞姫」の主人公って、妊娠した彼女を打ち捨ててひどいよね、というお話は、「舞姫」が広く知られているがゆえにある意味定番のネタとなっているところではあるが、いやいや、妊娠を取り扱った小説はまだまだあって、しかも、それぞれ味付けは違っても、「妊娠小説」という一大ジャンルを形成しているのですよ、とぶち上げ...続きを読むるこの評論、「文学はこういう風に読むものじゃない」とのお叱りを受けたというのもわからなくはない、けど面白いのである。文学オタクというのか、ジャンルを楽しんで、「おっ今度はこう来たのか!」みたいな楽しみもあってもいいよね、という気がしてくる。
「赤ちゃんができたらしいの」と女が宣告し、男はうろたえるという展開が、さまざまな小説のなかでくり返し描かれてきました。ほとんどパターン化しているといってよいこのような場面を含む小説を著者は「妊娠小説」と呼び、その構造と歴史の解明をおこなっています。 森鴎外の『舞姫』と島崎藤村の『新生』によって、「...続きを読むどうでもいい女の問題」だった妊娠が「どうでもよくない男の問題」に昇格し、文学のテーマになったと著者はいいます。それ以前の小説に描かれていたのは、「妊娠」ではなく「堕胎」でした。しかしそれは、「生むにせよ堕ろすにせよよろしくやってもらいたい」という男にとっては「問題の解決」でしかありません。こうして著者は、妊娠を告げられる男の「近代的自我」の確立は『舞姫』と『新生』によって成し遂げられたといい、これは近代文学史上における「妊娠の発見」というべき事件だという主張を掲げます。 その後著者は、妊娠と堕胎をめぐる世相の動きに「妊娠小説」が連動していることを明らかにしていきます。さらに、村上春樹の『風の歌を聴け』、村上龍『テニスボーイの憂鬱』、辻仁成『クラウディ』などの現代の小説を「妊娠小説」として読み解き、それらが表面はさまざまな意匠を凝らしているにもかかわらず旧態依然とした枠組みを継承していることが明らかにされていきます。 とにかく文章が痛快で、おもしろく読みました。
「紅一点論」がキツかったので敬遠してましたが、なんでもっと早く読まなかったのかと笑いながら反省。生命の神秘が物語の舞台装置として使われる様を、これでもかというほど浮き彫りにしてきます。食いもん屋直行のくだりはさすがに笑った。
これは面白い。実際もっとたくさんの妊娠小説があるはずだ。 作者の斜に構えた物言いもいい。何を及び腰になってんのよ、こんなものこうやってつまめばいいのよ、簡単でしょ!? と言わんばかりに禁忌を易々と犯す感じが爽快だ。 誰もが口に出すことをタブーとしてきたからこそ小説として面白い妊娠、そして中絶(流産)...続きを読む。それをカテゴリーとして前面に押し出した発想も素晴らしい。現代でもいろいろと変容してきたはずの妊娠小説。ぜひ続編も書いてもらいたい。
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妊娠小説
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